ここでは、日本人の好きな野菜についてランキングをかかげた。資料はNHK放送文化研究所世論調査部「日本人の好きなもの」(2008年)である。 摂取量や購入数量・支出金額の多い野菜のランキングについては図録0221参照。品目別の野菜生産量の推移は図録0284参照。 好きな野菜ベスト20はランクの高い順位に、キャベツ、たまねぎ、大根、ネギ、白菜、じゃがいも、ほうれんそう、トマト、なす、枝豆、きゅうり、レタス、生しいたけ、さつまいも、もやし、とうもろこし、山芋、かぼちゃ、ブロッコリ、たけのこである。香辛料としてのネギの愛好度については図録0332a参照。 基本的な野菜が上位となっている。野菜の農業粗生産額と比べると(図録0420)、粗生産額の大きなトマト、きゅうり、なすといった果菜類については、好きかどうかではそう上位にはない。 男女年齢別のランキングをみると、まず、10位までの野菜の全体的な回答率水準の高低において、男女とも若年層より高年層で回答率水準が高く、また男性より女性で回答率水準が高く、つまり「野菜好き」であるの目立つ(実際に女性の方が野菜摂取量が多い点については図録0224参照)。 次に各層の第1位の野菜と第10位の野菜の回答率の差を比べると、男性は年齢によりあまり違いがなく10〜12%ポイント差、女性の場合は、若年層は16%ポイント差に対して中年層、高年層は6%ポイントと差が小さいのが分かる。女性の場合、若い頃は好き嫌いがハッキリしているのに対し、中高年は、まんべんなく野菜を好んでいるといえよう(注)。 (注)女性の食への姿勢が年代ごとに異なる点については図録0322や図録0323でも明確である。 若い女性は第1位に「さつまいも」、第2位に「じゃがいも」をあげており、第5位に他の層ではあまり顔を出さない「かぼちゃ」が入っていることも含め、ホクホクしたあまい野菜への嗜好性を見て取ることができる。特に「さつまいも」は他の性・年齢層では10位までにいっさい入っていないだけに女性若年層で第1位なのが目立っている。 逆に若い女性の10位までには「ネギ」が登場しない。男性の場合は若年層、高年層で2位、中年層で3位と非常に好まれているのと対照的である。ネギ独特のにおいが嫌われるのであろう。 女性の中高年のまんべんない野菜好みは、子どもや家族のため料理を作る役割にも影響されている可能性がある。 この他、年齢による違いとしては、レタスが若い層にのみ見られ、トマト、なすが若い層にないこと、女性中年層にのみブロッコリがあり、男性高年層にのみきゅうりがあるなどの特徴がある。 もっとも世代別の野菜の好みの差はお菓子・デザートと比べるとそう大きくはない(図録0335参照)。 参考までに、Jタウンネットのホームページ上のネット投票の結果から、「欠かせない野菜」ランキングを以下に掲げた(原資料はここ)。 上の「好きな野菜ランキング」と比べると、設問だけでなく、年次や対象者の違いや複数回答と択一回答という違いがあるので厳密な比較はできないが、タマネギ、ジャガイモの順位がより高い点、ダイコン、ホウレン草の順位がより低い点が目立っている。 タマネギ、ジャガイモの順位が高いのは自宅でつくるカレー人気によるものかもしれない。ダイコン、ホウレン草の順位が低いのは、和野菜を好む高齢者、あるいは料理や健康を重視する中高年女性の回答が少なかったかもしれない。
(2007年1月18日収録、2010年11月22日ネギのコメント追加、2012年8月1日コラム追加、2020年7月27日「欠かせない野菜」ランキング、2024年10月20日アボカド国内生産)
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