交通事故死数の国際比較は図録6830でふれたが、ここでは、交通事故死の状態別のシェアを主要国間で比較したグラフを掲げた。ここで、自転車、オートバイ、乗用車は各々に乗車中の者の事故死を指す。

 日本の特徴は、歩行者の比率が高い点、及び自転車の比率が高い点にある。

 歩行者の交通事故死に対しては、多くの国で関心が高まっているが、比率は国ごとに13%〜36%と大きく異なる。日本で歩行者の比率が高いのは、高齢化が他国より進んでいるためのほか、乗用車の衝突死亡事故、あるいは乗用車どうしの死亡事故が、道路事情、速度等の交通規制、安全ベルトなど自動車安全設備、交通安全対策などの抑止努力などの要因により少ないためだと思われる。

 自転車の比率が高いのは高齢化の要因とともに自転車普及率が高いからだと考えられる。ドイツが日本に次いで自転車の比率が高いのも同じ理由であろう。

 参考までに、年齢別の交通事故者数構成のグラフを同時掲載した。日本は65歳以上の高齢者の比率が半数を越えている点で目立っている。また、日本の特徴としては、15〜24歳の若者の事故死の比率が欧米の半分と相対的に少ない点も目立っている。

交通事故死の状態別のシェアの国際比較(2004年)

(以前に掲載していた過去の国際比較データを掲げる。国数が多いデータなので参考になる。コメントも以前のまま以下に掲げる。)


 交通事故死数の国際比較は図録6830でふれたが、ここでは、交通事故死の状態別のシェアを国際比較したグラフを掲げた。

 日本の特徴は、歩行者の比率が高い点(世界第5位)、及び自転車の比率がオランダに次いで世界第2位の高さである点にある。

 歩行者の交通事故死に対しては、多くの国で関心が高まっているといわれるが、比率は国ごとに8%〜40%と大きく異なる。経済発展度の低い国で一般的に歩行者死亡比率が高いが、これは、モータリゼーションの普及レベルの相対的な低さ、及び歩行者の安全施設の未整備、またクルマやクルマのスピードに対する危険性の認識の低さによるものとされる。日本のような先進国における歩行者死亡率の高さは高齢化など多くの要因によるとみられる。

 自転車死亡率はオランダで特に高いが、これは、自転車が主要な交通手段となっているからだと考えられる(図録6370参照)。

 全体に交通事故死が押さえ込まれる中で、最近、多くの国でオートバイによる死亡事故が増えていることが問題となっている。例えば、米国では、2000年から04年にかけ、全体の交通事故死は2%増に止まっているのに対して、オートバイによるものは34%増となっている。

 なお、対象国は、31カ国、具体的には、歩行者の事故死の比率の高い順に、メキシコ、韓国、ポーランド、リトアニア、日本、ブルガリア、ウクライナ、ハンガリー、英国、チェコ、アイルランド、スイス、ポルトガル、ギリシャ、オーストリア、オーストラリア、ドイツ、スペイン、スウェーデン、カナダ、フィンランド、イタリア、スロベニア、デンマーク、フランス、米国、ベルギー、ニュージーランド、スロバキア、オランダ、ノルウェーである。

(2006年10月29日収録、2014年4月23日更新)


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