経済成長率は、通常、「実質GDPの伸び率」であらわされる。これは経済規模の伸び率がその国の経済状態や国力の動きの指標ととらえられるからである。一方、経済成長率をその国の経済発展度や国民の厚生水準の伸びをあらわすものと考えるときには、むしろ、「人口1人当たり実質GDPの伸び率」を指標とした方が適切である。
前者については、図録
4400で示したので、ここでは、後者のデータを掲げた。
折れ線グラフで示した「1人当たり実質GDP」は1945年の終戦時前後には、今の価格で50万円程度だったが、最近は450万円近くと約9倍となっている。単純に国民の豊かさは当時と比較して約10倍になったと考えてよかろう。
棒グラフであらわした「1人当たり実質GDPの伸び率」の毎年の動きを追うと、日本がたどってきた以下のような経済状態の変遷を、ほぼ、うかがい知ることができよう。
- 終戦時前後の大きな経済の落ち込み
- 1950〜52年の朝鮮特需などを通じた戦後復興
- その後、1973年のオイルショックまでの高度経済成長
- 1970年代後半からの安定成長期
- その中でも1980年代後半におけるバブル経済
- 1990年のバブル崩壊以降の低成長期
21世紀に入ってからの経済変動としては、2009年のリーマンショックの影響と翌年のその反動、2020年のコロナ禍の影響と翌年のその反動も見て取れる。