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原則として年2回、1月と6月に更新する。2024年6月は1位が変更となったので全体を月半ばで更新。 1960年当時のランキング・トップ4企業との収益動向の対比は図録5412参照。日本の大企業ランキングは図録5441参照。営業利益による2007年度の世界の大企業ランキングは図録5410x、世界の金融保険会社ランキング上位30位は図録5415。 上位企業の紹介は巻末の表を参照されたい。 世界の大企業の上位は、アップル、マイクロソフト、アルファベット(グーグルの持株会社)、アマゾン・ドット・コム、メタ(旧フェースブック)という「ITビッグ5」、すなわち米国で起業し、国際的に展開しているIT関連の巨人企業5社、及び石油のサウジアラムコ、半導体のNVIDIAなどで占められている。 前回更新(2023年12月)からの半年間の特徴としては、AI用半導体を作っていることからNVIDIAが6位から1位に躍進。石油価格が落ち着き、サウジアラムコは5以外に転落。また寒冷時の走行距離短縮や充電設備の不足など電気自動車(EV)の制約が反省されハイブリッド車が人気回復したことなどからテスラが8位から13位に低落している。 アマゾン・ドット・コムは、2018年9月に、株価の上昇により、アップルに次いで2社目の時価総額1兆ドル越え企業となったのが注目を集めた。1994年にジェフ・ベゾス氏が書籍のネット通販会社として創業したアマゾンは、近年、企業にサーバーやデータ保管などのサービスを提供するクラウド事業も収益の柱に成長し、また、米高級スーパーのホールフーズの買収による実店舗展開や「アレクサ」と呼びかけることで起動するスマートスピーカー「エコー」の成功などを含め、事業の幅を急速に拡大している。 ネット通販のアマゾンは物流の整備にも多額の資金を要し、アップルやグーグルなど他のIT大手とは異なり低収益企業とみられてきたが「低収益ならばライバルの参入も少ない」として事業拡大を続け、この分野で独走態勢を築き上げたといわれる(毎日新聞2018.9.6)。 最近は安定しているが、一時期は、上位IT企業の順番の入れ替えが激しかった。2019年1月7日にはアマゾンがマイクロソフトを抜いて初めて世界首位に立っている。また、アップルは同年1月2日にiPhoneの中国での販売不振を理由に業績予想を下方修正したことが響き4位に沈んだ。しかし、その後、3月末には、マイクロソフトが首位に返り咲き、アップルも2位にまで順位を回復している。さらに、世界的なネット企業の個人情報利用への規制の動きを受け、グーグルやメタ(フェースブック)の時価総額順位が後退し、2021年12月にはアップル、マイクロソフトが最上位となっている。2022年になると石油高騰を受けサウジアラムコが1〜2位に浮上、それ以外ではアップルがトップ企業となっている。メタ(フェースブック)はSNSの新手の登場やメタ事業が思った通り伸びないことから22年末には24位とランクを落としている(その後、費用削減効果が効いて24年6月には7位まで回復)。 2020年には新型コロナの流行により旅行やエネルギー関連企業などの業績が落ち込む一方で、リモートワークなどを通じたデジタル化の追い風を受けて巨大IT企業は成長が加速。株価も株式相場の上昇基調を主導した。 アップルの時価総額が米国企業として初めて2兆ドル(約212兆円)を超えたのは2020年8月19日だったが、2022年1月3日には3兆ドル(約345兆円)の大台を超えた。コロナ禍の在宅勤務やリモート授業に伴うデジタル化、エンターテインメント需要が安定した収入の伸びを支えており、仮想現実(VR)や自動運転車向けの新たな製品投入への期待も株価上昇の背景にあるとされる(下図参照)。 その後、2022年6月にはウクライナ戦争の影響で資源価格が高騰し、その結果一時期サウジアラムコが首位となっている。22年には、また。コロナ特需の収束から巨大IT企業は肥大した組織の整理をはじめ一時期時価総額も低下したが、23年に入ってその効果からか再度回復している。 なお、米IT大手企業を指す用語として、グーグル、アマゾン、フェースブック、アップルという4社の頭文字をとった「ガーファ」(GAFA)、あるいはこれらにマイクロソフトを加えた「ガファム」(GAFAM)という呼び方が有名だが、フェイスブック、アマゾン、アップル、ネットフリックス、グーグルという5社の頭文字をとった「ファーング」(FAANG)という呼び方もある。 電気自動車のテスラは2022年6月にはこれらIT大手に次ぐ6位だったが、創業者のイーロン・マスク氏が民主主義の維持のために投稿の制限などを受けるべきではないとの持論から、莫大な個人資産を背景にツイッター社を買収し、大掛かりな改革に乗り出したが成功しているとは言えず、また同氏が「売却を予定していない」と言いながら、4月、8月、11月、12月とTesla株を売却していることが投資家の懸念を呼ぶなどして株価が大きく下落していたため、23年の段階でもランクが下がる傾向にあった。 この他、肥満症治療薬を手がける企業の時価総額が躍進しているのも見逃せない。 日本で保険適用の肥満症治療薬が2024年2月に発売された。新たに発売された肥満治療薬「ウゴービ」は、週1回の注射で投与され、脳の満腹中枢に働きかけ空腹感を軽減し、食事の量を減らして体重を減らす働きがある。価格は最大容量2.4ミリグラムの投与で1カ月約4万円だ。 「ウゴービ」を開発したのはデンマークの製薬大手ノボノルディスク。「ウゴービ」は2021年に肥満症治療薬として米国で実用化され、2023年7月にはドイツ、同年9月には英国などでも販売を拡大。2024年2月にはアジアで初めて日本でも展開を始めた。米国を中心に爆発的な需要に供給が追いついていない状況となっている。 2024年1月末にはノボノルディスクの時価総額が一時5000億ドル(約75兆円)を突破し、欧州企業として仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンに次いで2番目に5000億ドルの大台を超えた。 その他、株式市場で肥満症薬を手がける企業の存在感が急速に高まっている。米製薬大手のイーライリリーの株価はこの1年で2倍以上に上昇し、時価総額は7000億ドル超と米国株の時価総額ランキングではマイクロソフトや「GAFA」、エヌビディアに次いで8位に浮上。足元でも米電気自動車大手のテスラ(5500億ドル)を突き放している(以上、JBpress 2024.3.31による)。 多くの中国企業が一時期上位を占めたが、企業への中国政府の関与が嫌われ、最近はやや後退している。 日本の企業としては、22年末には、唯一、トヨタ自動車が48位に位置していたが、22年6月には50位外の52位に後退した。その後、順位を回復させ、23年末には35位、24年央には36位へと上昇している。 図には、参考までに1989年(平成元年)の世界の時価総額ランキング20位までを併載した。 また、以下に世界の時価総額ランキング50位の国別数を1989年(平成元年)と2019年(平成31年)、2024年(令和6年)で比較した表を掲げた。
バブル経済さなかの1989年には銀行などを中心とする日本企業がランキング50位までに32社が登場しており、米国の2倍の数となっていた。それが、今や、ランキング50位までがトヨタ自動車1社のみとなり、また当時の日本企業の多くが合併等で今はもう存在しない点に、「平成時代」における大きな状況変化を見て取ることができる。 世界的には、この間に、日本企業が地位を大きく低下させたこと、IT・ネット企業がトップに躍り出たこと、中国企業の躍進が目立つこと、などの大変化が生じていることが明らかであろう。 時価総額の比較は各国の為替レートや株価水準に左右される。1989年のランキングは、当時の日本の株式市場の非常に高い水準を反映している(株価の長期推移をあらわした図録5075参照)。そうであるなら現在の時価総額ランキングも同じように将来性のある企業かどうかで一喜一憂する人びとの評価で決まっていると考えられよう。時価総額ランキングはそうした意味で客観的な企業価値というよりは時代の趨勢を反映している側面が大きいといえる。 近年のランキングの特徴はデータ参照の時点が少し異なるが「日本脱落と米中覇権争い、時価総額「トップ100」企業が示すビジネスの主役」(野口悠紀雄、ダイヤモンド・オンライン2021.12.23)を読んでも明らかなので以下に引用しよう。 「旧来型の企業に代わってトップ100位に入っているのは、どんな企業だろうか?製造業のうちトップ100社に入っているのは、ファブレス(工場がない)製造業が多い。ランキング世界1位のアップルがその典型だ。半導体のNVIDIA(8位)も設計に特化しているファブレス製造業だ。日本にもファブレスが登場している。キーエンスは世界ランキング48位。伝統的な製造業であるトヨタや日立に比べてビジネスモデルが大きく違う。しかし、キーエンス以外には日本では目立ったファブレス企業が出てこない。トップ100社には、金融機関として銀行が10社、保険が2社入っている(いずれもほとんどがアメリカと中国の企業)。これら以外に、クレジットカード会社やペイパルなど、さまざまな金融サービスがある。 (中略) 従来の産業分類に収まらない企業はほかにもある。テスラはファブレスとは言えないが、製品の価値がソフトウェアにあるという点で従来の製造業とは異質だ。そのような企業が、自動車産業でいまや時価総額のトップになっている(全体のランキングで6位)。時価総額50位までの企業で、従来型の製造業企業はサムスン(14位)、ナイキ(32位)、トヨタ(35位)、シスコ(44位)しかない。 ところで、時価総額は万能の指標ではない。株価が将来を正しく予測しているかどうかは確かではないからだ。実際、1990年代には、世界時価総額ランキングのトップを日本の金融機関が独占したが、それらの企業のほとんどはいまや見る影もない。これはバブルにすぎなかったのだ。いま時価総額について最も大きな不確実性があるのは中国企業だろう。この1年間、中国政府の政策変更によって株価は大きく変動した。その典型がアリババとテンセントだ。前者の時価総額は2020年10月22日の8380億ドルから21年12月1日の3540億ドルにまで下落した。また、最近の株価には、原油価格の高騰や半導体不足が影響を与えている。こうした短期的要因と長期的なトレンドを区別することが必要だ」。 下には、表示選択で、参考に別資料から2011年以降のトップ10企業の変遷を示した。この10年ぐらいの間の変化の激しさをうかがうことができる。 旅人サイトに時価総額トップ10企業が紹介されていたので、参考までに以下に引用した。
検索が可能となるようトップ100の企業名を掲げておくと次の通り。NVIDIA、マイクロソフト、アップル、アルファベット(グーグル)、アマゾン・ドット・コム、サウジアラムコ、メタ(旧フェイスブック)、TSMC、バークシャー・ハサウェイ、イーライリリー・アンド・カンパニー、ブロードコム、ノボ ノルディスク、テスラ、JPモルガン・チェース、ビザ、ウォルマート、エクソン・モービル、騰訊(テンセント)、ユナイテッドヘルス・グループ、ASML、マスターカード、P&G、オラクル、サムソン電子、コストコ・ホールセール、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン、ホーム・デポ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、メルク、バンク・オブ・アメリカ、アッヴィ、ネットフリックス、ネスレ、シェブロン、コカ・コーラ、トヨタ自動車、貴州茅台酒、中国工商銀行、ロレアル、クアルコム、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、アストラゼネカ、インターナショナル・ホールディング、中国石油天然気、リライアンス・インダストリーズ、エルメス・アンテルナショナル、アドビ、ペプシコ、ロシュ、セールスフォース・ドットコム、SAP、シェル、サーモフィッシャーサイエンティフィック、ノバルティス、リンデグループ、ティーモバイル、ウェルズ・ファーゴ、アプライド・マテリアルズ、中国移動、?多多、中国農業銀行、ダナハー・コーポレーション、シスコ・システムズ、ウォルト・ディズニー、中国建設銀行、ARMホールディングス、アボット・ラボラトリーズ、マクドナルド、ゼネラル・エレクトリック、アリババ・グループ、アクセンチュア、テキサス・インスツルメンツ、インテュイット、中国銀行、マイクロン・テクノロジー、ベライゾン・コミュニケーションズ、タタコンサルタンシーサービシズ、アメリカン・エキスプレス、アムジェン、HSBC HD、キャタピラー、プロサス、モルガン・スタンレー、フィリップモリス、インディテックス、IBM、HDFC銀行、ファイザー、インテュイティブサージカル、トタルエナジーズ、ServiceNow、ゴールドマン・サックス、ウーバー、カナダロイヤル銀行、コムキャスト、ネクステラ・エナジー、BHPグループ、ナイキ、シーメンス、ラムリサーチ。 (2007年10月15日収録、2008年10月5日更新、2018年8月29日更新、9月9日アマゾンのコメント追加、2019年1月8日上位順位変動コメント、1月29日図修正、5月16日更新、12月21日上位4位表更新、2020年8月21日上位4位表更新、2021年6月23日トップ10企業の変遷表、12月25日更新、12月26日野口悠紀雄引用、12月30日表示切替で51〜100位企業の図、2022年1月4日アップル株価推移図、6月29日更新、年2回更新方針、12月21日更新、12月28日テスラコメント補訂、2023年6月6日更新、12月8日更新、12月9日企業紹介表、2024年2月14日メタの回復、2024年6月2日更新、6月19日更新、11月8日肥満症治療薬を手がける企業の躍進)
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