NHK朝の連続テレビ小説の平均視聴率の推移は図録3965、NHK大河ドラマの平均視聴率の推移は図録3967でふれた。これらは世帯の視聴率であり、個人の視聴率ではないので、若者や高齢層といった年齢層ごとの視聴率は分からない。

 NHK放送文化研究所では「全国個人視聴率調査」を毎年行い、11月1週間のテレビ・ラジオの視聴状況を調査票に回答してもらう形で調べている。この調査の結果から、コロナ以前2年間の主要なNHKの番組について、男女・年齢別の視聴率をグラフにした。

 結論的には、全体的に見て、NHKの主要番組は、いずれについても若者層は余り見ておらず、主たる視聴者は60代以上の高齢層であることが分かる。

 2018年のNHK朝の連続テレビ小説「まんぷく」について見てみよう。男女ともに年齢が高いほど視聴率が高くなっており、それぞれの年代では、すべて、女性の視聴率が男性を上回っている。この特徴は2017年の「わろてんか」も共通である。ここでは掲げていないが、朝の連続テレビ小説は常にそうした特徴をもっている。

 2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん」については、年齢が高いほど視聴率が高い点は、朝の連続テレビ小説と同様であるが、それぞれの年代については、女性の視聴率の方が高い場合が多いが、30代と60代では男性の視聴率の方が高くなっており、必ずしも、女性に大きく片寄ってはいない点が異なる。一方、2017年の「おんな城主直虎」では、40代以上の各年代で女性の視聴率が男性を大きく上回っており、女性が主人公のドラマだった影響がうかがえる。

 NHKニュース7については、高齢層に視聴者が片寄っている点は、朝の連続小説や大河ドラマと同じである一方、2019年には、30代以上の各年代ですべて男性の視聴率が女性を上回っていた点が目立っている。ニュースに対しては男性の方が関心が高いようだ。ただし2018年についてはそうともいえないようだ。

 新聞が高齢者向けのメディアになっていることを図録3957でふれ、発行部数の多い雑誌も高齢者向けのメディアになっていることを図録3969bでふれたが、「テレビよ、お前もか!」という印象がぬぐい得ない。民放は少し違うかもしれないが、残念ながらデータがないので正確には分からない。

 下図にこの10年間の男女・年齢別の視聴率の推移を掲げた。連続テレビ小説は各層ともほとんど変化がないが、大河ドラマとニュースでは、各層ともに低下していることが分かる。この10年の変化としては、テレビの視聴率が低下しているとしても、若者が低下し高齢者がそのままというのではなく、全般的に低下していると見たほうがよさそうだ。そうだとするとインターネットの影響とばかりはいえない可能性がある。

 ニュースについては若年層はもともと低い視聴率なのであまり変化がない点、また男女別には男性の方の低下の方が目立っており、男女差が小さくなる傾向にある点にも気づく。


(2019年4月12日収録、4月13日10年間推移、2023年4月4日7時のニュースの10年間推移の2016〜18年を2017〜19年に修正・更新)


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