日本人、特に女性が、近年、睡眠を減らしてまでも身の回りの用事に時間を割いている状況を図録23202325で見た。身の回りの用事の時間の増加は、自由時間の増加に伴い、おしゃれや身体ケアに時間を多くかけるようになったためと考えられる。

 ここでは、地域別(都道府県別)の女性有業者の身の回りの用事の時間を「おしゃれ努力度」として図録化した。

 更新前の2001年データ(図録7320x)、2011年データ(図録7320y)では、有業者ベースで比較していたが、これは地域別の年齢構成の違いや有業率(労働力率)の違いの影響による生活時間配分の差を考えに入れないで済むからである。今回の2021年データでは、計算しやすい原データが公開されたので、年齢調整済みのデータを算出して都道府県値を示した。このため、年齢構成の違いは厳密にキャンセルアウトされているが、有業率の違いは結果に反映している可能性がある。

 最も身の回りの用事に時間を割いている地域は、岡山の101.1分、兵庫の101.0分、滋賀の100.8分と続いている。さらに山口、徳島、和歌山などの身の回りの用事の時間も長い。これらの地域はおしゃれに割いている時間が長いと推測できる。

 逆に、身の回りの用事の時間が短いのは、沖縄が83.6分と最短であり、これに福島、山形、富山が続いている。これらの地域は、おしゃれに余り頓着しない、あるいは身の回りの用事を手早く済ませるのがうまい地域なのであろう。

 個別県の高低を無視した地域分布パターンとしては、大都市地域で高く、東日本より西日本でおしゃれ努力度が高いという傾向が認められる。ただし、西日本の中でも中四国が高く、九州・沖縄は低い。

 おしゃれの努力をしたからといってオシャレな存在になれるとは限らない。2番目の図には、おしゃれ努力度と実際にオシャレな人が多いかの相関図を掲げた。

 「オシャレな人が多いか」のデータはねとらぼ調査隊サイトにおけるネット・アンケートによるオシャレな人が多いかという設問への回答を使った。ネット調査なので、こういうデータもあるという程度の信ぴょう性がそれほど高くないものであるが、おおまかなところはうかがえよう。

 おしゃれ努力度の高い兵庫にはオシャレな人が多いと考えられており、また他方、おしゃれ努力度の低い福島や沖縄ではおしゃれな人が多いとはみなされていない。

 これだけ取ればおしゃれ努力度と実際のオシャレとは比例している。しかし、実際は両者は必ずしも相関していない例も多くなっている。

 非常にオシャレだとみなされているのは、上位の方から神奈川、福岡、東京、兵庫であるが、これらの都県のおしゃれ努力度は中位レベルであるにすぎない。また、兵庫と同じぐらいおしゃれ努力度の高い岡山や滋賀などはオシャレな県とみなしている者はせいぜい数人である。

 2001年のデータを分析した旧図録(7320x)では、自由時間やマイカー通勤比率との関連を探っている。

 図録2329b(おしゃれ国ランキング)では同じ考え方で各国のおしゃれ度を比較した。

(2006年8月22日収録、2012年10月1日更新、2023年6月30日更新)


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