「ワールド・マラソン・メジャーズ」のシカゴ・マラソンで、大迫傑(すぐる)(27)が2時間5分50秒で3位となり、設楽悠太がつくった2時間6分11秒の日本記録を更新した。またこれにより日本実業団連合による報奨金1億円を手にした。

「大迫は世界最高峰の集団「ナイキ・オレゴンプロジェクト」を練習拠点とする。日本人の約75%は、体への負担は少ない反面、スピードは出にくいヒールストライク走法(かかと着地)。だが大迫が磨いたのは主にアフリカ勢が採用するフォアフット走法(爪先着地)。足の腱を利用し、短い接地時間で効率的に推進する。はだしで走るなどの生活習慣があると自然と身に着くが、日本人は骨格や筋肉も違い、難しいと言われる。今の大迫は太もも裏、ふくらはぎ上部には美しい筋肉が付くが、他は一切無駄がない。世界トップを狙う選手ばかりの環境に身を置き、フォアフットでも42・195キロを走りきれる体を作り上げた」という(日刊スポーツ、2018年10月7日)。

 ピョンチャン冬季五輪の最終日に当たる2018年2月25日に東京マラソンが、東京都庁から東京駅前までの42.195キロのコースで行われ、2位の設楽(したら)悠太選手(26)が2時間6分11秒の日本新記録を樹立した。従来は高岡寿成選手(カネボウ)が2002年シカゴでマークした2時間6分16秒で16年ぶりに5秒更新することとなった。

 日本新記録を作った設楽選手には、陸上競技の振興を図る企業・団体で構成する日本実業団陸上競技連合などから報奨金1億円が贈られた。報奨金制度は2015年に東京五輪に向けてマラソン選手を鼓舞するため創設され、設楽が初の1億円獲得者となった。

 ここでは、男子マラソン日本記録の推移を図にした。世界記録の推移は図録3989e参照。

 1965年に重松選手が世界記録を更新してからは、日本記録は世界記録に遅れを取る状況が続いている。日本記録は、世界記録に大きく差をつけられた後、世界記録にかなり追いつくという動きを2回繰り返したが、現在は、3度目として、世界記録に大きく差をつけられている状況である。

 1度目は1985年前後の瀬古選手・中山選手・児玉選手の時代、2度目は2002年の高岡選手の時代に世界記録に迫ったが、その後は、アフリカ選手の躍進により、大きく差を開けられる格好になっている。2018年の設楽選手の16年ぶりの日本記録やその後すぐの大迫選手の日本記録は、さほど、世界記録との差を縮めることにはなっていない点が残念である。

 なお女子マラソンの世界記録・日本記録の推移については図録3989k参照、また短距離100m走の世界記録・日本記録の推移については図録3988p参照。競泳100m自由形の日本記録については図録3988s参照。

男子マラソンの日本記録の推移
年次 記録 選手 大会
1965年 2時間12分0秒 重松森雄(福岡大) チスウィック
1967年 2時11分17秒0 佐々木精一郎(九州電工) 福岡国際
1970年 2時10分37秒8 宇佐美彰朗(桜門陸友会) 福岡国際
1978年 2時9分5秒6 宗 茂(旭化成) 別府大分
1983年 2時8分38秒 瀬古利彦(エスビー食品) 東京国際
1985年 2時8分15秒 中山竹通(ダイエー) W杯広島大会
1986年 2時7分35秒 児玉泰介(旭化成) 北京
1999年 2時6分57秒 犬伏孝行(大塚製薬) ベルリン
2000年 2時6分51秒 藤田敦史(富士通) 福岡国際
2002年 2時6分16秒 高岡寿成(カネボウ) シカゴ
2018年 2時6分11秒 設楽悠太(ホンダ) 東京
 〃 2時5分50秒 大迫傑(ナイキ・オレゴンプロジェクト) シカゴ
(資料)東京新聞2018年2月26日ほか

(2018年2月26日収録、9月16日世界記録更新、10月7日更新、2019年1月12日宗茂、児玉泰介両選手の名前の誤記修正)


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