【クリックで図表選択】
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○各回の主演俳優、視聴率、主人公モデル等は末尾の一覧表参照 |
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2024年前期の「虎に翼」は日本初の女性弁護士・判事・裁判所所長となった三淵嘉子氏をモデルに、法曹の世界に飛び込む日本初の女性・猪爪(佐田)寅子(ともこ)の人生を描いた。女性法曹の開拓者となった主人公・寅子の生涯を通じ、夫婦別姓や同性婚など現代に通じる社会問題も取り上げた異色作。初回〜最終回の期間平均視聴率で16.8%であり、前4期の視聴率を上回った。 2023年後半の「ブギウギ」は、戦後日本の歌謡シーンでブギの女王≠ニして知られた笠置シヅ子さんをモデルに、趣里が演じるヒロインのスズ子が、銭湯の看板娘から戦後の大スター歌手と成長していく姿を、歌ととものたどっていくストーリー。初回〜最終回の期間平均視聴率で15.9%だった。前作「らんまん」の期間平均16.6%を下回る結果となった。 2023年前半の「らんまん」は高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルとしたオリジナルストーリー。幕末から昭和へと続く混乱の時代の渦中で、愛する植物のために突き進んだ主人公・槙野万太郎(神木隆之介)とその妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈な生涯を描く。主題のひとつは学者の功名心や嫉妬。この点に関し、「牧野富太郎自叙伝」にはこうある。「由来学者とはいうものの、案に相違した偏狭な、そして嫉妬深い人物が現実には往々にしてあることは、遺憾ながら止むを得ません。しかし私は大学ではうんと圧迫された代わりに、非常に幸運なことには世の中の既知、未知の方々から却って非常なる同情を寄せられたことです」。 視聴率については、初回は16.1%を記録。前作「舞いあがれ!」の初回16.3%を下回るスタートとなったが、物語の展開に合わせて反響を呼び、9月8日放送の第115話で19.2%の最高視聴率を記録していた。初回から最終回までの期間平均視聴率は16.6%と前2回を上回った。 2022年後半の「舞いあがれ!」というタイトルにはヒロイン・舞がどんな向かい風も全身で受け止め高く舞い上がるイメージが込められており、1990年代から現在、ものづくりの町として知られる東大阪と自然豊かな長崎・五島列島を舞台に、舞がパイロットを目指し、飛行機づくりと空を飛ぶ夢に向かう中で味わう挫折と再生を描いた。 期間平均視聴率は15.6%で前作「ちむどんどん」を下回り、放送が午前8時に変更された2010年以降で最も低い数字となった。最高視聴率は10回の16.9%だった。配信やBSでの放送など、視聴スタイルの変化もあり、2020年後期「おちょやん」以降、5作連続して期間中の視聴率は大台20%には1度も届かなかった。前作の「ちむどんどん」ほど評判は悪くなかったが、前作の最高17.6%にも届かなかった。 2022年前半の「ちむどんどん」の平均世帯視聴率は15.8%(関東地区、関西地区15.0%)だった。放送開始時間が午前8時に繰り上がった2010年度以降で最低であり、ドラマの評判が悪かった影響と見られる。「大半の視聴者の気持ちは最後までつかみ切れず。何かと粗が目につく作りは「浅ドラ」などと揶揄されてしまった」(スポニチ)。そしてSNS上の悪評の山をメディアが記事にするほどだった。 沖縄本土復帰50年の節目に制作された作品であるにもかかわらず、沖縄の県民感情などが描かれることはほとんどなく、多発する「でーじ」(すごく)、「あきさみよ」(あらまあ)、「まさかや」(本当?)などの沖縄ことばにしても「ただ沖縄っぽいものを放り込んだだけ」という印象が強かったことに加え、この手のドラマでは主人公の成長物語が期待されているのに、困難に遭遇しても偶然の力や周囲の好意で問題がすぐに解決するという安直なシナリオの連続で成長の中身が空虚であり、総じて視聴者のイライラを招いたようだ。 【より以前のコメント】
2021年度後半の「カムカムエヴリバディ」(全112話)は3世代にまたがるストリーで主演女優も3人で、いつもの3本分を1本にしたような内容だった。期間平均世帯視聴率は17.1%と、放送時間が午前8時となってから最も低い数字となった前作「おかえりモネ」の16.3%を0.8ポイント上回ったが、年間平均は16.7%と低落傾向に歯止めはかからなかった。 2021年度前半の「おかえりモネ」(全120回)の期間平均視聴率は16.3%。番組最高は19.2%で、前作「おちょやん」に続いて大台20%には一度も届かなかった。なお、「NHKプラス」による視聴は昨年4月のサービス開始以降、朝ドラ歴代最高をマークした。 2020年度後期の「おちょやん」は、全115話の期間平均が17.4%で、朝ドラの期間平均17%台は12年後期「純と愛」(17.1%)以来、8年ぶり。それでも終盤3週は伏線を回収してSNS上で反響を呼び、好評を博した。 2020年度前期の「エール」は、コロナ禍により2カ月半の放送中断、9月14日に放送が再開され最終回は11月27日となったが、全120話の期間平均世帯視聴率は20.1%と大台超えを達成。19年度前期「なつぞら」(21.0%)以来、朝ドラ2作ぶりの大台復帰となった。 2019年度を通じての視聴率は20.2%と「あまちゃん」ではじまった2013年以降最も低くなった。 2019年度の後半は戸田恵梨香(31)主演の「スカーレット」である。期間平均視聴率は19.4%となり、2015年放送「まれ」の19.4%以来、9作ぶりに20%の大台を下回った。 2019年度の前半は広瀬すず主演の「なつぞら」である。初回視聴率は22.8%であり、放送開始が午前8時となった2010年前期「ゲゲゲの女房」以降では最高だった前作「まんぷく」の初回23.8%を1ポイント下回ったが、「まんぷく」に次ぐ2位の数字となる好スタートとなった。 もっとも、初回視聴率の高低は、当回の企画や主演女優の評判というより、終わったばかりの前回シリーズが好評だったかによっているようだ。「ゲゲゲの女房」以降について、初回視聴率の相関度(R2)を計算してみると、同じ連続テレビ小説の平均視聴率とは0.41であるのに対して前回連続テレビ小説の平均視聴率とは0.64とずっと高くなっているのである。 平均視聴率は21.0%と2018年度の前後半をやや下回った。 2018年度の前半「半分。青い。」、後半「まんぷく」は、それぞれ、21.1%、21.4%と昨年度の前半、後半を上回った。 2017年度の前半「ひよっこ」は「前作の影響を受ける」法則から当初やや低迷したが、その後盛り返し、全体では20.4%とまあ健闘した。後半の「わろてんか」20.1%とやや低くなったが20%は切らなかった。 2016年度の前半「とと姉ちゃん」は22.8%と、今世紀の朝ドラとしては前作「あさが来た」の23.5%、2002年前期「さくら」の23.3%に続き、3位となった。後半「べっぴんさん」は20.3%と余りふるわず、年度平均は21.6%と前年度をかろうじて上回った。 2015年度の前半の「まれ」は19.4%と2012年後期「純と愛」(17.1%)以来5作ぶりに20%の大台を割った。ところが年度後半の「あさが来た」が23.5%と2002年度前半の「さくら」(23.3%)を上回り今世紀最高を記録したので、年度平均も21%を上回った。 2014年度は前半の「花子とアン」が終了した時点では期間視聴率は22.6%と過去10年で1位である点が報じられた。ただし、後半の「マッサン」は21.1%だったので、NHK朝ドラ自体の回復傾向は続いているものの、その程度はそれほど強くはなかった。 2013年度は前半の「あまちゃん」が20.6%、後半の「ごちそうさん」が22.3%と快調であり、年度平均は21.5%と2002年以降最高の値となった(男女年齢別の視聴率の状況、及びあまちゃんブームは必ずしも高い視聴率とむすびついていなかった点については【コラム】参照)。 2012年度は前半の「梅ちゃん先生」が20.7%、後半の「純と愛」が17.1%で年度平均は18.9%である。2011年度は前半の「おひさま」が18.8%、後半の「カーネーション」が19.1%で年度平均は19.0%であった。2010年度は、「ゲゲゲの女房」と「てっぱん」の平均視聴率が、それぞれ、18.6%、17.2%であり、年度平均で17.9%であった。 表示選択で年次ごとに期間平均世帯視聴率の長期推移図を掲げた。 最近では世帯単位ではなく個人単位の個人視聴率や録画視聴を含めた総合視聴率も公表されているが、ここでは長期推移を追うため従来からのリアルタイムの世帯視聴率ベースのデータを追った。また、年次推移としてわかりやすいように、年度内が前半、後半の2話となってからは2つの番組の平均値で追っている。 1960年代後半から70年代前半にかけての時代にはNHKの朝ドラは45%以上の視聴率で推移していた。すこし視聴率が下がってきた1980年代に入った1983年には、今や伝説的ともなっている52.6%という高視聴率の「おしん」が放映されている。それ以降、長期低落傾向が明らかである。プロ野球巨人戦ナイターの視聴率も同じ1983年に27.1%のピークの後、長期低落している(図録3978)のと平行した現象である。 近年、せいぜい20%前後、最近は15%台の朝ドラ視聴率であるのと比較すると、毎日平均して半分前後の世帯がそろいもそろってNHKの朝ドラを見ていた時代があるとは想像するだけでも隔世の感が否めない。 視聴率は1980年代後半のバブル時代から低下傾向となり、2009年には13.7%にまで低下した。生活が豊かになり、家族そろって行動する時代から各人が多様な関心をもつ個性化の時代となり、家族で朝食時、NHKの朝ドラを決まって見るという習慣も衰えていったことがこうしたデータの推移から如実にうかがい知ることができよう。タイトル名を見るだけで、家族とともにそれらを鑑賞していた子どもの頃を思い出すことができる人も多かろう。 当初この図録の原資料となった堀井憲一郎(2006)「若者殺しの時代」によれば、「連続テレビ小説が描いているのは、女の半生である。視聴率が高かった時代、何を見ていたかというと。戦争の苦労である。…視聴率が決定的に落ちるのは、戦争を描かなくなってからである。そのかわり、主人公の女性にいろいろな無理な職業に就かせて、社会と戦わせて、共感を得られなくなり、どんどん落ちていった。」「「あんな戦争はいやだ」という一点だけを強く主張し」、その後、女性政党となった「社会党の凋落と同じである」。 また、NHK朝の連続テレビ視聴率の低落は、歌謡曲の大ヒットの不在、巨人戦視聴率の低下とともに、日本人の共通同時体験の機会が失われてきていることをあらわす事象のひとつである。 もっとも2010年代に入り一時期の低迷からやや回復傾向にあるといってよいだろう。 なお、このところ、テレビ番組を録画しておいて後から見る人が増えている。下図は通常の視聴率と録画してみるタイムシフト視聴率を加味した総合視聴率とについて最近の動きを追った。両者の差が広がる方向にあることが分かる。総合視聴率で見ると、「なつぞら」までは、朝の連続テレビ小説の視聴率が明確に回復傾向にあった。 最後に、参考までに、以上の世帯視聴率では分からない男女・年齢別の視聴率を以下に掲げた。詳しくはこの図の出所である図録3964d参照。
NHK朝の連続テレビ小説
(2006年5月6日収録、2009年1月5日・9月29日更新、2010年3月29日・9月27日更新、2011年4月4日・10月3日更新、2012年4月2日更新、10月1日更新、2013年4月1日更新、9月30日更新、10月3日コメント補訂、2014年3月31日更新、4月3日コラム追加、7月9日NHK年鑑2013により1989年値補正、2014年9月29日更新、2015年3月30日更新、9月28日更新、2016年4月4日更新、10月3日更新、2017年4月3日更新、10月3日更新、2018年3月30日各回主演俳優表示選択表、3月31日原資料変更、4月1日更新、2019年4月2日更新、4月9日総合視聴率の推移、4月12日表示選択、2019年9月30日更新、10月7日総合視聴率更新、2020年3月30日更新、7月18日一覧表更新、11月30日更新、2021年5月17日・5月25日・11/2更新、2022年4月12日更新、9月13日ちむどんどんの悪評、10月3日更新、2023年4月3日更新、4月4日あまちゃんコラムデータ更新、4月6日近年の番組別視聴率推移をメインに、4月29日吉行あぐり写真、7月10日らんまんコメント、10月2日更新、2024年4月1日更新、9月30日更新)
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