1.日本の推移

 非正規労働者やパートタイム労働者は年々増加している(図録3240、図録3300、国際比較は図録3200)。ここでは、パートタイム労働者のうち、そういう雇用形態を自発的に選んで就業しているのか、それともフルタイムの仕事が得られず非自発的に就業しているのかの区分ごとに推移や国際比較を示すことにしよう。

 まず、日本の統計であるが、ある程度長くデータの得られる自発性を示す統計は労働力調査の特定調査票(基礎調査票対象者の約4分の1が対象)の設問によって得られる。すなわち、35時間未満就業者にきいた就業時間の増減希望が「今より増やしたい」と回答した者を非自発的パートと考えることができる。ただし、所得税の配偶者控除などの関係で就業時間を増やしても世帯所得としてはそれほどの増にむすびつかないから「今より増やしたい」を選択しなかったパートタイム労働者もいるだろうから、非自発的パートの比率はもっと実際は多いともいえる。

 こうした点を考慮に入れて、パート比率、及び非自発的パート比率の推移を見てみると、パート比率ははっきりと上昇傾向にあることが分かるが、非自発的パートの比率は、2009〜2011年ごろに一時期上昇したが、長期的には、横ばいか低下傾向にあることが見て取れる。2009〜11年ごろの一時期上昇はリーマンショック後の経済低迷で不本意な労働時間短縮を迫られた者が多かったためであろう。

 つまり、例外的な一時期を除けば、非正規労働者のうちパートタイム労働者だけについては、少なくとも、意に反してというより、自発的に非正規の短時間労働を選んでいるという側面が強いと考えられる。もちろん、自発的といっても、家庭との両立、子育て・介護との両立から自発的に短時間労働を選ばざるを得ない人が多いことは確かであろうが、もっと働きたいのにそういう職場がないという人はそう多くないと考えられるのである(非正規雇用を選んだ理由については図録3240参照)。

2.国際比較

 それでは、こうした日本の状況は、海外と比較してどうなのだろうか。果たして非自発的なパートは多いのか少ないのか。

 OECDの”Employment Outlook 2015”は、各国の労働力調査に基づき各国のパート比率を自発的と非自発的の合計として集計している。

 これを見ると日本の非自発的パート比率は4.7%とOECD平均と同じとなっている。

 もっとも短時間労働自体が正規労働として認知されており、世界の中でも、短時間労働(パート労働)が多いことで知られるオランダでは、非自発的パート労働は自発的パート労働に比較すると相対的に非常に少なくなっており、この点は、日本にも学ぶ点がありそうである(いわゆるオランダ。モデルについては図録3080参照)。

 イタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャといった南欧諸国では、パート労働自体が少ない反面、その中での非自発的労働は半分かそれ以上となっており、そもそもパート労働はいやいやながらやっているという側面が強いようだ。

 国際比較で取り上げている国は、日本を含めて29カ国であり、具体的には、非自発的パート比率の低い方から、トルコ、スロベニア、チェコ、エストニア、スロバキア、米国、ポーランド、ルクセンブルク、ベルギー、ハンガリー、スイス、オーストリア、アイスランド、ドイツ、フィンランド、デンマーク、日本、英国、ポルトガル、ノルウェー、オランダ、ギリシャ、スウェーデン、フランス、オーストラリア、アイルランド、スペイン、カナダ、イタリアである。

(2015年7月20日収録、2017年4月20日日本更新、2019年4月27日日本更新)


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