OECD諸国の失業率はレベルがさまざまであるが、国内における大きな地域間格差が国別格差の陰に隠れている。2013年の失業率の地域間格差幅はOECD諸国の6カ国で10%ポイントを上回っている。 図に掲載したOECD32カ国(ルクセンブルク、エストニアを除く)の中で日本の失業率の水準は下から3番目と低い部類に属する。日本と比べ欧米の失業率は変動が大きい点にも留意する必要がある(図録3080参照)。 日本の地域格差は47区分でも最大(沖縄)と最小(福井)の差が3.1%ポイントであり、上から22位と比較的小さい。その場合、最大と最小の倍率を格差率として算出すると日本は2.19倍であり、32カ国中15位となり、格差は中位である(下表参照)。他の国と同じTL2の10区分(地域ブロック)であると地域格差はもっと小さいことになる。なお、都道府県別の失業率は図録7360参照。 格差幅が15%ポイント以上と大きいことで目立っているのは、スペイン、イタリア、トルコといった諸国である。イタリアでは、経済が発展している北イタリアと経済が低迷している南イタリアとの地域格差が南北問題として名高い。ドイツについても、東西ドイツの格差、西ドイツの南北格差があり、更新前の2004年までの最新年データでは、最低失業率が4.5%であるのに対して最高失業率は25.2%と格差が5.6倍にも達している(図録9000参照)。東西ドイツの歴史的な経緯による地域格差や移民労働者の比率の差などが失業率の地域格差を生んでいると考えられた。ところが、その後のドイツ経済の好調により、現在では、失業率のレベルが10%前後から半減となっているとともに、格差も3.4倍と大きく縮小した。 日本では沖縄の失業率の高さなどは歴史的な経緯によるものである。リーマンショック後は愛知などのブラジル日系人の失業が高まるとすると移民労働者の問題が失業率の地域差と関わってくると考えられたが、実際は、東日本大震災の影響もあり、ブラジルに帰るなどの労働力移動により失業率はそれほど深刻化しなかった。いずれにせよ、失業率の地域差の指標からすると、現在のところでは、欧米の地域経済問題は日本とは比較にならないほど大きな問題であることが推察される。 地域格差の国際比較については。1人当たりの所得水準をベースにした格差を図録8390に示したが、ここでも日本の地域格差は小さい部類に属していた。若者の失業率など年齢別の年次推移(日本及び主要国)については図録3083参照。 失業率の高さと地域格差についての国際比較(2013年)
(資料)OECD.Stat 2015.3.18(日本は労働力調査も) (2008年12月11日収録、2015年3月18日更新、3月21日日本は10区分と47区分を両方表示)
[ 本図録と関連するコンテンツ ] |
|