(2019年ピューリサーチセンター調査) 旧ソ連以外を含む旧共産圏8か国の調査結果では、ブルガリア、ウクライナ、ロシアの3カ国では、経済状況が「改善」されたが20%台と「悪化」の50%台の半分近くとなっており、プラスマイナス「悪化」しているという結果であった。 一方、スロバキア、ハンガリー、リトアニア、チェコ、ポーランドは「改善」が「悪化」を上回っており、この順で、「改善」超過幅がスロバキアの7%ポイントからポーランドの65%ポイントと大きな異なっている。 主要国を3グループに分けると、 @ 悪化(ウクライナ、ロシア) A やや改善(スロバキア、ハンガリー) B 大きく改善(ポーランド、チェコ) となろう。 こうした差は、西欧に近い旧共産圏諸国の方が、西欧からの工場進出などで市場経済にスムーズに組み込まれやすかったからという側面とソ連崩壊で旧ソ連諸国は社会主義時代に周辺共産圏諸国より国家経済の恩恵に浴していた反動で経済衰退が著しかったという側面とがあろう。 (2013年Gallup社調査、当初掲載時のコメント) ソ連崩壊が、結局、良かったのか、悪かったのかについては、旧ソ連15カ国のうち調査対象となった11カ国の計では、良かった(利益があった)が24%、悪かった(不利益があった)が51%となっており、過半数が悪かったと考えている。Gallup社の記事には「1991年のソ連解体以降、多くの国民が、容易でない生活を送ってきた。住民は、戦争、革命、クーデター、地域紛争、繰り返す経済不況を潜り抜けながら暮らしてきた。ロシアでも同様であるが、ロシアは旧ソ連の諸共和国に対して、今なお、かなりの経済的政治的影響力を行使し続けている」とある。 意見は国によりかなりの差がある。スラブ系のウクライナでは、ロシアとほぼ同じ程度の55%前後が悪かった(不利益があった)としている。同じスラブ系のベラルーシや隣接するラテン系のモルドバでは、良かったとするものは同じ程度の%であるが、悪かったとするものの比率はやや小さい。 カフカス諸国は、グルジアもアゼルバイジャンも、良かったとするものが悪かったとするものより多くなっている。グルジアでは両者がほぼ拮抗している。同じカフカス諸国でもアルメニアは、逆に、悪かったとするものが66%と旧ソ連諸国の中でもっとも多い。 中央アジア諸国は、キルギスのように悪かったとするものが多い国からトルクメニスタンのように良かったとするものが多い国まで、ばらつきが大きい。タジキスタンはキルギスに近く、カザフスタンはトルクメニスタンに近い意見となっている。 この設問での調査がなかったバルト三国では、良かったとするものが多そうな気がするが、分からない。 なお、年齢別に見ると、若い世代では、良かったが悪かったと同じぐらいいるのに対して、中高年層や高齢者では、悪かったが6〜7割と多くを占めているのが目立っている。こうした状況は、Gallup社の記事によると各国で共通している(グルジアは例外で各年齢層とも同じように利益があったとする回答傾向だったが)。「これら11カ国では、年金保証や無料の医療といった高齢層のセーフティ・ネットが、ソ連邦の解体とともに消失したため、高齢者は不利益があったと回答する傾向にあるのである。」 ウクライナ、バルト諸国など旧ソ連諸国では国民意識を抱きにくい状況にある点については図録9465参照。 各国の価値観の違いや変化の方向については、図録8975a「イングルハート価値空間における旧ソ連諸国の位置変化」参照。ロシアとウクライナの価値観変化は図録9458参照。 ロシアを除く旧ソ連諸国の人口規模と民族については図録8975参照。ウクライナの地域別人口・民族・産業については、図録8990参照。 以下、ソビエト連邦(ソ連)崩壊後20年の年表を掲げる。
(2014年4月11日収録、図録8975からソ連崩壊20年年表、コラム「イングルハート価値空間における旧ソ連諸国の位置変化」を移管、2022年3月2日2019年調査結果追加、2023年3月26日コラム「イングルハート価値空間における旧ソ連諸国の位置変化」をデータを更新して図録8975aとして独立化)
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