日本経済の推移の最も基本的なグラフとして経済成長率の推移が掲げられることが多いが、上図はそれである。なお、ここで経済成長率とは、実質GDPの対前年度増減率のことであり、経済規模がどれだけ伸びたかをあらわしている(
データ出所)。
参考までに表示選択で「暦年ベース」の値も見れるようにした。また、人口1人当たりの豊かさをあらわす「1人当たり実質GDP」とその伸び率については図録
4440参照。
景気変動により毎年の変動は小さくないものの長期的な傾向としては、「高度成長期」から「安定成長期」、「低成長期」へと移り変わるにつれて経済成長率が平均して9%台、4%台、そしてほぼ1%へと段階的に低下してきた点が図を見れば一目瞭然である。
2023年度の経済成長率は1.2%と昨年度よりさらに低下した。
2022年度の経済成長率は1.6%とマイナスからの反動の要素が減じ21年度より低下した。
2021年度の経済成長率は新型コロナの影響から脱し2.7%と低成長期の平均を越えたが、これは前年度のマイナスからの反動の側面が大きいと考えられる。
2020年度の経済成長率は新型コロナの影響から-4.1%と戦後最低となった。
2019年度の経済成長率は-0.8%と低い値となった。これは、2018年の第4四半期における消費税導入の反動による落ち込み、その後19年第1四半期も新型コロナの影響で大きなマイナスだったためである。
暦年毎、及び近年の四半期別の経済成長率とその需要項目別寄与度は図録
4420参照。
日本の経済成長が世界経済の成長に占めるウエイトの変化については図録
4505参照。経済成長率の変化が国民意識に及ぼす影響については
図録2400参照のこと。
なお、景気を対前年伸び率でなく、1次回帰線からの乖離幅で見た例を図録
2780に掲げた。景気回復といっても回復の程度はそれほどでないことが分かるので、この見方の方が、実感に近いかも知れない。
成長率の値はかなりの頻度で過去に遡って改訂される。例えば、新しい方から、
- 2020年12月の改訂(基準年次変更に伴う改訂)
- 2016年12月の改訂(93SNAから2008SNAへの大改訂、資本概念の変更については図録5165コラム参照)
- 2011年12月の改訂(基準年次変更に伴う改訂)
- 2006年12月の通常改訂
は以下のようにかなりの幅であった。上記の改訂前の数字の併記を見れば分かるとおり、直近の公表値を信じて確定的な論旨を立てると場合によっては恥をかく事態になりかねない。
実質GDP成長率
(2020年12月8日改定)
|
改定値
(2015年
暦年基準) |
改定前
(2011年
暦年基準) |
改訂
幅 |
1995年度 |
3.2 |
3.3 |
-0.1 |
1996年度 |
2.9 |
2.9 |
0.1 |
1997年度 |
-0.1 |
0.0 |
-0.2 |
1998年度 |
-1.0 |
-0.9 |
-0.1 |
1999年度 |
0.6 |
0.7 |
-0.1 |
2000年度 |
2.6 |
2.5 |
0.1 |
2001年度 |
-0.7 |
-0.5 |
-0.2 |
2002年度 |
0.9 |
0.9 |
0.0 |
2003年度 |
1.9 |
2.0 |
0.0 |
2004年度 |
1.7 |
1.7 |
0.0 |
2005年度 |
2.2 |
2.0 |
0.2 |
2006年度 |
1.3 |
1.4 |
-0.1 |
2007年度 |
1.1 |
1.2 |
-0.1 |
2008年度 |
-3.6 |
-3.4 |
-0.2 |
2009年度 |
-2.4 |
-2.2 |
-0.3 |
2010年度 |
3.3 |
3.3 |
0.0 |
2011年度 |
0.5 |
0.5 |
0.1 |
2012年度 |
0.6 |
0.8 |
-0.2 |
2013年度 |
2.7 |
2.6 |
0.1 |
2014年度 |
-0.4 |
-0.4 |
0.0 |
2015年度 |
1.7 |
1.3 |
0.5 |
2016年度 |
0.8 |
0.9 |
-0.2 |
2017年度 |
1.8 |
1.9 |
-0.1 |
2018年度 |
0.3 |
0.3 |
0.0 |
2019年度 |
-0.3 |
0.0 |
-0.4 |
(資料)内閣府 |
実質GDP成長率
(2016年12月8日改定)
|
改定値
2008SNA |
改訂前
93SNA |
改訂幅 |
1995年度 |
3.5 |
2.7 |
0.8 |
1996年度 |
2.7 |
2.7 |
0.0 |
1997年度 |
0.0 |
0.1 |
-0.1 |
1998年度 |
-0.8 |
-1.5 |
0.7 |
1999年度 |
0.7 |
0.5 |
0.2 |
2000年度 |
2.5 |
2.0 |
0.5 |
2001年度 |
-0.6 |
-0.4 |
-0.2 |
2002年度 |
0.9 |
1.1 |
-0.2 |
2003年度 |
2.1 |
2.3 |
-0.2 |
2004年度 |
1.5 |
1.5 |
0.0 |
2005年度 |
2.1 |
1.9 |
0.2 |
2006年度 |
1.4 |
1.8 |
-0.4 |
2007年度 |
1.2 |
1.8 |
-0.6 |
2008年度 |
-3.5 |
-3.7 |
0.2 |
2009年度 |
-2.2 |
-2.0 |
-0.2 |
2010年度 |
3.2 |
3.5 |
-0.3 |
2011年度 |
0.5 |
0.4 |
0.1 |
2012年度 |
0.9 |
0.9 |
0.0 |
2013年度 |
2.6 |
2.0 |
0.6 |
2014年度 |
-0.4 |
-0.9 |
0.5 |
2015年度 |
1.3 |
0.9 |
0.4 |
(資料)内閣府 |
実質GDP成長率(2011年12月9日改定-基準年次2000→2005)
|
改定値
(平成17
年基準) |
改訂前
(平成12
年基準) |
改定幅 |
1995年度 |
2.7 |
2.3 |
0.4 |
1996年度 |
2.7 |
2.9 |
-0.2 |
1997年度 |
0.1 |
0.0 |
0.1 |
1998年度 |
-1.5 |
-1.5 |
0.0 |
1999年度 |
0.5 |
0.7 |
-0.2 |
2000年度 |
2.0 |
2.6 |
-0.6 |
2001年度 |
-0.4 |
-0.8 |
0.4 |
2002年度 |
1.1 |
1.1 |
0.0 |
2003年度 |
2.3 |
2.1 |
0.2 |
2004年度 |
1.5 |
2.0 |
-0.5 |
2005年度 |
1.9 |
2.3 |
-0.4 |
2006年度 |
1.8 |
2.3 |
-0.5 |
2007年度 |
1.8 |
1.8 |
0.0 |
2008年度 |
-3.7 |
-4.1 |
0.4 |
2009年度 |
-2.1 |
-2.4 |
0.3 |
2010年度 |
3.1 |
2.4 |
0.7 |
(資料)内閣府 |
実質GDP成長率
(2006年12月1日改定)
|
改定値 |
改訂前 |
改定幅 |
1995年度 |
2.5 |
2.4 |
0.1 |
1996年度 |
2.9 |
2.8 |
0.1 |
1997年度 |
0.0 |
-0.1 |
0.1 |
1998年度 |
-1.5 |
-1.3 |
-0.2 |
1999年度 |
0.7 |
0.6 |
0.1 |
2000年度 |
2.6 |
2.8 |
-0.2 |
2001年度 |
-0.8 |
-0.8 |
0.0 |
2002年度 |
1.1 |
1.1 |
0.0 |
2003年度 |
2.1 |
2.3 |
-0.2 |
2004年度 |
2.0 |
1.7 |
0.3 |
2005年度 |
2.4 |
3.3 |
-0.9 |
(資料)内閣府 |
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