米国では同性結婚(同性愛者どうしの結婚)を法的に認めるかが長く論争となっており、近年では多くの州で合法となっている。合衆国最高裁判所は、2013年6月に、同性婚が認められている州内において、同姓婚のカップルに異性婚のカップルと同等の権利を認める判決を下した。判決内容はあくまで同性婚を認めるもので、その他の州に同性婚の整備を強制するものではない。

 ここでは、この合衆国最高裁の判決を目前に控えた時期に行われた同性婚の合法化についての意識調査結果を掲げた。

 10年前の2003年における調査結果と比較すると賛成は32%から50%へ増加し、反対は59%から43%へと減少した結果、反対多数から賛成多数に逆転しているのが目立っている。以前から同性愛については米国の場合、国論が2分されている状況は図録2783、図録9458参照。

 2013年段階で賛成が多数の属性は以下の2つのみであった。

・18〜29歳
・無宗派

 ところが2013年段階で反対が多数の属性は以下の7つであり、それ以外の18属性ではすべて賛成多数か同数(男は同数)となっている。

・50〜64歳
・65歳以上
・非ヒスパニック黒人
・高卒以下
・南部
・共和党
・プロテスタント

 南部のプロテスタント白人で共和党支持、学歴・所得はどちらかというと低いレベル、年齢は高齢というのが同性婚反対者のプロフィールである。共和党支持者と民主党支持者で趣味や世界観が大きく異なっている点については進化観についてふれた図録9492参照。

 意外であるのは、非ヒスパニックの黒人が非ヒスパニックの白人以上に同性婚に反対が多く、人種別では唯一反対多数である点である。黒人差別の尾を引きずっている白人保守層の最近の特徴が同性婚への反対だとすれば、皮肉なことに、この点では黒人は白人保守層の味方なのだ。

 なお、その後、2015年6月26日、連邦最高裁判所は、「法の下の平等」を定めた憲法に基づき、同性婚を禁じている州法は違憲であるとして、すべての州で同性婚を認めるべきだとする判断を示した。米国ではそれまで州によって法律が異なり、同性婚を認める州と違法とする州が混在していた。

(2013年8月13日収録、2015年6月27日新判決により全面合法化のコメント)


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