男子マラソンの世界記録、日本記録の更新の変遷については図録3989e、図録3989jで追ったが、ここでは女子マラソンの世界記録・日本記録の推移を図にした。

 女子マラソンの日本記録更新は世界記録と比べ、また男子マラソンと比べて大きく遅れている。

 世界記録は英国のポーラ・ラドクリフが2003年のロンドン大会で2時間15分25秒を記録したのち、2019年にケニアのブリジッド・コスゲイ(25)がシカゴ大会で2時間14分4秒で16年ぶりの記録更新を果たした。

 世界記録を更新したコスゲイが履いていたシューズは2017年に市場にリリースされたナイキの厚底シューズ “ヴェイパーフライ” であった。2018年には男子でもこのシューズで走ったキプチョゲがやはり世界記録を更新している(図録3989e参照)。

 日本記録は野口みずき(27)が2005年のベルリン大会で記録した2時間19分12秒が最高である。

 1983年の増田明美のオレゴン・ユージーン大会における記録は世界記録にやや近いものだったが、その後、世界記録が大きく更新されたため、差が開いた。その後、日本記録が世界記録に接近し、ついに同時に世界記録になったのは、高橋尚子(29)が2001年のベルリン大会で記録した2時間19分46秒である。しかし、その後、再度、差は開いている。

 2020年3月8日には、東京五輪女子マラソン代表の最後の1枠を決める名古屋ウィメンズマラソン2020で、一山麻緒(22)=ワコール=が、日本選手歴代4位、また日本選手国内最高記録の2時間20分29秒で優勝した。一山選手もナイキの最新厚底シューズで走った。日本記録が出るかもしれないという状況から当図録へのアクセスも非常に多かった。なお、従来の国内最高は野口みずきが2003年の大阪国際女子で出した2時間21分18秒だった。

 世界記録がどこまで速くなるのかという点については図録3988k(人間はどこまで速く走れるのか)を参照。結論はマラソン女子の記録は限界に近づいているが男子の場合はなお若干の伸びしろがあるというものなので、その通りの状況になっているともいえる。ここでは女子マラソンの限界は2時間15分と計算されている。

女子マラソンの世界記録・日本記録の推移
年次 記録 選手 大会



1982年 2時間29分01.6秒 シャーロット・テスケ(西ドイツ) マイアミ
2時間26分12秒 ジョーン・ベノイト(米国) ユージーン
1983年 2時間25分28.7秒 グレテ・ワイツ(ノルウェー) ロンドン
2時間22分43秒 ジョーン・ベノイト(米国) ボストン
1985年 2時間21分06秒 イングリッド・クリスチャンセン(ノルウェー) ロンドン
1998年 2時間20分47秒 テグラ・ロルーペ(ケニア) ロッテルダム
1999年 2時間20分43秒 テグラ・ロルーペ(ケニア) ベルリン
2001年 2時間19分46秒 高橋尚子(日本) ベルリン
2時間18分47秒 キャサリン・ヌデレバ(ケニア) シカゴ
2002年 2時間17分18秒 ポーラ・ラドクリフ(英国) シカゴ
2003年 2時間15分25秒 ポーラ・ラドクリフ(英国) ロンドン
2019年 2時間14分04秒 ブリジット・コスゲイ(ケニア) シカゴ



1983年 2時間30分30秒 増田明美(川鉄千葉) ユージーン
1988年 2時間29分37秒 宮原美佐子(旭化成) 大阪国際女子
1989年 2時間29分23秒 小島和恵(川鉄千葉) パリ
1991年 2時間28分01秒 有森裕子(リクルート) 大阪国際女子
1992年 2時間26分26秒 小鴨由水(ダイハツ) 大阪国際女子
1994年 2時間26分09秒 安部友恵(旭化成) 大阪国際女子
2時間25分52秒 朝比奈美代子(旭化成) ロッテルダム
1998年 2時間25分48秒 高橋尚子(積水化学) 名古屋国際女子
2時間21分47秒 高橋尚子(積水化学) バンコク・アジア大会
2001年 2時間19分46秒 高橋尚子(積水化学) ベルリン
2004年 2時間19分41秒 渋井陽子(三井住友海上) ベルリン
2005年 2時間19分12秒 野口みずき(グローバリー) ベルリン
(注)ジョーン・ベノイト(米国)の1983年ボストン大会の記録が非公式だとするとイングリッド・クリスチャンセン(ノルウェー)の1984年ロンドン大会の2:24:26がこれに取って代わることになる。
(資料)図と同じ

(2018年12月9日収録、2019年2月1日原資料変更、2020年1月16日更新、3月9日一山選手)


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