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 2019年における交通事故死者数は3,215人(前年比−317人、−9.0%)で、警察庁が保有する1948年以降の統計で最少となった。こうした交通事故死の減少傾向は先進国共通の現象である点については図録6826参照。

 警察庁「令和元年における交通死亡事故の発生状況等について」より第2図以降を掲載した(表示選択)。

 交通事故死者数は減ってきているが、高齢者の死者数は減り方が小さいため、高齢者の割合が大きくなっている。H24(2012年)以降は、高齢者の割合が5割を上回っている。人口当たりの交通事故死亡者数は高齢者の場合、全年齢層の2倍近くとなっている。

 死者の状態別の死亡者数は、歩行中、自動車運転中、バイク運転中、自転車運転中の順となっている。

 歩行中の交通事故死者数の7割と多くは高齢者で占められている。高齢者も高齢者以外も歩行中の死者は交通違反が原因であるケースが多い。

 逆に運転する方も75歳以上の高齢者による死亡事故が多くなっている。しかし、免許人口当たりでは高齢者の死亡事故率は減少傾向にあり、また、高齢ドライバーが実数でも人口比でも増えている割に、高齢ドライバーによる死亡事故件数自体もこの5年は増えている訳でもない。

 2019年4月19日の東京・池袋で乗用車が暴走し母子2人が死亡した事故など、自分だけでなく高齢者以外に死亡者を出す高齢ドライバーの運転ミスが引き起こした死亡事故が相次いで起こり、それがマスコミによって大きく報道されたせいで、高齢ドライバーによる死亡事故そのものが増加しているような印象になっている可能性があろう。

 2018年の年齢別の免許人口当たり死亡事故件数が報じられた際にも、メディアは、ここで掲げた減少傾向については掲載せず、単年次の年齢別の値のみを報じるので、そうした印象は是正されない(毎日新聞2019.6.22)。

 なお、飲酒運転、シートベルト非着用、携帯電話使用などで交通事故の死亡率は相対的にかなり高い点のデータを掲げている。

 全体としては、我が国の交通事故はますます高齢者が被害者として、また加害者として関わる程度が高くなっている点が明らかである。

 交通事故死者数の長期推移については図録6815参照。また、交通事故の国際比較については、図録6830、図録6836を参照されたい。高齢ドライバーの増加についての国際比較は図録6374参照。

(2006年5月17日収録、2011年6月3日更新、2013年2月28日更新、2014年2月27日更新、2016年3月31日更新、2017年1月5日更新、2018年4月22日更新、2019年6月22日更新、2020年10月15日更新)


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