ここで国際比較の対象となっているのは基本的にはOECD諸国であるが、ロシア、ブラジルといったOECD以外の国も比較対象となっている。 インターネット利用率自体については、日本は、98.0%と第2位の高さとなっており、ネット社会化が世界の中でも最も進展している国ということになっている。インターネット発祥の国である米国は、逆に、今では国民のインターネット利用率が27位と低い水準に止まっている。 こことは異なる国連の専門機関であるITU(国際電気通信連合)のデータに基づくインターネット利用率の主要国推移を図録6300に掲げているが、こちらでは英国が第1位となっているなど若干の違いがあるが、日本がトップクラスになっている点や一時期インターネットの利用が世界の中で先行していた米国が今ではむしろ低い地位にある点などでほぼ共通した結果となっている。 インターネットはウェッブの閲覧、電子メールのやりとり、各種SNSサービスの利用などに利用されているが、さらに、最近では、買物(インターネット通販)や行政手続き(電子政府)などにも応用されている。 図には、こうした側面の具体的なネット利用率、すなわちオンライン購入者率と電子政府利用率についても併載した。 日本の場合はこの2つのネット利用率については、インターネット利用率の高さとは対照的に、国際的に低い水準である点が目立っている。 オンライン購入者率については、日本は53.7%とインターネット利用率の上位21カ国の中で最も低い値となっている(図録6230で見たように上昇してきているとはいえ)。電子政府利用率に至っては、データのある総ての国の中で最低の値となっている。 すなわち日本は、インターネットの利用そのものでは世界の中で最も高い水準であるのに、インターネット通販や電子政府といった具体的な応用例では世界の最低水準なのである。その他の応用例を含め、ネット活用種類数自体が日本の場合少ない点については図録6202参照。 これを日本社会の保守性や日本の政府規制の頑迷さのせいにする場合が多いが、むしろ、図録5098でふれた日本人の現金依存の高さと同じように、ネットを使用しなくても便利な社会が成立しているからという側面の方が大きいと考えられる。買物や行政手続きが不便な社会ほどインターネットの普及に伴って、ネットを使った問題解決が図られるのであるが、それらが便利な日本ではネットを使った処理はかえって進まないのである。 特に高齢者は従来型の買物や行政手続きを継続したいと考え、日本の場合、事実、そうしているケースが多いため、インターネット利用率自体も、全体の水準が高い割には、高齢者ではそう高くない状態にあるのである(図録6212参照)。 (2018年8月31日収録)
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