風適法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、風営法とも)第2条が規定している「風俗営業」1号は「キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」である。同条第3項は、「ここで「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう」と定義している。 「風俗営業」1号の代表的な業態は、時間制営業のキャバクラであるが、芸者やコンパニオンが接待する和風の料亭などや、銀座などの高級クラブ、男性が接待するホストクラブ、あるいはスナックのうちカウンター越しにお酌するだけでなく、席まで女性がつくものなども含まれる。統計では、1号許可を「和風」と「その他」に分けているので、ここでは、風俗営業1号「その他」の許可数を「キャバクラ店舗数」と言い換えている。 なお、風俗営業「2号」は、ライブハウス、クラブ、バーなど接待はないがうす暗い遊興飲食店、「3号」は、カップル喫茶など個室型の遊興飲食店が該当する。「4号」は、射幸心をそそる遊技施設のうち雀荘、パチンコ屋、「5号」はその他、ゲームセンターなどとしている。これら「風俗営業」は都道府県公安委員会の許可を要し、また午前0時〜6時の深夜営業が原則的に禁止されている(条例によって例外とされる場所・時期を除いて)。また、「風俗営業」となった場合、18歳未満の客の入店はできず(ただし5号の場合午後10時までは可)、18歳未満の従業員に接客させることもできず、経営者は従業員名簿の整備を要する。 全国5万4千店のうち、都道府県別では、東京の6,664店がもっとも多く、福岡の5,076店、沖縄の4,046店がこれに続いている。都心部を抱える大都市地域と南九州・沖縄とで店舗数が多くなっている。最も少ない県は鳥取の38店である。 キャバクラ店密度とも呼ぶべき20歳以上人口10万人当たりの店舗数は、全国が51.6店であるが、最も値が大きい沖縄では352.2店と全国の6.8倍に達している。 沖縄に次いでキャバクラ店密度が高い県を10位まで掲げると、高い順に、鹿児島、山口、熊本、岐阜、福岡、宮崎、福井、秋田、和歌山となっている。つまり、大都市圏以外の地方圏において、特に密集度が高い地域が散在しているといえる。 南九州・沖縄の各県で1位〜7位と密度が高く、福岡を除く九州北部の大分、佐賀、長崎が、それぞれ、38位、40位、43位と密度が低いのと対照的な分布となっている。 ゾーン的な特徴としては、福岡・山口の玄界灘地域と南九州・沖縄地域という西日本の2地域で、キャバクラ文化が花開いているといってもよいだろう。 2020年7月における新型コロナウイルスの感染再拡大が、大都市圏以外では、例外的にこの南九州・沖縄地域で目立っている点については、プレジデントオンラインの記事(2020.8.7)でふれたので参照されたい。 一方、大都市はどうかというと、東京のキャバクラ店密度は57.0店と全国平均より少し高い程度で、順位も12位と特段に高いわけではない。また、東京以外の大都市圏中心部は、愛知が14位、大阪が39位となっており、密度的には特に高密度ではない。 (2020年8月8日収録)
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