おおまかには日本と似ているが、フランスの人口ピラミッドは典型的な釣り鐘型であり、日本と比べ、凸凹が少なく年齢層による人口規模の違いが小さい点、日本のような末つぼまり(少子化の影響による)が見られない点が異なっている。学校の生徒児童数の変化も小さく、日本のような空き教室の活用といった問題も小さいのではと想像される。 詳しく見ていくと、安定しているとはいえ、ピラミッドに2つの断層が認められる。1つ目は75〜79歳(1940年代前半生まれ)と70〜74歳(1940年代後半生まれ)との間であり、人口が急増している。2つ目は、45〜49歳(1970年代前半生まれ)と40〜44歳(1970年代後半生まれ)との間であり、逆に、人口が急に減少している。 1つ目の断層は、第2次世界大戦の終了に伴うものである。2度にわたる世界大戦でフランスは多くの若者を失い(第1次世界大戦では労働人口の1割超の犠牲者が出たといわれる)、社会の混乱とあわせて、出生数が伸び悩んでいた。終戦後は、その反動でベビーブームが起こった。これは日本と同様である。日本と異なるのはベビーブームが1940年代後半から1960年代まで長く継続した点である。このため、日本のような前後に比べ特段人口の多い団塊の世代は生まれず、また従って団塊ジュニア層のような出っ張りもない。 日本と比べベビーブームが長く継続した理由には3つの要因が考えられる(出生率が長く高い水準を続けていた点については図録1550参照)。
第2の断層を生んだのは、3つの要因によると考えられる。
かくしてフランスの人口ピラミッドは日本と比較して凸凹の小さい安定的な釣り鐘型のパターンが形成されたといえよう。また、日本ばかりでなく、ドイツ、イタリアと比較しても高齢化率の上昇はそれほどではない状況が生まれていると考えられる(図録1157)。 (参考資料) 社団法人 エイジング総合研究センター「フランスの出生動向と家族政策−少子・高齢化に関する国際研究−」(平成9年度) (2009年11月26日収録、2015年4月6日更新、2019年6月11日更新、2023年1月21日更新)
[ 本図録と関連するコンテンツ ] |
|