普通良いとされている就職先への就職率だけで大学を評価できないことは当然であるが、良い就職先だけを問題とするとしても、大企業への就職率だけで大学を評価できない。就職先には官庁、法曹界、病院、学校など大企業以外にも多いからである。例えば、学校の先生になる者が多い筑波大学は50位外であるが、学校の先生になるものが多いからであると考えられる。また国家公務員T種試験の合格者は東大が多く(図録3866)、2017年実績の同大出身372人を400社就職者数(1,543人)に合計すると東大の値は34.0%となり、順位は跳ね上がる。 大企業就職率トップは東京工業大、第2位は一橋大、第3位は慶応義塾大(今年のデータが得られないため昨年実績)、第4位は国際教養大学、第5位は豊田工業大学である。これらは若干入れ替えがあるが毎年の同一メンバーである。 大企業就職者数の実数では、早稲田大の3,848人が最多であり、2位は慶応義塾大の3,159人(17年)である。これは、卒業生の規模自体が多いからである。逆に卒業生の少ない一橋大は、大企業就職率は非常に高いが実数は494人と図の100社のうちの26位とそれほど多くない。日本大学は卒業生数では14,361人と最多であるが、大企業就職者数はその8.9%にあたる1,192人と13位立教大の1,199人より少ないのである。 大企業で幅を利かせているのは大企業就職率の高い大学と言うより、数的に多い大学の出身者であろう。しかし、100位までの大学を見渡すと、大企業就職者数については上位50大学の卒業生が圧倒的に多くを占めている状況がうかがえる。 昨年からの変化としては3大メガバンクの採用減の影響で女子大の就職率が下がっている。東西の女子大御三家である津田塾大、東京女子大、日本女子大、京都女子大、同志社女子大、神戸女学院大も大企業就職率が下がっている。また、金融系の就職者が多い一橋大が昨年の1位から2位に下がったのもこの影響と見られる。 大企業就職者数の過去数十年の累積によって大学をランキングした結果については図録3864参照。 大企業就職率の高い順に大学名を列挙すると以下の通りである。カッコ内には大企業就職者の人数を付記した。東京工業大学(918人)、一橋大学(494人)、慶應義塾大学/17年(3,159人)、国際教養大学(77人)、豊田工業大学(34人)、名古屋工業大学(404人)、早稲田大学(3,848人)、東京理科大学(1,049人)、電気通信大学(282人)、大阪大学(1,570人)、名古屋大学(909人)、東京外国語大学(230人)、九州工業大学(351人)、上智大学(847人)、京都大学(1,374人)、豊橋技術科学大学(154人)、横浜国立大学(614人)、芝浦工業大学(532人)、青山学院大学(1,173人)、同志社大学(1,883人)、京都工芸繊維大学(208人)、神戸大学(889人)、東北大学(994人)、東京農工大学(275人)、明治大学(1,822人)、国際基督教大学(121人)、学習院大学(471人)、東京大学(1,543人)、大阪府立大学(404人)、関西学院大学(1,348人)、九州大学(999人)、聖心女子大学(134人)、立教大学(1,199人)、長岡技術科学大学(129人)、学習院女子大学(105人)、東京女子大学(205人)、北海道大学(767人)、日本女子大学(320人)、立命館大学(1,647人)、首都大学東京(431人)、中央大学(1,282人)、東京都市大学(342人)、フェリス女学院大学(126人)、津田塾大学(125人)、法政大学(1,443人)、成蹊大学(370人)、大阪市立大学(339人)、小樽商科大学(106人)、白百合女子大学(94人)、関西大学(1,303人)、神戸女学院大学(111人)、昭和女子大学(249人)、成城大学(249人)、南山大学(413人)、東京海洋大学(85人)、西南学院大学(325人)、千葉大学(475人)、滋賀大学(132人)、神戸市外国語大学(77人)、筑波大学(587人)、筑波技術大学(12人)、工学院大学(212人)、東京電機大学(298人)、兵庫県立大学(146人)、明治学院大学(458人)、広島大学(413人)、横浜市立大学(148人)、岡山大学(388人)、同志社女子大学(216人)、京都府立大学(62人)、奈良女子大学(74人)、京都女子大学(188人)、熊本大学(261人)、静岡大学(265人)、室蘭工業大学(78人)、大妻女子大学(207人)、清泉女子大学(56人)、和歌山大学(130人)、金沢大学(258人)、金城学院大学(153人)、藤女子大学(67人)、立命館アジア太平洋大学(141人)、福岡女子大学(29人)、長崎大学(181人)、東洋英和女学院大学(65人)、名古屋市立大学(94人)、信州大学(251人)、創価大学(201人)、甲南大学(236人)、公立はこだて未来大学(28人)、徳島大学(153人)、函館大学(7人)、名古屋外国語大学(97人)、大阪工業大学(158人)、下関市立大学(58人)、北見工業大学(38人)、武蔵大学(111人)、東北女子大学(11人)、三重大学(163人)、岐阜大学(150人)、(参考)日本大学(1,192人)。 (2007年8月15日収録、2009年9月7日更新、2010年3月29日神戸女子学院大学を神戸女学院大学に修正、2010年12月6日更新、2011年1月24日国家公務員T種試験合格者のコメント追加、2013年2月19日更新、10月29日更新、2015年7月23日更新、10月1日原資料の400社形容詞を主要・有力から著名に変更、2015年11月3日更新、2017年9月8日更新、9月24日大学院修了者を含むかどうかの表示追加、(注)を原資料に近い表記に変更、2018年9月14日更新)
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