65歳以上人口比率であらわした日本の高齢化率の推移と将来推計を主要国と比較した図を掲げた。2011年5月以前は2050年までの推計を掲げていたが、2010年改訂以降は国連が2100年までの推計を発表したので、推計年を同年までとした。国連推計とわが国の公式推計である社人研の違いについては図録1151コラム参照。国連資料で、主要国の生産年齢人口の将来動向を図録1158で見ているのでこちらも参照されたい。200カ国近い世界各国の現時点の高齢化率については図録1159参照。

(これまでの推移)

 欧米諸国では、多産多死から少産少子への移行において、死亡率の低下が出生率の低下に先行する人口転換の過程が日本よりはやく終息し、1930年代頃から高齢化率の上昇がはじまったが、当時、日本は、なお、人口転換の過程の中にあり、高齢化率は横ばい、ないし若干の低下傾向にあった。

 戦後になって、平均寿命の伸びと少子化の進展により高齢化が進むと共に、ベビーブームと急速な少子化によって団塊の世代が生まれ、この世代が65歳以上となるため、近年、欧米を上回るスピードで高齢化が進展しており、これが日本の高齢化の大きな特徴となっている。

 2005年国勢調査の高齢化率20.2%は、図中の他の先進国を上回って世界一となった。

(将来推計)

 日本の今後の高齢化率は上昇を続けた後、2065年に38.4%に達し、その後、ほぼ横ばいで推移すると推計されている。すなわち、欧米主要国を上回って世界一が継続すると予測されている。

 なお、わが国が公式に採用している社会保障・人口問題研究所の推計より国連の推計は、高齢化の進捗度が低くなっていた。これは、国連推計は人口置換水準(人口が減らない水準)の出生率に到達する(日本の場合は上昇する)と仮定していたが、社人研推計は2065年の1.4433まで回復した後、一定で推移すると仮定しているからである。2019年改訂で国連の推計が見直された点については後段の記述参照。

 なお、こうした急速な高齢化は世界の中でも日本がまず経験する事態であるが、韓国や中国など日本を追って同様の動向にある途上国も日本に遅れて、同様に、あるいは日本以上に急速、急激な高齢化に突入すると考えられる(カーブの傾斜度に注目)。図には韓国と中国の将来推計を掲げたが、非常に若い国として目立っていた韓国が、2040年以降には高齢化率で欧米諸国を上回り、また日本をも上回ると推計されている。中国もこれを追って高齢化が大きく進展すると見込まれている(中国の場合、国連推計人口2012年改訂以降、高齢化の将来予想が早くまた高水準になっている)。

 出生率の高いヒスパニック系人口の比率が大きく増大すると見込まれる米国では、高齢化比率は2040年頃以降は図の主要国の中で最も低くなると予想されるのも印象的である。

 欧州の中では出生率水準を反映して、イタリアのみ、日本、韓国並みに高齢化率が高まると予測されている。

 フランスとドイツの推移は興味深い。戦前は一貫してドイツと比較して高齢化率の高かったフランスが、戦後、2000年までは、ほぼ同等水準となり、21世紀に入るとドイツと逆転し、今後も、2070年ごろまでは、ドイツがフランスを大きく上回る見通しである。戦前、2度の世界大戦でドイツに敵わなかった理由のひとつが人口規模のせいだと考え、戦後、フランスが積極的な家族政策を採用したという経緯が反映していると思われる(フランスの人口ピラミッドを示した図録8930参照)。

(2019年改訂による見直し)

 2017年改訂からの変化としては、出生率の最近の動きを反映するなどして、@日本が上方シフトし、日本の公式推計に近づいた点、A韓国とイタリアがかなり上方シフトし、日本を上回ることがなかった韓国が新たに2050年以降日本を上回るに至った点、Bドイツが下方シフトした点、などが目立っている。Aについて、韓国の少子化の進行が最近著しい点については図録1550参照。

(2007年2月19日収録、2009年4月14日更新、国連2004年改定値から2008年改定値に変更、及び韓国追加、2011年5月5日国連2010年改定値に変更、及び中国追加、5月20日2100年までの推計に図を延長、2012年2月9日社人研新将来推計で更新、2013年7月12日国連12年改訂で更新、2014年12月12日グラフ凡例改善、2015年8月20日国連15年改訂で更新、2016年8月27日2015年国調速報集計値、11月12日同確報値、2017年4月12日社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」により改訂、4月13日独仏対比、6月26日国連17年改訂で更新、2019年6月28日国連19年改訂で更新)


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