NHK放送文化研究所の世論調査によると、食事にあたって重視することを5つの選択肢から1つ選んだ回答では、「おいしいものを食べること」(おいしさ)が38%で最も多く、「栄養がとれること」(栄養)が21%、「楽しく食べること」(楽しさ)が20%、「空腹が満たされること」(満腹)が18%で続いていた。「簡単にすませること」と回答したものは3%と非常に少ない。

 性別年齢別には、1位、2位にあげる回答が異なっており、それぞれ、かなり特徴がはっきりしている(下表参照)。

男女年齢別順位
   1位 2位
若年層(16〜29歳) 満腹 おいしさ
中年層(30〜59歳) おいしさ 満腹
高年層(60歳以上) おいしさ 楽しさ
若年層(16〜29歳) おいしさ 満腹
中年層(30〜59歳) おいしさ 栄養
高年層(60歳以上) 栄養/楽しさ 

 男女年齢ごとの食への姿勢の違いが、食品を選択する際の重視点にもあらわれている点については図録0323参照。

 「満腹」重視は若者の特徴であり、特に男の若年層では1位となっている。女でも「おいしさ」の次は「満腹」である。身体の成長期に対応した結果といえよう。

 「おいしさ」重視は、男性中高年、女性若年・中年で最も多くなっているが、女性若年層では回答率が47%と他の階層に比べ特に高くなっている。若い女性のグルメ嗜好をあらわしているといってよい。

 「栄養」重視の比率は、子どもを持ち、家族の食生活に責任を持つ場合が多い女の中高年で高くなっている。女性の若年層は「満腹」と「おいしさ」に傾斜するため「栄養」は他の階層と比べ最も低い比率であるのに、中年になるととたんに「栄養」重視比率が激増する点に、加齢ないし結婚・子育てにともなう女性の豹変、あるいは成長をうかがうことができよう。

 男女を問わず高年層の特徴は「楽しさ」重視の比率が増す点にある。人生の達人年代に入り食事には精神的な満足が重要だと思い至るのであろう。

 シンプルだがなかなか味わい深い結果となっていると感じられる調査である。

 なお、男女世代別のこうした食への姿勢の差は、どんな野菜やお菓子を好むのかという点に反映している(図録0334、図録0335参照)。


(2008年9月10日収録)


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