1.はじめに


 日本の経済成長率(実質GDPの伸び率)に関して、需要項目別寄与度の推移を示した。データは内閣府のSNAページによっており、具体的な数値についてはこちらを参照されたい。

 GDP(経済規模)は生産と支出と分配の3つの側面から計測されている(三面等価といって、この3つの合計は一致するものとされる)。支出面をあらわしたのが需要項目別GDPである。

 GDPを計算する場合、支出面のデータが早期に得られやすいことと短期変動の場合は支出面からの影響が大きいので経済変動の分析では、需要項目別GDPがまず着眼される(ニュースでもこれが大きく取り上げられる)。

 寄与度とは、実質GDPの伸びに占める最終消費(家計消費が中心)、民間総資本形成(住宅、企業設備、在庫への投資)、公的需要(公共事業など)、外需(輸出マイナス輸入)などの伸びの割合を示すものであり、寄与率がGDPの伸びを100%とした時の比率であるのに対して、寄与度はGDPの伸びを成長率そのものとした時の比率である。従って各需要項目の寄与度の合計は成長率に一致する。

 輸出の伸びはGDPの伸びとなるが、輸入が同じ額だけ伸びるとGDPに対しては中立となる。外需の伸びは輸出が輸入を上回って伸びていることをあらわす。

2.年次推移 (実額推移は図録4410参照)

 毎年の経済成長率の需要項目別寄与度をあらわした上の第2図を見ると、オイルショック後の1974年の成長率の落ち込みは最終消費がゼロとなり、民間投資や公的需要がマイナスとなって生じており、外需はむしろプラスであった。バブル経済崩壊後の1992〜93年の落ち込みの場合は民間投資の落ち込みが大きく、やはり外需はむしろプラスであった。1998年の落ち込みも同様である(この時は最終消費の落ち込みがきいた)。ところが、リーマンショック後の2009年の大きな落ち込みは輸出の大きなマイナス(輸入の減少を控除した外需のマイナス)の影響が大きい点がこれまでにない特徴となっている。2011〜12年も欧州債務危機と円高、及び原発停止による天然ガス等の輸入増により同様のパターンとなっている。

 2014年の低成長は輸入増に加え、消費税上げによる民間最終消費支出の落ち込みが要因であることが分る。消費税上げは4月からなので前年度の駆け込み需要もあって年度ベース(図録4400)と異なりここで見ている暦年ベースではぎりぎりマイナスではない。

 2015年には円安効果で輸入が減ったため、輸出は前年より減ったが外需寄与度は改善され、設備投資と在庫のプラス寄与もあったので企業活動的にはプラスだったのだが、巷間の説の通り賃金の伸びが弱いことなどから消費税のマイナス効果が消えた後も民間最終消費支出は寄与度がマイナスとなり、このため、全体でも1.2%の伸びに止まった。

 2016年、2017年、2018年は0.5%、2.2%、0.3%(更新前0.6%、1.9%、0.8%)と低空飛行ながらプラスが継続している。

 官公需は2003年からマイナスの寄与度を続けていたが、2009年以降には大型経済対策の影響もあってプラスとなった(図録50905165参照)。

 2020年の実質成長率は4.3%減だった。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、リーマン・ショック後の09年(5.7%減)以来、11年ぶりに通年でマイナス成長となった。

 2022年の実質成長率は1.0%の増となお低く、23年は1.9%とやや回復した。

3.四半期推移 (実額推移は図録4410参照)

「内閣府が15日発表した2024年7〜9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)の速報値は、物価の変動を除いた実質で前期比0.2%増となり、この状態が1年続いた場合の年率換算は0.9%増だった。2四半期連続のプラス成長となった。8月末に上陸した台風10号や全国的な酷暑などが下押し要因となったものの、認証不正問題で停止していた自動車の生産が持ち直したことなどがプラスに寄与したとみられる。GDPの過半を占める個人消費は、前期比0.9%増で、2四半期連続のプラス成長を維持した」(毎日新聞2024.11.15)。

「2024年4〜6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)1次速報は、物価変動の影響をのぞいた実質で直前の四半期より0.8%増え、2四半期ぶりのプラス成長となった。この状態が1年続いた場合の年率換算は3.1%増。認証不正問題があった自動車の出荷停止が解除された影響が大きく、消費や投資が上向いた。内閣府が15日に発表した。GDPの内訳で5割超を占める個人消費は1.0%増で、5四半期ぶりにプラスに転じた。設備投資も0.9%増え、2四半期ぶりのプラス。輸出も1.4%増えた。ダイハツ工業などが認証不正によって止めていた出荷を再開し、売れ筋の車やトラックを買えるようになったことで、消費や投資が押し上げられた。公共投資も4.5%と大きく増え、経済回復を下支えした」(朝日新聞2024.8.15)。

「内閣府が16日発表した1?3月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.5%減、年率換算で2.0%減だった。2四半期ぶりのマイナス成長となった。品質不正問題による自動車の生産・出荷停止の影響で消費や設備投資が落ち込んだ。GDPの半分以上を占める個人消費は前期比0.7%減で4四半期連続のマイナスだった。4四半期連続での減少はリーマン・ショックに見舞われた2009年1〜3月期まで以来で15年ぶりとなる」(日経新聞2024.5.16)。

「 内閣府が15日発表した2023年7〜9月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価の変動を除いた実質で前期比0.5%減、この状態が1年間続いた場合の年率換算は2.1%減だった。マイナス成長となるのは、3四半期ぶり。物価高を背景に個人消費が振るわなかったことなどが要因」(毎日新聞2023.11.15)。

「 内閣府が15日発表した2023年4〜6月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動を除く実質で前期比1.5%増、年率換算は6.0%増だった。市場予想(年率プラス3%程度)を大きく上回り、3四半期連続のプラス成長となった。半導体の供給制約の緩和で自動車などの輸出が伸びた。ただ輸入の減少が統計上プラスに寄与した面も大きく、物価高の影響でGDPの約6割を占める個人消費も低調だった。
 実質GDPの伸び率は、20年10〜12月期(年率7.9%増)以来の大きさだった。景気実感に近いとされる名目GDPは前期比2.9%増で、年率換算は12.0%増となった。物価高を反映して20年7〜9月期(年率22.8%増)以来の高い伸びとなり、金額も過去最高の590兆7千億円に達した。
 4〜6月期の実質を項目別に見ると、個人消費は前期比0.5%減。外食や宿泊は伸びたが、食料品や白物家電が相次ぐ値上がりの影響などで落ち込んだのが響いた。設備投資は0.0%増にとどまった。住宅投資は1.9%増だった」(共同通信2023.8.15)。

「内閣府が14日発表した2022年10?12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.2%増、年率換算で0.6%増だった。プラス成長は2四半期ぶり。22年の実質GDPは前年比1.1%増で、2年連続のプラスだった。新型コロナウイルス禍から経済の正常化が緩やかに進んでいる。内需の柱でGDPの過半を占める個人消費は前期比0.5%増えた。供給制約の緩和で自動車などの耐久財が伸び、政府の観光促進策「全国旅行支援」も追い風に宿泊や交通がプラスだった。飲料など非耐久財は10月の値上げを前に駆け込みがあった反動で減少した。内需のもう一つの柱の設備投資は0.5%減と、3四半期ぶりにマイナスに転じた。半導体製造装置や一般機械などが減った。世界的な半導体需要の減少や海外経済の減速懸念が影響した可能性がある」(日経新聞2023年2月14日)。

「内閣府が18日発表した2022年1〜3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.2%減、この成長が1年続いた場合の年率換算で1.0%減だった。マイナス成長は2四半期ぶり。新型コロナウイルス変異株の感染拡大に伴う「まん延防止等重点措置」の影響で、外食などの個人消費が振るわなかった」(時事通信5月18日)。

「内閣府が15日発表した2021年7〜9月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価変動を除いた実質で前期比0.8%減、この状態が1年続いた場合の年率換算では3.0%減と、2四半期ぶりのマイナス成長となった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言に加え、部品供給網の混乱に伴う自動車の減産が響き、事前の市場予想(前期比0.2%減)を大幅に下回った」(毎日新聞11月15日)。

「内閣府が8日発表した2021年4〜6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.5%増、このペースが1年続くと仮定した年率換算で1.9%増となった。8月に発表された速報値(前期比0.3%増、年率換算1.3%増)を上方修正した。2四半期ぶりのプラス成長に変わりはない。 上方修正した主な要因は、政府最終消費支出と企業の設備投資が速報値よりも伸びたため。政府支出は6月分の医療費の実績値を反映した結果、速報値の0.5%増から1.3%増に改定された。設備投資は1日に発表された最新の法人企業統計を反映し、速報値の1.7%増から2.3%増に見直された」(毎日新聞9月8日)。

「内閣府が16日発表した2021年4〜6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価変動を除いた実質で前期比0.3%増、この状態が1年続いた場合の年率換算で1.3%増だった。個人消費と設備投資のプラス転換が寄与して、全体も2四半期ぶりにプラス成長に転じたが、新型コロナウイルス禍の長期化などで日本経済の回復力は力強さを欠く状況が続いている。GDPについて政府は、ワクチン接種の進展により21年中にコロナ禍前の水準回復を目指すが、「切り札」として期待していた東京オリンピックはほとんどが無観客で開催され、猛威を振るうデルタ株によってコロナの感染者数も過去最多を更新し、目標達成に向けた道筋は険しさを増している」(毎日新聞8月16日)。

「内閣府が8日発表した1〜3月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除いた実質で前期比1.0%減、年率3.9%減だった。5月に公表した速報値(前期比1.3%減、年率5.1%減)から上方修正した。政府消費(政府支出)や企業の在庫の変動が上向きに見直されたのが要因となった。政府消費は速報値の前期比1.8%減から改定値では1.1%減と0.7ポイント上向きに見直された。新型コロナウイルスの感染拡大の影響から医療機関の受診が減り、政府負担分の医療費が減るとしていたが、3月分の統計を反映したところ落ち込み幅が縮んだ」(日経新聞6月8日)。

 内閣府が発表した今年1月から3月期のGDPは、物価の変動を除いた「実質」で前の期より1.3%のマイナスとなった。年率に換算すると5.1%のマイナスで、3期ぶりのマイナス成長となった。1月に新型コロナの感染拡大に伴う2度目の緊急事態宣言が出されたことで、外食を含むサービス消費を中心に個人消費が落ち込んだことなどが影響した。

「10〜12月期は2四半期連続の2桁成長となった。これを受け、西村康稔経済再生担当相は15日に発表した談話で「日本経済の潜在的な回復力を感じさせる内容だ」と評価した。その一方で「経済は依然としてコロナ前の水準を下回っており、回復は道半ばだ」とクギを刺した。内閣府によると、2四半期連続のプラス成長でも、コロナ禍によるGDPの落ち込み分の9割程度を取り戻したに過ぎないからだ。10〜12月期は、GDPの約6割を占める個人消費が好調だった。秋以降の「GoToトラベル」の拡充で外食や宿泊などのサービス需要が持ち直したほか、自動車や家電などの消費も堅調で、前期比2.2%増に回復した。低迷が続いていた設備投資も4.5%増と3四半期ぶりに増加に転じた。中国向けを中心にした外需にけん引され、輸出が11.1%増となり、GDPを押し上げた。しかし、日本経済は足元で再び厳しい状況に立たされている。緊急事態宣言の再発令に伴い、21年1〜3月期の実質成長率は、市場予想の平均で前期比年率5.5%減程度のマイナス成長に落ち込む見通しだ」(毎日新聞2月16日)。

「内閣府が8日発表した2020年7〜9月期の国内総生産(GDP、季節調整値)改定値は、物価変動を除く実質で前期比5.3%増、このペースが1年間続くと仮定した年率換算で22.9%増だった。11月公表の速報値(前期比5.0%増、年率換算21.4%増)から上方修正されたが、新型コロナウイルスの影響で戦後最悪の落ち込みとなった4〜6月期の反動の側面が大きい。約5年ごとのGDPの基準改定を実施したほか、財務省が発表した7〜9月期の法人企業統計など最新の統計を反映し、速報値を見直した」(毎日新聞12月8日)。

「内閣府が16日発表した2020年7〜9月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比5・0%増、この状態が1年続いた場合の年率換算は21・4%増だった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で戦後最悪のマイナス成長(年率28・8%減)だった4〜6月期からの反動もあり、大幅なプラス成長となった」(毎日新聞11月16日)。

 コロナ感染症の経済への影響度を見るためには、四半期別の実質GDPの成長率より対前年同期比の方がはっきりする(下図参照、コメントはこの図を再録した元の図録4410参照)。


「内閣府が17日発表した2020年4〜6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、リーマン・ショック後の09年1〜3月期の年率17.8%減を超える戦後最悪のマイナス成長を記録した。感染拡大を受けた緊急事態宣言で個人消費が大きく落ち込み、感染が世界的に広がって輸出も急減した結果、内外需ともに総崩れだった。マイナス成長は、消費税増税があった19年10〜12月期から3四半期連続となった。

 4〜6月期の内訳は、約6割を占める個人消費が前期比8.2%減と3四半期連続の減少。第1次オイルショックの1974年1〜3月期(6.0%減)を超え、戦後最悪の落ち込みだった。4月上旬から約1カ月半に及んだ緊急事態宣言に伴い、在宅勤務で使うパソコンの周辺機器や巣ごもり消費で食料品は堅調だったが、外食や娯楽、宿泊が大きく減った。自動車の売り上げ減少も目立った。

 設備投資は1.5%減で、2四半期ぶりの減少。テレワークや第5世代通信規格「5G」に関連する投資は底堅かったものの、経済の先行き不透明感の強まりや企業業績の悪化懸念で、投資計画の先送りや変更の動きが広がった。住宅投資は0.2%減で3四半期連続の減少。着工延期や不動産会社の営業自粛が響いた。

 輸出は18.5%減で、2四半期連続の減少。09年1〜3月期(25.5%減)に次ぐ過去2番目のマイナス幅となった。世界各地で感染が広がり、自動車などの生産がストップし、関連製品の輸出が急減した。インバウンド(外国人旅行客)需要もほぼ消失した。輸入はマスクなどの需要があり、0.5%減と小幅な減少にとどまった。

 西村康稔経済再生担当相は17日の記者会見で「緊急事態宣言の下、経済をいわば人為的に止めた影響で厳しい結果になった。ただし、各種支援策の効果もあり、年率マイナス30〜60%となった欧米各国と比べれば減少幅は抑えられた」との見解を示した」(毎日新聞8月18日)。

 年率27.8%の落ち込みは、以下のような事前の予測とほぼ同等な水準であった。米国よりは5%ポイント程度、ユーロ圏よりは12%ポイントほど落ち込み幅は小さかった。感染被害の程度からすれば、もっと落ち込みは小さくてよいはずであるが、その割には、案外、経済への影響は大きかったといえよう。

「2020年1〜3月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の再改定値を受け、民間シンクタンクは17日に発表される4〜6月期のGDP速報値の予想を相次いで公表。緊急事態宣言に伴う外出自粛で個人消費が大幅に落ち込んだことなどから、主要6社が示した見通しの平均は年率26.9%減で、戦後最悪のマイナス成長になるとの見方が強まった」(毎日新聞8月4日)。

 2020年4〜6期のGDP成長率(速報)は、年率換算で、米国は-32.9%、ユーロ圏(19カ国)は-40.3%と伝えられている(東京新聞2020.8.1)。新型コロナの感染拡大に伴う外出制限などで経済活動が低迷しているためである。

「内閣府が8日発表した2020年1〜3月期の国内総生産(GDP、季節調整値)改定値は物価変動を除いた実質で前期比0.6%減、このペースが1年続くと仮定した年率換算は2.2%減で、速報値の年率3.4%減から上方修正した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出や営業の自粛が影響し、2四半期連続のマイナス成長となった。4〜6月期はさらに悪化する見通し。財務省が発表した1〜3月期の法人企業統計などを反映し、5月公表の速報値を見直した。企業の設備投資が速報段階の前期比0.5%減から1.9%増に転じたことが上方修正の主な要因」(毎日新聞6月8日)。

「内閣府が18日発表した2020年1〜3月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価の変動を除いた実質で前期比0.9%減、この状態が1年続いた場合の年率換算は3.4%減となり、2四半期連続のマイナスとなった。新型コロナウイルス感染拡大による外出や営業の自粛の広がりで、個人消費が大きく落ち込んだ。新型コロナウイルスで先行きが不透明なことから、企業が設備投資を控える動きが顕著だったことなども響いた」(毎日新聞5月18日)。

「内閣府が9日発表した2019年10〜12月期の国内総生産(GDP、季節調整値)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比1.8%減、このペースが1年続くと仮定した場合の年率換算は7.1%減となった。2月17日発表の速報値(前期比1.6%減、年率換算6.3%減)から下方修正された。マイナス成長は5四半期ぶり。税率8%への消費税増税があった14年4〜6月期(年率7.4%減)に迫るマイナス幅で、日本経済は新型コロナウイルスの感染拡大前から大幅に落ち込んでいた実態が改めて浮き彫りとなった」(毎日新聞3月9日夕)。

「内閣府が17日発表した2019年10〜12月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価の変動を除いた実質で前期比1.6%減、この状態が1年続いた場合の年率換算は6.3%減となり、5四半期ぶりのマイナスとなった。昨年10月の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減などがあり、個人消費が大幅に減少した。政府は増税の影響を軽減する対策を行ったが、前回の消費税増税直後(14年4〜6月期)の年率7.4%減以来、5年半ぶりの大幅なマイナス成長になった」(毎日新聞2月17日夕)。

「内閣府が9日発表した2019年7〜9月期の国内総生産(GDP、季節調整値)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.4%増、このペースが1年続くと仮定した年率換算は1.8%増となり、速報値の年率0.2%増から上方修正した。企業の設備投資の増加が寄与した。プラス成長は4四半期連続。事前の民間シンクタンク予想の年率0.8%増を上回り、日本経済は堅調さを示した形だ。ただ消費税増税前の駆け込み需要が、内需の柱である個人消費と設備投資を押し上げた面もある。10〜12月期は反動減に加え、台風19号の影響で大きなマイナス成長が予測され、民間エコノミストには景気の停滞が長引くとの見方も出ている」(毎日新聞12月10日)。

「内閣府が14日発表した2019年7〜9月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価の変動を除いた実質で前期比0.1%増、この状態が1年続いた場合の年率換算で0.2%増となった。プラス成長は4四半期連続。10月の消費税率引き上げ前の駆け込み需要などで個人消費が全体を押し上げたが、米中貿易摩擦の影響などで輸出が低調だった。10〜12月期はマイナス成長に落ち込むとの見方が出ている」(毎日新聞11月14日夕)。

 10月からの消費税10%への引き上げがどのような影響を与えるかが注目されている。2014年4月の消費税引き上げでは、直前の1〜3月が駆け込み需要で3.9%と高かった反動で、4〜6月はマイナス7.3%と大きく打ち込んだ。今回は7〜9月が直前にもかかわらず、プラス幅が小さいことから10〜12月の反動減も緩和されると政府は期待しているが、10月は台風19号による影響で消費が想定以上に冷え込む恐れもあるようだ。

「内閣府が9日発表した2019年4〜6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価の変動を除いた実質で、前期比0.4%増。この状態が1年続いた場合の年率換算は1.8%増となり、3四半期連続のプラスだった。自動車販売が好調だったほか、「令和」への改元に伴う10連休で、レジャーなどの個人消費が堅調に推移したことが後押しした」(毎日新聞8月9日)

「内閣府が10日発表した2019年1〜3月期の国内総生産(GDP、季節調整値)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.6%増、このペースが1年続くと仮定した年率換算は2.2%増となり、速報値の年率2.1%増から小幅に上方修正された。企業の設備投資がマイナスからプラスに転じた」(毎日新聞6月10日)。

「内閣府が20日発表した2019年1〜3月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価の変動を除いた実質で前期比0.5%増、この状態が1年続いた場合の年率換算は2.1%増となり、2四半期連続のプラスだった。輸入の急減で、輸出との差額である「純輸出」(外需)が増えてGDPを押し上げたのが主因。輸入急減は内需の弱さを反映しているうえ、個人消費もマイナスになるなど景気の現状は弱含みになっている」(毎日新聞5月21日)。

「内閣府が8日発表した2018年10〜12月期の国内総生産(GDP、季節調整値)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.5%増、年率換算では1.9%増となり、速報値の年率1.4%増から上方修正された。企業の設備投資や輸出の伸びが速報段階を上回った。プラス成長は2四半期ぶりだが、自然災害で経済活動が低迷した7〜9月期(年率2.4%減)からの戻りは鈍かった。中国経済減速の影響が生産や輸出に広がれば、今後は悪化する懸念もある」(毎日新聞3月8日)。

「内閣府が14日発表した2018年10〜12月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.3%増、この状況が1年間続いた場合の年率換算で1.4%増だった。豪雨や地震など自然災害の影響で個人消費や設備投資が一時的に落ち込んだ前期の反動で、2四半期ぶりにプラス成長となった。内訳を見ると、GDPの約6割を占める個人消費が0.6%増と、2四半期ぶりにプラスに転じた。自然災害の影響がなくなったことに加え、大手企業の冬のボーナスが高水準だったことや、夏場に高騰した野菜の価格が落ち着いたことなども消費意欲を改善させた。設備投資も2.4%増と2四半期ぶりのプラスだった。訪日外国人観光客の増加に対応した飲食、宿泊施設の整備や、企業の研究開発投資などの需要が根強く、大幅なプラスに転じた」(毎日新聞2019年2月14日)。

「内閣府が10日発表した7〜9月期の国内総生産(GDP、季節調整値)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.6%減、年率換算で2.5%減となり、速報値の年率1.2%減から大幅に下方修正された。これまで景気回復をけん引してきた企業の設備投資が速報値から大きく落ち込み、自然災害の影響が一段と表れたとみられる」(毎日新聞12月10日)。

「内閣府が14日発表した2018年7〜9月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.3%減、年率換算で1.2%減と2四半期ぶりにマイナスとなった。西日本豪雨や北海道での地震の影響などで、輸出や個人消費が低迷したのが要因」(毎日新聞2018年11月14日)

「内閣府が10日発表した4〜6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.7%増、年率換算で3.0%増となった。速報値の年率1.9%増から大幅に上方修正され、2016年1〜3月期(3.4%増)以来2年3カ月ぶりの高水準。設備投資の伸びが押し上げており、企業活動が成長をけん引する姿が鮮明になった。プラス成長は2四半期ぶり。7〜9月期は西日本豪雨や北海道の地震などの自然災害が相次ぎ、個人消費や生産への影響が懸念されている。内閣府の担当者は先行きについて「注意深くいろいろな統計を見ていかないといけない」と話した」(毎日新聞2018年9月10日夕)。

「内閣府が10日発表した2018年4〜6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.5%増、この状況が1年間続いた場合の年率換算で1.9%増だった。2四半期ぶりのプラス成長となった。個人消費が持ち直したほか、企業の設備投資も堅調に推移した。4〜6月期はGDPの約6割を占める個人消費が0.7%増となり、2四半期ぶりにプラスに転じた。前期に足を引っ張った天候不順による野菜価格高騰などの影響がなくなったほか、自動車や冷蔵庫、テレビなどの販売が好調だった。設備投資は1.3%増と、7四半期連続のプラス。20年の東京五輪・パラリンピックに向けた建設投資などが引き続き堅調だった」(毎日新聞2018年8月10日)。

「内閣府が8日発表した1〜3月期の国内総生産(GDP、季節調整値)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.2%減、年率換算で0.6%減となり、速報値と変わらなかった。マイナス成長は9四半期(2年3カ月)ぶり。先月発表の速報値で前期比0.001%減だった個人消費は0.1%減に下方修正された。一方、企業の設備投資は速報値の0.1%減から0.3%増へとプラスに転じ、住宅投資も2.1%減から1.8%減に上方修正された」(毎日新聞2018年6月8日)。

「内閣府が16日発表した2018年1〜3月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.2%減、この状況が1年間続いた場合の年率換算で0.6%減だった。マイナス成長は15年10〜12月期以来、9四半期(2年3カ月)ぶり。天候不順による野菜価格高騰の影響などで個人消費が落ち込んだことに加え、好調だったアジア向け輸出が伸び悩んだことなどが響いた」(毎日新聞2018年5月16日)。

(参考)需要項目別GDPの内訳

需要項目別実質GDP
     実額(10億円)
(2000暦年連鎖価格)
ウエイト 
2009年
暦年
1980〜2009年
標準偏差
2009年
暦年値
1980〜2009年
標準偏差
国内総生産(GDP) 525,019 82,552 100.0 100.0
民間最終消費支出 304,749 45,087 58.0 54.6
  家計最終消費支出(個人消費) 298,098 43,710 56.8 52.9
同(除く持ち家の帰属家賃) 247,376 36,314 47.1 44.0
民間総資本形成 83,645 17,096 15.9 20.7
  民間住宅 13,151 3,405 2.5 4.1
民間企業設備(設備投資) 70,624 15,734 13.5 19.1
民間在庫品増加 -130 1,362 0.0 1.6
公的需要 118,498 19,255 22.6 23.3
  政府最終消費支出 98,327 17,369 18.7 21.0
公的固定資本形成(公共事業) 19,927 6,308 3.8 7.6
公的在庫品増加 244 855 0.0 1.0
財貨・サービス純輸出(外需) 16,137 6,778 3.1 8.2
  輸出 67,680 19,250 12.9 23.3
輸入 51,544 14,312 9.8 17.3
(注)暦年実額のウエイトは構成比であり合計が100となるが、標準偏差のウエイトはGDPの変動幅と比較してどのくらいかを表示しているのみであり、内訳の合計が100となるような性格のものではない。
(資料)内閣府SNAサイト(2010年4-6月期 1次速報値 <2010年8月16日公表>)

 GDPの需要項目別内訳としては、民間最終消費支出、その中でも個人消費が6割近くを占め大きくなっている。次ぎに公的需要が約2割、民間総資本形成が15%で続いている。公的需要は政府最終消費が大きいが公共事業もかなりある。民間総資本形成の中では設備投資が多くを占める。輸出、輸入は1割前後を占めるが前者から後者を引いた外需は3%に過ぎない。

 景気変動に占める需要項目の重要性は、実額のウェイトだけでは判断できない。各項目が大きく変動するような項目であるかどうかも重要である。上表では標準偏差が毎年のバラツキ(変動幅)の平均を示している。実額と標準偏差のウエイトを比較すると個人消費より設備投資や公共事業、外需の変動幅が大きいことがうかがわれる。これらは景気判断上は重要な項目といえる。

(2010年8月16日収録、8月17日四半期動向を対前年同期比から通常取り上げられることが多い対前期比(年率換算)へ変更、8月18日参考追加、9月10日、11月15日、12月9日更新、2011年2月14日・15日、3月10日、5月19日、6月10日、8月16日、9月9日、11月14日、12月11日、2012年2月13日、3月8日、5月18日、6月8日、8月13日、9月11日、11月12日、12月10日更新、2013年2月14日、3月8日、5月16日、6月10日、8月12日、9月9日、11月15日、12月9日更新、2014年2月17日、3月10日、5月15日、8月13日、9月8日、11月17日、12月8日更新、2015年2月16日、5月20日、6月8日、8月17日、9月9日、11月16日、12月8日更新、2016年2月15日、3月8日、5月18日、6月8日、8月15日、9月9日、11月14日、12月9日更新、2017年2月14日更新、3月6日<iframe>をページ内に統合、3月9日、5月18日、6月8日、8月14日、9月9日、11月15・16日、12月9日更新、2018年2月14日、3月8日、5月16日更新、6月8日更新、過去コメント削除、9月10日、11月14日、12月10日更新、2019年2月14日更新、3月8日更新、5月21日更新、6月10日更新、8月9日更新、11月14・15日更新、12月10日更新、2020年2月17日、3月9日更新、5月18日更新、6月8日更新、8月17・18日、11月16日更新、12月8日更新・基準改定、2021年2月15日・16日更新、3月9日更新、5月18日更新、6月9日更新、8月16日更新、9月8日更新、11月15日更新、12月8日更新、2022年2月15日更新、3月9日更新、5月18日更新、6月8日更新、8月15日更新、以降1次速報値のみ更新、2023年2月14日更新、5月17日更新、8月15日更新、11月15日更新、2024年2月15日更新、5月16日更新、8月16日更新、11月15日更新)


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