【クリックで図表選択】

 
最新及び過去の各国データは資料出所であるWHOの状況報告のページ、及びWHO COVID-19 Dashboardをご覧ください。

主要国の推移データは冒頭行指定の表示選択でご覧ください(コメントは再掲元の図録1951d)。

国内の状況については注目される都道府県の動きを図録7888、東京圏の動きを図録7890で見ているのでご覧ください。

 WHOは2023年5月5日、緊急事態の終了を発表した。



(コメントには過去の状況に対するものが残っているのでご容赦願いたい。)

 新型コロナウイルスが中国湖北省武漢から全世界に広がった。3月7日には世界の感染者数が10万人を超え、3月19日には20万人、3月25日には40万人、3月29日には60万人、4月1日に80万人、そして4月4日に100万人、4月17日には200万人、4月29日には300万人、5月23日には500万人、6月29日には1,000万人、8月12日には2,000万人、10月20日には4,000万人を超えた。感染死亡者が4月12日には10万人、5月16日には30万人、6月30日には50万人、9月29日には100万人を超えた。


 欧米での感染が広がる中、WHOは2020年3月11日ついにパンデミックを宣言した。3月16日から感染者数、死亡数ともに中国以外が発生地の中国を大きく上回り、世界的感染が明らかになっている。

 世界保健機関(WHO)の状況報告やDashboardから各国感染者数マップと地域別の感染者数の報告日別推移のグラフを図録として再掲した。

 各報道機関は各国政府からの報告数を集計しているWHOの数字を伝えず、各国の自治体や報道の発表まで含めた米ジョンズ・ホプキンス大学の集計数字を報じている。これは、後者の方が大きな数字だからである。2020年4月3日の新聞各紙夕刊は世界の感染者数が100万人を越えたことをデカデカと報じたが、一紙だけWHOの公表数字を待って報道するとしたら間抜けに見えてしまうのである。2020年6月29日には、やはり、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計数字をもとに前日までの感染者数1000万人、死亡者数50万人が大きく報じられた。

 「年齢別の感染者数・死亡数・致死率」については図録1951f参照。

 各国感染者数マップでは世界的な広がりの程度が分かる。ただし、3月26日時点の図から過去1週間の塗り分け濃淡別感染者数グラフに変更された。それまでは累積感染者数についての丸の大きさによる分布図だった。5月1日から塗り分けがカラー化した。

 過去1週間の濃淡から、欧米からトルコ、イランにかけて、最近はさらに、サウジアラビア、ロシア、インド、ブラジル、ペルー、チリへ広がる一帯が感染拡大の中心になっていることが分かる。報道によれば、WHOは5月22日、新型コロナウイルス感染者が急増している南米について、新型ウイルス流行の「新たな中心地」となったとの見解を示したという。

 なお、丸の大きさによる分布図についても、中国から発した感染の世界的広がりに対応して各国感染者数マップの中央に位置する地域が3月11日からはアジアから欧米へと変更になっている。マップ中の拡大図も3月3日にそれまでの中国各省別からヨーロッパ各国別に変更となっている。

 表示選択で過去からの推移を見ることができる。感染数が世界的に大きく拡大していることが視認できよう。

 マップの中に主要感染国の感染者数と死亡者数の表(左端)を埋め込んだ。5月20日からは、表中から中国の湖北省・それ以外を略し、新たに、感染者数世界第2位〜3位となっているロシア、ブラジルを加えた。5月24日からは、さらに、人口10万人当たりの死亡者数の表(右端)を加えた。

 死亡者数を感染者数で除した死亡率(致死率ともいわれる)を見ると、中国の湖北省以外で0.9%、また集団のすべての構成員が検査対象となっている稀少例であるダイヤモンド・プリンセス号で1.8%となっており(注)、これが(つまり1〜2%前後が)このウイルス感染症の致死率と考えることが可能であり、実際一般にそう見なされているようだ。ただし、アジアと欧米ではBCG接種率の違いでそもそも致死率に差があるという説も流布しており、簡単には決めつけられない。

(注)ダイヤモンド・プリンセス号の感染者数(陽性者)数、死亡数は、厚生労働省の発表によれば、それぞれ、712人、12人であり、死亡率は1.7%となっている(2020.4.12)。これについてWHO報告でも4月2日から7人から11人に、4月13日から12人、4月17日から13人に修正された。英エコノミスト誌は、ダイヤモンド・プリンセス号の乗客は高齢者が多いので致死率が大きめに出ていることも考慮すべきだと言っている。ただし、金持で元気な高齢者が多いのでそれほどの差ではなかろうとも付け加えている(The Economist March 14th 2020 p.48)。

 感染爆発が生じた地域の死亡率を見ると、中国の武漢を含む湖北省や中国以外ではイランが5〜6%、そして欧州主要国のイタリア、スペイン、フランス、英国は11〜19%と相対的に高くなっている。これは、当初、医療や検査に手が回らず感染者数が実はもっと多いためと考えられた(死亡者数の方が実態と大きく異なるとは考えにくいので)。最近では、BCG未接種のためといった別の理由づけも関心を呼んでいる。いずれにせよ現在フランスが約19%となっており、深刻さがうかがわれる。

 欧州と同種の環境にあると思われる米国はなお死亡率が欧州主要国ほどまだ高くないが、かなり増えて来ている。感染者数世界第2〜3位となっている後発感染爆発国のロシア、ブラジルでは、死亡率はなお先発国に比べて低い。

 主要国の死亡率の推移については図録1951dの表示選択でご覧いただける。

 ダイヤモンド・プリンセス号を除いた日本の死亡率3月後半には3%台後半と高かった(ピーク23日3.8%)。日本の場合はクラスターつぶしに力点を置き、事後的な疫学効果が薄いPCR検査を控えていたからであろう。その後、検査数も増え、死亡率も1.4%まで低くまったが、その後また反転し3%台まで上昇している。諸外国との比較における死亡率の低さから、PCR検査されないため多くの新型コロナ感染死が一般の肺炎死としてカウントされてしまっているという批判があるが、そうであるなら、日本国内の病院は院内感染ですでに全体として機能不全に陥っている筈である。医療現場がそれほど不用意だとは考えにくい。

 ドイツのように感染者数は日本よりずっと多いが、死亡率は欧州の中では格段に低い4%台(3月9日までゼロ)というような国もある点が関心を引く。ホームドクター制度の下で、検査で陽性と判定された者でも、軽症の場合は自宅療養に誘導され、イタリアのように院内感染を惹起したり、不必要に病院のベッドを占領して重症者の妨げとはなっていないためともいわれる。「かかりつけ医は既往症などを把握し、重症化リスクを見極めやすい。感染者が直接、大規模病院を受診することで起きる院内感染を防ぎ、重症者の治療態勢を維持することにもつながっている。かかりつけ医らでつくる連邦健康保険医協会は19日、深刻な容体でない患者は自宅にいるよう呼びかけた」(東京新聞2020.3.21)。こうした医療要因だけでなく、検査数の多さ・高齢者非集中や感染拡大開始時期の遅さ、感染の地域非特化などもドイツの死亡率の低さをもたらしていると考えられる(この点については図録1951d参照)。

 対感染者数の死亡者数を死亡率として掲げたが、PCR検査のキャパシティなどによって感染者数の計上には国ごとの差異も大きいので、人口10万人当たりの死亡者数も掲げた(右端)。

 世界全体で6人台、欧米主要国は10〜60人であるのに対して、中国、韓国、日本といった東アジア諸国では1人未満と極端に少ない。ノーベル賞学者の山中教授が日本の死亡数の少なさについて「ファクターX」と呼んでいる何らかの理由がある筈であり、BCG説、別種ウイルス既感染説、生活習慣説などが唱えられているが、なお、不明である。

 「ファクターX」の有力説として、違う型の新型コロナウイルスの国別流行差による「集団免疫新説」があり、インフルエンザ流行が新型コロナによってむしろ収まった可能性もあることから、インフルエンザの死亡者数の動向を扱った図録1955で解説したので参照されたい。

 米国からの報告数は3月9日の段階で7日から不変で感染者数213人、死亡数11人となっていたが、米紙ニューヨーク・タイムス(電子版)によると9日未明現在、全米の感染者数は少なくとも545人、死者は22人とされていた(東京新聞2020.3.10)。理由はわからないが明らかに米国からWHOへの報告は遅れていたと言わざるを得ない。なお、3月10日には急に感染者472人、死亡数19人とアップデートされた。その後も同様のことが繰り返されている。5月20日も感染者数・死者数無報告である。5月4日には死者数が下方修正されてもいる。

 米国の感染者数は急増し、今や他国を大きく上回る世界第1位の規模となっている。死者数も4月13日には世界1位になった(ジョンズ・ホプキンズ大学の集計ではもっと早くから)。

 世界全体での地域別の報告日別推移のグラフでは、世界的な感染が日を追って拡大している状況が見て取れる。3月17日からそれまでの中国以外のみのグラフから中国を含めたグラフへと変更されている。報告感染者数が世界全体でいつピークを迎えるのかが気になるグラフである。

 一時期は欧州が感染拡大の中心だったが、最近は、欧州の新規感染者数は減り、南北アメリカや中東、インドなどの南東アジアで拡大している。

 世界全体の感染者数は数日連続の減少と増加を繰り返している。その中でピークを更新するのかどうかが気にかかる。毎日の動きは2日に一度報告する国があったりして変動を免れない。例えばロシアの新規感染者数は4月20日、25日はゼロであるが、その後に大きな数字が報告されており、世界全体の増減を大きく左右している。また、4月27日にスペインの感染者数が大きく下方修正され、この日だけ欧州が凹んだ。

 欧州の中では、最近は、ロシアと英国の感染者数の増加が目立っている。

 中国を含む「西太平洋」(東アジア、及びマレーシアなど東南アジアの半分)の感染者数もそれほど感染増が大きくないのに対して、「ヨーロッパ」や「南北アメリカ」での感染者数の増加が目立っている。米国はかつて何日か続けて新規データを報告しないことがあった。そのためもあって「南北アメリカ」の値は変動が大きい。

 4月15日には新規感染者数が過去のピークを越えたのが目立っているが、これは米国が相変わらず3万人以上の増を続けているのに加えて、エクアドルで1万人の新規患者数が報告され、同国における累積感染者数数が一気に2倍となったのが大きく影響している(そして次に日にはエクアドルはゼロ報告なので全体の変動も激しくなる)。

 5月2日には再度新規感染者数が過去のピークを越えている。これは、米国の3万人以上の大きな増加に加え、増加数順に、ロシア、ブラジル、英国、ペルーが、それぞれ5000人以上の増加を見ているからである。

 5月9日、5月17日には再度新規感染者数が過去のピークを越えている。これは、米国の3万人前後の大きな増加に加え、ロシア、ブラジルが、それぞれ1万人前後の増加を見ているからである。5月10日の減少は米国が感染者数を下方修正し、新規数がマイナスだったからである。

 6月18日には米大陸の急増により再度感染者数が過去のピークを越えているが、これは他の南米諸国の増加に加え、集計漏れの補正によりチリ1国で新たな感染者数が3万6千人以上だったことが大きく影響している。

 5月19日にも再度新規感染者数が過去のピークを越えている。これは、ロシア、ブラジルの大きな増加に加えて米国が4万5千人の大幅増加となったのがきいている。5月20日に急に落ち込んでいるのは米国の報告が無かったためである。そして、5月11日、5月30日〜6月1日、6月4日、7日、13日、21日、28日、7月3日〜4日、10日、13日、17日〜18日、24日、31日には再度、過去のピークを越えた。ブラジル、ペルー、チリ、メキシコなど中南米やインド、パキスタンなど南アジアで急拡大が見られているためである。

 中国に隣接しているので大きな感染拡大が懸念された中国以外のアジアは、予想より感染増が小さかった。しかし、マレーシア、シンガポール、インドネシアで感染が拡大するなど予断を許さない。シンガポールは当初感染をかなり抑え込んでいたが、最近は外国人労働者の宿舎を中心に感染が大きく拡大している。シンガポールはウイルスが嫌う高温多湿な立地にもかかわらずSARS(重症急性呼吸器症候群)の際も感染が拡大した過去がある。エアコンのきいた室内環境が他の熱帯国と異なるとも考えられている。

 心配されたアフリカへの感染拡大は、今のところ、目立っていない。

 かつてこちらのグラフでは想定感染場所の内訳が図示されていた。中国以外の感染者の感染場所は、中国から国際運輸機関(ダイヤモンドプリンセス号)内へ、そして各国国内へとシフトして来ている様子がうかがえていた(2月25日の図を参照)。

 以下には、中国の新型ウイルスの症例を紹介したWHO・中国合同チームの報告書の一部を引用した。また、WHOの状況報告から新型コロナウイルスとインフルエンザとの類似性と違いについての記述をコラムとして掲げた。

 WHO・中国合同チームの報告書では2月の最初の10日間の致死率17.3%が2月以降に0.7%まで急落したデータが示されている。医療崩壊さえ食い止められれば心配は余り要らないことが理解される(注)。上で「日本の場合は疫学効果の薄い検査を控えている」と言ったのはこの点と関連している。

(注)報告書では「治療の標準化」が効果を生じた点に注目している。ただ、この致死率の低下は、当初、きちんとカウントされていなかった感染者数が、後には注意深くトレースされるようになったから見掛け上生じたという指摘もある(The Economist March 14th 2020 p.48)。



(2020年2月26日収録、2月27日補訂、2/28〜3/6更新、3月7日更新・コラム、3/8〜3/14更新、3月14日中国の症例、3/15〜3/22更新、3月22日主要国感染者推移、3月22日更新、主要国死亡者推移、3/23〜3/27更新、3月27日主要国の推移図を図録1951dとして独立させる、3/28〜4/9更新、4/10更新、中国致死率データ(注)、4/11更新、ダイヤモンド・プリンセス号致死率(注)補訂、4/12〜5/20更新、5/21更新、感染者数世界2〜3位のロシア、ブラジル掲載、5/22〜5/24更新、5/25更新、10万人当たり死亡者数の表を図中に追加、5/26〜5/27更新、5/28更新、インド掲載、5/29〜6/8更新、6/9更新、世界感染者数マップ1週間から全累積数に変更、6/10以降原則毎日更新、8月16日以降は原則週1回更新)


[ 本図録と関連するコンテンツ ]



関連図録リスト
分野 健康
テーマ 感染症
情報提供 図書案内
アマゾン検索

 

(ここからの購入による紹介料がサイト支援につながります。是非ご協力下さい)