通信に関する国際機関であるITUデータを原資料とする世界各国の以下のインターネット関連の普及率を図表にした。インターネット普及率の世界マップは図録6290。OECDデータによるインターネット利用率の各国比較は図録6203（年齢格差は図録6212）。

１．世界各国の毎年のインターネット普及率（対人口比）→上図
２．ブロードバンド普及率（世界43カ国）→末尾図

　インターネットの普及は発祥の地米国と北欧、及び英語圏の国が先行する傾向があった。しかし、最近では先進国間の差は小さくなってきている。

　北欧（図ではスウェーデンが例）では雪で孤立した自動車の中からの緊急通信手段として普及が早かったとも言われる。

　英語圏での普及は国際語としての英語及びインターネット開発国米国が英語圏ということから当然とも言える。アジアの中ではシンガポールがこれに当てはまる。米国は当初普及が一番進んだが最近はむしろ先進国最低の普及率となっている。国内格差の拡大が影響している可能性がある。英国は逆に米国以上に普及率が高まり、世界首位の高さとなっている。

　日本は英語圏でないにもかかわらずフランスと比べても普及率が高かったのはやはり国民の教育水準の均質性やＩＴ機器の主要生産国である点をあげることができよう（フランスはその後巻き返した）。日本は現在英国に次ぐ2位となっている。後段のブロードバンドで見るとおり、スマホを通じたインターネット利用の普及によるものと考えられる。

　15年ほど前に、韓国が急速にキャッチアップし、米国を上回る水準となった。その後日本がドイツとともにじりじりと追い上げ、世界第２位グループとなっている（総務省調査の人口普及率と比べても高い値−図録6210参照）。日本が2013年以降急に値が上昇しているのは国際機関への日本当局の報告のベースが変わったからだろう。

　中国は遅れて普及がはじまったが2012年で4割を越え、2015年には5割を越えた。母数が多いので利用者数では世界一となっている（図録8200参照）。ロシアも中国同様遅れて普及がはじまったが今では米国並みの普及率となっている。インドは図の中では最も普及が遅く、現在でも3割に止まっている。

　高速インターネットであるブロードバンドの普及率（下図）については、固定のランキングは、スイス、フランス、デンマーク、オランダ、韓国の順であり、日本は、18位とやや出遅れている感があったが、モバイルのブロードバンド普及率では、一気に首位に浮上している。モバイルのランキングでは、日本に続き、フィンランド、オーストラリア、米国、デンマークが上位にあり、固定のランキングと必ずしも一致していない。

　固定のブロードバンドについてであるが、Asia-Pacific Telecommunication Indicators 2004 reportは、韓国などアジアにおける普及率の高さは、政府の力によるところが大きいとしている。すなわち(1)政府機関自ら新技術を採用、(2)全国的なバックボーン・ネットワークの整備を促進、(3)競争環境の確立へ向けた刺激策、(4)民間セクターとの協調、(5)新しいユーザーを農村部にまで広げるための補助金や刺激策、を推進しているとされる。

　ブロードバンド料金との関係については図録6320参照。