世界価値観調査は、世界数十カ国の大学・研究機関の研究グループが参加し、共通の調査票で各国国民の意識を調べ相互に比較している国際調査であり、1981年から、また1990年からは5年ごとの周回で行われている。各国毎に全国の18歳以上の男女1,000〜2,000サンプル程度の回収を基本とした個人単位の意識調査である。最新の2017年期(2017〜2020年)は前回から5年よりやや間隔があいた。

 LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)に対する理解度は国ごとの大きく異なっている。ここでは、最新の調査結果から世界77カ国の同性愛(レズビアン、ゲイ)の許容度についてのグラフを掲げた。

 ここで許容度は、「間違っている(認めない)」から「正しい(認める)」まで1から10のいずれかを選んでもらった結果の平均値である。なお、同性愛許容度と男女平等支持度が相関している点については図録2871参照。

 検索のため同性愛の同義語を並べておくと、英語ではホモセクシュアル(homosexual)。ホモという略語には侮蔑のニュアンスが含まれると感じている同性愛者も少なからず存在する。男性同性愛者をゲイ(Gay)、女性同性愛者をレズビアン(Lesbian)とも呼ぶことが多い。

 最も同性愛への許容度の高い国はアイスランドであり、デンマーク、スウェーデン、オランダがこれに続いている。最も許容度が低い国はヨルダンであり、許容度1.3、すなわちほとんど全員が1(全く間違っている)と回答している。(実際にオランダなどで同性間の性行為が多い点については、図録2263参照。)

 概して、許容度の高い順に、プロテスタント系ヨーロッパ→カソリック系ヨーロッパ→中南米・アジア→イスラム国となっているようである。米国は保守的キリスト教の影響やヒスパニック系人口のせいか、それほど許容度は高くない。

 実際の回答分布を見てみると、スウェーデンでは、「全く正しい」(10)と答えたものが72.3%と7割以上を占めており、「全く間違っている」(1)は6.3%である。日本も、現在では、「全く正しい」(10)も29.4%と最も多く、5番の19.7%が次に多く、「全く間違っている」(1)は9.7%とそう多くない。米国は平均点では日本に近くなっているが回答分布を見ると「全く間違っている」(1)と「全く正しい」(10)がそれぞれ19.3%、31.2%と両方とも日本より多くなっており、国論が2分されている状況がうかがえる(図録8807参照)。韓国では、「全く間違っている」(1)が23.9%と最も多く、「全く正しい」(10)は0.3%と少数派である。ロシア、中国、ヨルダンは「全く間違っている」(1)が、それぞれ、62.9%、67.7%、90.1%とさらに多い。

 主要国の許容度の変化方向については図録2783aを独立図録化したのでそちらを参照されたい。

 最初の図の対象国は許容度の高い順からアイスランド、デンマーク、スウェーデン、オランダ、ノルウェー、アンドラ、ドイツ、スイス、オーストラリア、ニュージーランド、英国、フィンランド、オーストリア、スペイン、フランス、日本、チェコ、米国、イタリア、ベトナム、アルゼンチン、プエルトリコ、スロベニア、マカオ、スロバキア、チリ、ブラジル、香港、ポルトガル、ギリシャ、フィリピン、台湾、メキシコ、タイ、コロンビア、ポーランド、キプロス、ハンガリー、エストニア、グアテマラ、エクアドル、マレーシア、ボリビア、クロアチア、ニカラグア、韓国、ペルー、セルビア、リトアニア、ウクライナ、ブルガリア、ロシア、ベラルーシ、レバノン、イラク、中国、ルーマニア、カザフスタン、マケドニア、トルコ、アルバニア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェ、ミャンマー、ジンバブエ、バングラデシュ、エチオピア、インドネシア、イラン、パキスタン、ナイジェリア、キルギス、ジョージア、チュニジア、アルメニア、アゼルバイジャン、ヨルダンである。

(2007年6月29日収録、2012年12月19日倫理事項に関する日本の位置のコメント追加、2013年1月9・10日更新、3月17日詩の引用、2014年5月12日更新、同性愛以外の項目の許容度についてのデータ・コメントを新設の図録2787へ移管、2021年3月18日更新、同性婚を認めている国一覧表、3月31日図中の各国図に中国とヨルダン追加、2022年3月18日推移について図録2783aを分離独立させる)


[ 本図録と関連するコンテンツ ]



関連図録リスト
分野 社会問題・社会保障
テーマ  
情報提供 図書案内
アマゾン検索

 

(ここからの購入による紹介料がサイト支援につながります。是非ご協力下さい)