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本図録では、注目される府県の感染者数について、実数の推移、および実数と人口当たりの数字を見比べることによって地域的な感染リスクの高低について調べたデータ・グラフを掲げた。 2023年5月8日から新型コロナ感染症の感染法上の位置づけが、季節性インフルエンザと同じ5類へ移行する。これにともなって、当図録の更新も中止した。2023年以降の感染者数動向については上図の札幌市の下水調査参照。ウイルスの蔓延自体は減っていないが弱毒化によって死亡者数は減少しているのであろう。 2022年9月26日から全国で感染者数の全数把握が見直され、簡略化されたので、計数にも段差が生じている可能性がある。 第6波から第7波にかけて致死率が低下していることが明らかとなっている(下図)。 データは新聞・テレビで報道されるのは、県外者を含む各都道府県の公表値がベースになっているが、ここでは、札幌医科大学医学部付属フロンティア医学研究所が作成している都道府県別のデータベースを元にしているので、計数が若干異なっている。 2022年に入って急拡大している第6波については、米軍基地の感染拡大の影響や第5波と比較して重症化率が低くなった(弱毒化した)点が特徴として挙げられている。これらと関連する図表を以下に掲げておこう。 これは市町村別の米軍居住者について掲げた図録7780からの再録である。 第5波急減の理由について、人流の増減では理解できないとして、種々の議論が行われている。120日周期説などの要因説を整理した東京新聞の記事の概要図表を以下に掲げる。 3.3〜4波
(以下は2021年6月8日段階のコメント) どの地方でも4波にわたる感染拡大が認められる。2020年4月の「第1波」は海外からの新規の波及、同年8月の「第2波」は夏休みにおける繁華街での感染拡大で特徴づけられ、2021年1月の「第3波」と4〜5月の「第4波」の急拡大は、それぞれ、年末・年始と年度代わりにおける人流の拡大が大きな要因とされている。 地方毎の波の要因としては換気(窓閉め)の影響が大きいという説がある。 北海道だけ2020年夏の第2波がなかったのは「冷涼な北海道は夏も窓を開けられ換気ができた」からである。また、「福岡は温暖。冬秋の暖房での窓閉めが遅く、第三波が猶予され、遅くなった」可能性がある(毎日新聞2021.4.10磯田道史書評、浦島充佳著「新型コロナ データで迫るその姿」)。米国の地域別の山についても同様のことが言えるようだ(図録1951d)。 地方毎の感染動向を概観すると以下である。 どの地方でも4波にわたる感染拡大が認められるが、東京圏とそれ以外では様相が大きく異なっている。すなわち、東京圏では第3波ほど第4波は深刻でなかったのに対して、大阪圏や東京圏・大阪圏以外では第3波より第4波の方がずっと感染者数が多くなっている。 第4波の到来時期については、大阪圏が最も早く、東京圏や東京圏・大阪圏以外はこれより遅れていた。 第4波の感染拡大の時期のずれは変異株がまず西日本で猛威をふるい、それが関東や全国にも波及したからと見られているが、東京圏の第4波のピークの高さの相対的な低さはこれだけでは説明できない。 東京圏とそれ以外との感染推移の差として、もう1つ、目立っているのは、波と波の間の感染が低下した時期のレベルの差(くびれの有無)である。東京圏では第2波と第3波の谷間も第3波と第4波の谷間も感染者数はそれほど減少しなかった。これは、大阪圏や東京圏・大阪圏以外では、谷間の時期にはかなり感染が抑えられたのと対照的である。 第4波における大阪圏などの大きな感染拡大の要因としては、変異株への置換だけでなく、第3波を大きく抑えることができたので生じた気のゆるみで年度末に人々の交流が拡大したという点が指摘されている。これに対して、東京圏では感染者数が第3波の後もそれほど減らず、年度末にも大阪圏住民ほど気を緩める余裕がなかったので第4波は第3波ほどにはならなかったのかもしれない。 2.第2波
7月以降についても、東京とその周辺の県を含む東京圏の動きが、やはり、全国の中でも感染拡大の中心的な地位を占めている点が目立っている。 感染の再拡大がはじまった当初は、全国の中でも、東京の感染拡大ばかりが目立っており、菅官房長官の「東京問題」だと決めつける発言が物議をかもしたが、現状では、グラフを見れば一目瞭然である通り、大阪圏、そして愛知、福岡といった大都市を中心とする地域が、東京圏のミニ版として、類似した再拡大の動きを示していることが明らかになっている。 それとともに、第1波の感染拡大の時には、目立っていた北海道や北陸3県におけるような、特定のクラスターの動きに影響された個別地域における特異な感染拡大が、7月の再拡大では余り見られなくなり、大都市圏中心の感染拡大となっていることも見て取れよう。 (対数グラフ:その後) 7〜8月から第2波ともいうべき感染拡大が起こっている。 東京、大阪、愛知という3大都市圏の中心部、及び福岡での拡大が目立っている。埼玉、千葉、神奈川、京都、兵庫といいた大都市圏の中心部以外でも拡大は顕著である。 さらに、こうした大都市圏中心の感染拡大の例外地域として沖縄の感染拡大が目立っている。 (感染拡大の第1波と第2波の比較) 末尾には、各都道府県の人口10万人当たりの感染者数(感染率)を6月までの第1波と7月以降の第2波を対比する形で示した。 都道府県の中で、7月以降の感染率が最も高いのは東京であり、全国平均や6月までの感染率を大きく上回る水準である。東京に次いで感染率が高い地域は、大阪、福岡、愛知が続いている。 大都市圏の都心部以外の周辺部も感染率は比較的高いが、それでも、都心部を抱える大都市圏の中心都府県で感染率が特に高くなっている状況がうかがえよう。 東京の中でも、歌舞伎町に代表される夜の繁華街を抱える新宿区が今や感染率がダントツに高く、都内周辺部というべき多摩地域は、ずっと感染率が低くなっている。同じような人口密度に比例した地域傾斜が全国的にも成立しているといえよう。 7月以降の地域別感染率は、6月までの状況とどんなところが異なるかを整理すると以下のような点が目立っている。
すなわち、このような感染拡大が長く続くのであるならば、人が密集して営む都心的生活を自粛し、リモートワーク、リモートライフ、ネット通販や田舎暮らしなど非都心的生活を充実させる「新生活創造」が対策の基本となろう。 しかし、それだけでは十分ではない。都心部的拡大以外の感染拡大にも注意を払わねばならないのである。 上記Dについては、沖縄だけ、あるいは福井だけが高いのではなく、南九州・沖縄全域、北陸全域で感染率が高い(高かった)点に、何らかの共通要因の存在が予想される。 日本の新型コロナ感染率、死亡率が欧米諸国などと比較して格段に低い理由について、ノーベル賞を受賞した山中教授は「ファクターX」と名づけ、その理由を明らかにすることが、新型コロナの感染対策にとって重要だと訴えている。 そうだとすれば、6月までの北陸3県、7月の南九州・沖縄地域で感染率が高い要因を、それぞれ、「ファクターY」、「ファクターZ」と名づけ、各界の関心を喚起したいところである。「ファクターZ」については、沖縄における最近の感染拡大を例にして、GoToトラベル・キャンペーンの影響という説も出ている、いまのところ明らかでない。 大都市の都心部には大きな夜の街(繁華街)が立地しているという特色があり、それが最近の感染拡大に大きく寄与している可能性がある。地方圏にはそれが当て嵌まらないかというとそうでもない。 警察資料から20歳以上人口10万人当たりのキャバクラの店舗数(2020年)を調べてみると、沖縄、及び九州南部の鹿児島、熊本、宮崎は、全国順位がトップレベルであるのに対して、九州北部の大分、佐賀、長崎は対照的に低くなっている(図録7764参照)。これが「ファクターZ」なのかも知れない。 1.第1波
(以下は2020年5月10日段階のコメント) はじめに 本図録では、注目される府県の感染者数について、実数の推移、および実数と人口当たりの数字、さらに対数グラフを見比べることによって地域的な感染リスクの高低について調べたデータ・グラフを掲げた。 データは新聞・テレビで報道されるのは、県外者を含む各都道府県の公表値がベースになっているが、ここでは、ジャッグジャパン株式会社が作成している居住都道府県別、確定日別のデータベースを元にしているので、計数が若干異なっている。 まず、感染拡大の中心となっている東京圏、大阪圏、それ以外を構成する都道府県ごとの確定日別の感染者数の推移を見てみよう。 これを見ると感染拡大は6月までの第1波と7月以降の第2波に分かれていることが明確である。 (緊急事態宣言の状況) 2020年4月7日に新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言が、期間1か月で、対象区域である 東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡 の7都府県に発令された。さらに、16日には、これらに加え、最近1週間で感染者数が2倍になる「倍加時間」が「10日未満」などに該当する 北海道、茨城、石川、岐阜、愛知、京都 の6道府県を「特定警戒都道府県」とし、残りの34県を含めて全都道府県を緊急事態宣言の対象地域にすることが表明された。 5月4日には、こうした措置がさらに5月末まで延長された。 この延長の際に、5月14日をめどに解除するかどうか見直しをするものとされが、実際に見直しがなされ、特定警戒都道府県のうち以下の8都道府県以外は緊急事態宣言の対象地域から除外された。 東京、神奈川、埼玉、千葉、北海道、京都、大阪、兵庫 5月21日には、関西圏の府県が対象から除外され、以下の東京圏・北海道が緊急事態宣言の対象地域として残った。 東京、神奈川、埼玉、千葉、北海道 そして、5月25日には緊急事態宣言の全国的な解除が宣言された。 (地域別の動き) 全体として、4月9日(木)から11日(土)にかけての3日間に感染が確定した患者が多いことがうかがえる。その後は、やや落ち着き、低下傾向のように見える。ピークはやはり過ぎているといえる。 なお、東京圏、大阪圏いずれにおいても6日や13日、20日の月曜日の感染者数が凹む傾向があるが、これは日曜日に保健所等の活動が低下するからであろう。 都道府県の推移を概観すると、東京圏、大阪圏では、大きな都心部を有する東京、大阪の消長に沿って周辺の地域も増減が共振する傾向が見られる。 その他では、個別の動きが目立っている。3月中は、愛知、北海道の増加が中心だったが、4月に入ると、これに加えて福岡、北陸3県の動きが目立つようになった。北海道は、一時期収まっていたが、4月の中旬以降、再度、新規感染者数が目立つようになった。 全体として4月8日の緊急事態宣言から18日経過した4月26日以降、新規感染者数がレベルダウンした印象がある。やはり感染から発症までの2週間とされるウイルスの特性が作用したのであろうか。 (都道府県ランキング) 地域の感染度を測るためには人口当たりの感染者数のデータが重要である。死因別死亡者数など保健医療関係の指標の場合には、人口10万人当たりの数字が使用されるのが通例となっている。 ページ末尾の表には、感染者数の多い都道府県ランキングを実数と人口10万人当たりの両方で示したデータを掲げた。 感染者数そのものについては、1位の東京が2位の大阪の2倍以上となっている。上位2都府が3位の神奈川以下を大きく上回っており、首都東京や関西の中心大阪の動きが極めて重大な局面にあることがうかがわれる。 3位以下、10位までの上位地域としては、北海道を除くと東西大都市圏の近郊地域や愛知、福岡といった中心都市が占めており、都市部の感染がウエイトとして大きいといえる。 人口当たりの感染者数(以下、感染率とも呼ぶ)の都道府県ランキングは実数規模のランキングとはかなり様相を異にしている。1位は東京であるが、2位以下は石川、富山など北陸が目立っている。今6位の福井は一時期1位だったこともある。 東京の都内地域別の感染状況、感染動向は図録7890参照。 実数規模の大きな首都圏近郊の神奈川、埼玉は、感染率のランキングについてはずっと低くなる。感染率は両県の場合、全国平均と同水準である。 そして、福井と並んで、京都、石川、北海道、高知、富山などのように、飲み会、ライブ、高齢者施設などを通じた特定の感染集団によるクラスター感染が偶発的に発生し、それが連鎖的にある程度の広がりをもった特定感染地域ともいうべき都道府県がむしろ上位を占めているのである。 つまり、感染率の高い地域は、「大都市圏の中心部」と「特定感染地域」の2種類だと要約できると言えよう。 しかし、石川、福井、富山といった北陸3県が人口当たりで揃って上位なのは何故だろうか。偶発的にしては地域的な偏りが気になる。 (主要地域の実数、人口当たりの推移) こうした感染者数のランキングは、時系列的な動きの中で把握することが重要である。 表示選択で、感染確定日別に主要都府県の累積感染者数について、末尾表と同じように、実数と人口当たりの両方で推移を示した。もう1つの表示選択で、この図に表示しきれない府県について人口当たりの動きを示した。 推移を追うと3月最終週から新型コロナウイルスへの感染状況の地域分布は、やや様相を異にしはじめていることが理解できる。 北海道では、中国などからの観光客が多いことを背景に、さっぽろ雪まつりにおける会場テント内での感染拡大や北見市における住宅展示会での感染、札幌市ススキノのライブバーにおける感染などで、一時期は感染者数が全国最多である点が目立っていた。 愛知でもスポーツジムや福祉施設を介した感染でやはり感染者数が全国トップに近い位置にあった。同県蒲郡市で「コロナばらまく」と感染を知りながら飲食店を利用していた50代の男性が死亡したことも話題となった。 以前は、東京や大阪の動きは、北海道や愛知と比べ余り目立たなかった。 ところが、3月最終週を境に、大都市圏の中でも東京や大阪といった中心部における指数関数的な感染拡大が目立つようになった。 特に東京の場合は首都であることもあって、感染者の急増が全国的な関心事となっている。 このほか、特定感染地域と呼ぶべきエリアも無視できない動きを示している。 石川では複数のクラスターから感染が広がり、感染者数は大都市圏と比べると人数規模的にはそれほど大きくないが、人口比では全国トップ水準に躍り出ている。 京都も京都産業大の感染者集団(クラスター)が起点となり、学生らが参加したゼミなどの懇親会から連鎖的に感染が広がった。 石川では、二ツ屋病院(かほく市)、中日本高速道路(金沢市)、加賀東芝エレクトロニクス(能美市)、飲食店(金沢市)などで感染者集団(クラスター)が発生している。富山では、病院、老健、小学校で集団感染が発生している。福井では接待を伴う特定飲食店での会食から福井市を中心にクラスター連鎖を起こした。 このように最近になって急拡大が見られる地域とは対照的に、一時期、大きな注目を浴びていた北海道や愛知の動きは、最近は、増加はしているが、比較的、抑制的な拡大である点が目立ってきている。全国的に感染拡大が注目されて、感染防止につながる県民の自粛的な行動が推奨され、その結果、大いに県民意識が高まった効果と見られないこともない。 この2道県が当初緊急事態宣言の対象とならなかったのは、そうした状況を踏まえてのことだったのだろう。 これらと比べて、穏然たる動きが不気味なのは、今のところ人口当たりのレベルが主要感染地域と比較して低い埼玉の動きである。東京、大阪、福井のような急激な感染拡大は見られないが、拡大傾向が一層上向きになってきてはいるからである。埼玉の感染者数は最近愛知を越えている。 また、北海道や愛知のように一時期動きが抑えられたかに見えていた地域でも直近では再度上向きへの不穏な兆候も見られる。愛知はその後抑制的に推移するようになったが、北海道の場合はなお上向きが止まっていない。 もし、「その他」にあらわされるその他大勢の地方が東京や大阪、福井のような感染の急拡大に転じたとしたら、全国的な感染拡大が現実となってしまうのであるので注視が必要だろう。 (対数グラフ:4月末時点) 図録1951dに示した各国の動きの対数グラフと同じように、主要都道府県別に感染拡大経過日数別の対数グラフを描いてみると感染拡大傾向の地域別の違いが明らかになる。 東京は他地域と比べ感染拡大の規模とテンポが群を抜いていることが分かる。しかし、埼玉、神奈川などの東京圏の県もほぼ同様の軌跡を描いており、これに対して、大阪、兵庫、京都といった大阪圏の府県は東京圏地域より拡大のテンポが一段低くなっていることが分かる。名古屋圏の愛知、あるいは北海道はさらに拡大ペースがゆるやかである。 だが、北海道については、ゆるやかだったと過去形で言わなければならない。最近の北海道は再度拡大テンポが上がっており、別の波に襲われているという印象が強い。 福岡は東京圏地域に近い動きであったが、その後、拡大の趨勢は落ち着いた。 東京圏地域の中では、東京は例外として、その他は、最近ややカーブが右に折れる形になっている。東京も最近は遅れてカーブが右に折れてきている。 全体として、急増の後横ばい化という傾向に反して、第二波と呼ぶべき状況になっているのは、北海道と福岡である。福岡の場合は第二波は北九州市で生じている。東京が第二波に襲われるかが懸念されている。 なお、都道府県別の感染者数の動向をここと同じ対数グラフで分析した記事をプレジデントオンラインに掲載したので参照されたい(ここ)。 (2020年4月8日収録、4/9更新、一覧表の元データをNHKニュースから変更、4/10〜4/14更新、4/15更新、東京圏・大阪圏の確定日別推移図、4/16〜4/19更新、4/20更新、対数グラフ、4/21〜5/8更新、5/9更新、東京圏・大阪圏以外追加、8/10第1波・2波比較、5/10以降原データ全面更新日に更新、2021年3月10日原データをジャッグジャパンから札幌医科大学のものに変更、4月10日北海道と福岡の波の要因、6月8日地方毎の感染動向の概観、11月16日第5波急減要因説、2022年1月14日第6波コメント、過去コメント表示選択化、9月26日全数把握見直し、12月22日致死率低下、2023年4月28日対数グラフ掲載取りやめ、5類移行、5月7日全国推移図追加、2024年6月17日札幌市下水調査)
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