強盗については、OECD平均では、1.0%、すなわち過去1年間に100人に1人が被害にあっている勘定である。日本は0.2%、すわなち被害者は500人に1人と少なく、OECD諸国の中で最低である。上位2位はメキシコ、アイルランドであり、それぞれ、3.0%、2.2%と他の国よりかなり多くなっている。 暴行・脅迫については、アイスランドが最も高く、英国、ニュージーランド、アイルランド、米国と英語圏の国が多く上位となっている。日本は強盗と同じく、OECD諸国の中で最も犯罪被害者が少ない。 女性への性犯罪では、第1位はアイルランドであり、これに米国、スウェーデンが続いている。日本はOECD平均よりは低いが、強盗や暴行・脅迫と異なって最低ではなく、1.3%と相対的に高い比率となっている。調査は男女ともに対象の国と日本のように女性のみ対象の国とがあったが、値は総人口比ではなく女性人口比に換算されていると考えられる。 日本であると痴漢が多いと思われるが、アイルランド、米国などではどんな性犯罪が多いのであろうか。こうした点をうかがうため、同調査でどんな性的暴行かを調査対象者にきいた結果を以下に示した(上図とは異なり日本、ポーランド以外は男性を含んだ結果であり、また過去1年間ではなく過去5年間の被害率であるので、被害率の計も上図の数字とは一致しない)。想像した通り、日本は、レイプ(強姦)被害は少なく、強制わいせつ・痴漢が多い。セクハラなど不快な行為も当時はまだセクハラ意識が高まっていなかったためか、日本の値は低い。 性犯罪被害率の高い国で目立っているのは、レイプ被害も多少高い傾向があるが、むしろ目立つのはセクハラなど不快な行為の被害率の高さである。つまり、女性にとって愉快でない男性の性的なからかいやいやがらせ(ハラスメント)に対して女性が黙っていないことが性犯罪被害率の高さにむすびついている側面が大きいといえよう。また、レイプ被害が高いといっても、スウェーデンあたりでは男性による避妊具の装着忌避すら性的虐待と見なされることもあるときく(図録2266参照)から同一定義の被害率の比較はそれだけ難しいのかも知れない。 調査対象は26カ国であり、強盗における犯罪被害率の低い順に、日本、イタリア、フィンランド、オーストリア、ドイツ、オランダ、米国、ルクセンブルク、フランス、スイス、ノルウェー、カナダ、アイスランド、ハンガリー、デンマーク、オーストラリア、ポルトガル、スウェーデン、ニュージーランド、ベルギー、スペイン、ポーランド、英国、ギリシャ、アイルランド、メキシコである。ただし、女性への性犯罪は、オーストラリアを含まない。 (2009年6月1日収録、2015年8月27日恐喝を脅迫に用語変更、性犯罪は総人口比から女性人口比へと解釈変更、性犯罪の内訳グラフを追加)
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