時価総額から見た世界の大企業ランキングについては図録5410に掲げたが、ここでは、かって(1960年当時)のトップ4企業と近年のトップ4企業の年間収益の最近の動きを対比させたグラフを示した。

 かって(1960年当時)のトップ4企業は、自動車、電機の製造大企業であるゼネラル・モーターズ、フォード自動車、GE(ジー・イー)と石油企業のエクソン・モービルである。

 近年のトップ4企業アップル、フェースブック、アマゾン、グーグルという「ビッグ・フォー」テクノロジー企業("Big Four"tech companies)である。

 往年のトップ4企業の年間収益は巨大だが低迷していることが明らかである一方、近年のトップ4企業の年間収益は、ほんの少し前の2000年代には今と比べて非常に小さなレベルだったが2010年代には急成長し、今や往年のトップ4企業を上回るレベルに達している。

 図録5410で見た通り、時価総額で測った大企業ランキングでは年間収益以上に近年のトップ4企業のレベルが往年のトップ4企業のレベルを大きく凌駕しているが、それは将来の年間収益見通しが株価に反映しているためである。

 世界の大企業トップ4の新旧交代はまことに際立った様相を呈しているといえよう。

 この図を掲載しているのは、教育分野にとっての社会経済トレンドの意味を整理するために作成されている3年毎のOECD報告書(Trends Shaping Education)の2022年版であるが、このデータを引きながら以下のように述べている。

「知的財産やブランド戦略といった無形資産(intangibles)が今日の経済ではキーとなっている。無形資産のパワーの例としては、何十年か前のフォーチュン500において支配的だった伝統的企業の収益が低下傾向をたどっているのに対して数社のテクノロジー企業が大きく成長している点があげられる。アマゾンの収益は2005年から2020年にかけて4000%以上伸びているのに対して、エクソン・モービルのそれは約50%に減少しているのである。

 有形資産と異なって、無形資産は多くの場所で同時に繰り返し使用することが可能だ。アップル、アマゾン、グーグルといった企業がほんの15年の間に、2020年だけで18兆ドル以上の収益を生み出すに至った急速な成長を説明できるのはそうした可塑性である。

 しかしながら、こうした大企業による無形資産への投資は市場集中をますます加速し、こうした最先端企業と乗り遅れた競争企業との間の生産性ギャップを広げ、競争環境を逼塞させ、長期的な成長やイノベーションを脅かしているともいえる。

 無形資産がますます価値を増すにつれて、新製品やビジネスプロセスの創造に必要な個々人の技術的、ソフト的なスキルの開発における教育の役割はますます重要性を増すだろう」。

(2022年2月21日収録)


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