NHKの放送文化研究所では2007年に全国300地点、16歳以上の国民3,600人を対象に今の日本人が好きだと感じているものの調査を行っている(有効回答率66.5%)。

 ここでは、「好きな果実(くだもの)」に関する回答結果を掲げ、また前回1983年調査の結果と比較した。資料はNHK放送文化研究所世論調査部「日本人の好きなもの」(2008年)である。

 果実(くだもの)のうち日本人が最も好んでいるのは「いちご」であり、75%、4分の3の人が好きだといっている。

 果実は全般的に好きな人が多いが、1位のいちご75%と20位の洋梨31%との間には44ポイントの差がある。図録0334で見たように野菜の場合には1位のキャベツ70%と20位のたけのこ52%の間の差は18ポイントに過ぎないので、果実の方が好き嫌いの差が大きい嗜好品的性格が強いという特徴がある。

 第2位は「みかん」、第3位は「桃」、第4位は「梨」、第5位は「りんご」と続いている。

 1983年当時からの推移では、「いちご」が首位であるのは変わらない.(いちごについては図録0425参照)。

 「みかん」が2位と順位は変わらないものの75%から68%へと支持率を低下させている。この他、支持率、順位を低下させている果物としては、「ぶどう」、「すいか」、「柿」、「くり」などがある。

 こうした果物の地位低下は、後にふれる世代による嗜好の変化や次ぎに述べる躍進果物との相対的な関係によるものであろう。

 逆に支持率、順位を上げているのは、「桃」、「梨」、「りんご」、「メロン」、「バナナ」、「さくらんぼ」などである。特に「さくらんぼ」は41%から53%へ、順位も17位から10位へと躍進が目立っている。地位を上昇させている果物には品種改良などによって味がよくなっているものやブランド化に成功しているものが多い(山形さくらんぼについては図録0347参照)。

 男女年齢別のグラフを見ると、まず、全体的に男性より女性の方が果物を好んでいることが目立っている。各年齢層ともにトップ人気の果物の支持率も10位果物の支持率も男性より女性の値が高くなっているのである。こうした傾向は野菜についてもなりたっている(図録0334)。

 年齢別には、男女とも、高年層、中年層、若年層と若世代ほど、全体として果物の愛好度は低下している。トップ人気の果物の支持率も10位果物の支持率も若い世代ほど低くなっているのである。飽食の時代となってかつてほど果物を有り難がることができないのであろう。これは野菜においても成り立っている傾向であり(図録0334)、食べ物全般についていえることなのだろう。

 ただし、こうした中で、若い女性については、好きなものは好きという明確な嗜好が目に付く。男性若年層の首位品目と10位品目では支持率に20ポイントの差に止まっているが、女性若年層の同じ値は31ポイントと格段に大きい。果物の嗜好に関しては、若い女性は好き嫌いがはっきりしたわがままな存在ともいえよう。(若い女性と中高年の女性の食への姿勢の違いは図録0334で見たように野菜でも共通であり、また若い女性のグルメ嗜好は図録0322でも明確である。)

 品目的には、男女とも、若年層、中年層では「いちご」がトップであるのに対して、高年層では「みかん」がトップとなっているのが目立っている。また、男女とも高年層では「柿」が3位となっているのに対して、中年層、若年層では10位までに「柿」が登場しない。

 逆に、「桃」、「梨」は高年層より若年層で人気が高い。また「さくらんぼ」は高年層では10位までに登場しないが、若年層では良い位置に入ってくる。

 検索を考慮し、取り上げたくだものを総て掲げると、いちご、みかん、桃、梨、りんご、ぶどう、メロン、すいか、バナナ、さくらんぼ、柿、くり、パイナップル、いよかん、グレープフルーツ、キウイ、はっさく、びわ、甘夏かん、洋梨である。

(2010年1月27日収録、2018年11月30日20〜29歳を16〜29歳に修正、2021年12月3日最初の図が誤って「欠くことのできない野菜ランキング」になっていたのを訂正)


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