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 パート・アルバイト・派遣・契約・嘱託といった非正規労働者の割合が各年齢、男女で上昇している。この点を労働力調査の詳細集計(かつての労働力調査特別調査)の結果から図示した。表示選択では単年次の5歳階級別の値を掲載した。

 男女計の実数、比率の推移、及び男女別の非正規労働者の内訳は図録3240参照。非正規雇用の増加の正体については、年齢別の増加数構成をグラフにした図録3242参照(正規雇用の増減の中身についてもふれている)。また関連して若者の失業率など年齢別の失業率(日本及び主要国)については図録3083参照。

 男性平均では、1997年に10%を超え、2011年には20%を越えている。女性の平均では、2003年以降、半数を越えるに至っている。

 表示選択で5歳ごとの値を見ると男女とも20歳前半までと60歳以上の非正規比率が高いことが分かる。その中間の年齢では女性の非正規比率が男性を大きく上回っている。

 男女とも15〜24歳の若者の非正規比率が1990年代に急激に高まり、いわゆるフリーターの増加を裏づけるものとなっている。

 若者のこうした非正規雇用とそれ故の低所得、不安定性が、格差を生み、将来の生産性への制約となり、また少子化の大きな要因となっていることがしばしば指摘される。

 また2009年には派遣切り等の影響で、男女ともに合計の非正規比率が低下している。特に男性はこの20年間ではじめて1%ポイントに近い比率の落ち込みであり不況の影響が深刻である点を示している。図録3240でも指摘したとおり、経済情勢の悪化が直ちに非正規雇用者を直撃したため、非正規問題は大きな社会問題となった。

 その後、2014年には非正規比率が男21.9%、女57.7%と男女とも過去最高を更新した。2015年以降には非正規比率はほぼ横ばいに転じている。

 2011年をピークに15〜24歳男の非正規比率の高止まりが目立っている。2011年は大卒の就職内定率が低下し(図録3160)、いわゆる就職氷河期だったことが影響していると思われる。

 65歳以上の高齢者の非正規比率が高くなっているがこれは定年後嘱託や顧問として継続雇用される割合が高くなっているためだと考えられる。近年は、高齢者の非正規雇用の増加が非正規の拡大の大きな部分を占めている。

 女性はアルバイトの多い若年層から25〜34歳になると正社員となる比率が高まるが、45〜54歳にはまた平均以上に非正規雇用比率が高まってしまう。これは結婚、出産で退職した女性が再度就業する場合に不安定な雇用とならざるを得ない状況を示している。いわゆる女性就業者のM字カーブに伴う問題を示している(図録1500、図録1510参照)。

 15〜24歳とは対照的に25〜34歳の層では、近年、労働力不足を背景に正規化が進んでいる。非正規比率がほぼ横ばいなのは、ますます増加している高齢層の非正規労働者が増えているためと考えられる(図録3242参照)。

 1〜3月データなのでコロナの影響は2021年から出ていると考えられるが、2021年は女性25〜34歳の非正規比率の低下が目立っている。これは、コロナの影響で飲食業や宿泊業の女性非正規従業員の雇用が失われたためと考えられる。

 少子化については、労働経済白書のデータに基づき、下図で、男子雇用者の正規、非正規別の有配偶率(結婚している比率)を年齢別に見ると、非正規従業員の有配偶率は、非正規従業員の半分前後となっており、非正規労働者の増加が、非婚を通じて、少子化につながっていることが確認される。



(2005年6月7日更新、2006年6月14日更新、8月8日正規・非正規別有配偶率の図・コメント追加、10月31日1996〜99年値追加、2007年10月11日更新、2008年4月9日比率の母数を役員を含まない雇用者数に改訂、2008年5月30日更新、2009年5月20日更新、2010年5月18日、2011年5月18日更新、2012年8月31日更新、2013年5月15日更新、2014年5月13日更新、2015年5月12日更新、2016年5月11日更新、2017年5月10日更新、2018年5月11日更新、2019年1月25日5歳階級別単年次図、4月27日更新、2020年11月11日更新、2021年11月22日更新、2022年5月15日更新、2024年5月14日更新)


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