対象国は6カ国であるが、うちフランス、あるいはノルウェイ、スウェーデン、デンマークといった北欧の国では、両者には関連が認められる。 フランスでは1980年代に少子化対策公的支出は対GDP比で縮小したが、合計特殊出生率も平行して低下していた。前者が1990年から大きく引き上げられたが、すぐには出生率は上昇せず、90年代半ばになって効果があらわれたのか出生率は上昇に転じた。 ノルウェーでは1980年代後半から少子化対策も強化され、出生率も反転上昇した。1990年代半ばまで少子化対策は強化され続けたが90年頃から出生率は再度低下傾向をたどっている。 スウェーデンでは少子化対策と出生率はほぼ平行的に変化している。1990年代前半まで両者ともに上昇し、90年代前半以降は少子化対策は財政難によるものであろうが低下したため、出生率も低下した。 デンマークでは1980年代半ばから1990年代半ばまで少子化対策が連続的に強化され、出生率もそれと平行的に上昇を続けたが、90年代半ばから、両方ともよぼ横ばいで推移している。 こうした国と対照的にオーストリアや日本は、少子化対策と出生率はリンクしていない。 オーストラリアでは、少子化対策の公的支出は80年代〜90年代を通じて、1%前後の水準から3%水準へと大きく強化されたが、出生率はほぼ一貫した低下傾向を示している。 日本は、他国と比べ、少子化対策の公的支出レベルは極端に低く(各図の右目盛をご覧あれ)、出生率の傾向的低落を押しとどめる役割は期待しようがない。それでも何とかしなくてはという気持ちのあらわれで1990年代に入り2001年まで、0.4%から0.6%程度まで支出レベルは拡大している。 (2005年3月11日収録)
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