女性の年齢別労働力率は女性就業の基本グラフであり、我が国ではM字カーブが特徴である点が知られている(カーブの国際比較は図録1500、さらに雇用形態別内訳の国際比較は図録1501)。図録1505ではM字カーブの切れ込みの緩和という時系列推移の状況を示したが、ここではその実態についてさらに詳しく見てみた。

 労働力調査や国勢調査では過去1週間仕事をしたか(あるいは仕事を探していたか)で労働力人口を算出し、人口で割って労働力率を出している。ここで使用した就業構造基本調査では、普段仕事をしているかどうかで有業者か無業者かを算出し、やはり人口で割って有業率を出している。労働力率と有業率とは調べ方は異なるがほぼ同様の概念である。

 女性の年齢別有業率のグラフにはやはりM字カーブが認められ、1982年から2002年への変化を見ると切れ込みは緩やかになっている。

 しかし、有業者の内訳をみると、有業率が上昇しているのは主として「独身・子どもなし」の女性で働いている者が増えているからであって、「子どもあり」の女性の有業率が上昇しているからではないことが明らかである。

 すなわち、晩婚化によって未婚有業者が増えているためであり、結婚・出産した女性が継続就業あるいは再就業できる環境が整ってきたことによるわけではないことが見てとれる。いわば出生率を犠牲にして女性就業率が上がっているわけであり、社会の将来性の確保の観点からは、いびつな状況と言わざるを得ないであろう。

(原データ)女性の家族関係別にみた有業率(単位:%)
1982年 2002年 増減
有業・
子ども
あり
有業・
有配偶
・子ども
なし
有業・
配偶者
なし・
子ども
なし
有業・
子ども
あり
有業・
有配偶
・子ど
もなし
有業・
配偶者
なし
有業・
子ども
あり
有業・
有配偶
・子ど
もなし
有業・
配偶者
なし
15-19歳 0.0 0.2 17.9 0.0 0.1 17.2 0.0 -0.1 -0.7
20-24歳 1.9 5.6 62.0 1.3 2.5 63.1 -0.6 -3.1 1.1
25-29歳 15.5 12.0 22.4 8.2 10.4 50.0 -7.3 -1.6 27.6
30-34歳 33.1 7.3 9.1 19.5 10.4 26.7 -13.6 3.1 17.6
35-39歳 46.2 5.9 7.7 35.3 8.2 17.5 -10.9 2.3 9.8
40-44歳 52.4 6.8 8.2 48.1 8.1 13.2 -4.3 1.3 5.0
45-49歳 44.1 12.8 9.7 47.4 12.4 11.7 3.3 -0.4 2.0
50-54歳 28.8 20.0 11.9 35.5 19.4 12.0 6.7 -0.6 0.1
55-59歳 18.5 19.8 13.1 23.4 22.5 12.3 4.9 2.7 -0.8
60歳以上 6.4 6.8 10.0 5.5 8.5 6.5 -0.9 1.7 -3.5
(注)総務省「就業構造基本調査」の有業率をベースにした武石恵美子氏による特別集計。「独身(配偶者なし)」には未婚の他、離別・死別を含む。「子どもあり」には配偶者なしと配偶者ありを含む。

(2007年7月31日収録) 


[ 本図録と関連するコンテンツ ]



関連図録リスト
分野 人口・高齢化
テーマ  
情報提供 図書案内
アマゾン検索

 

(ここからの購入による紹介料がサイト支援につながります。是非ご協力下さい)