世界178カ国の平均寿命ランキングと所得水準との相関を図録1620に掲げたが、ここでは、平均寿命の男女格差を図にした。これをみると、男性は平均して5%〜1割ほど女性より平均寿命が短い。これは生物学的な理由によるものであろう。ただ、平均寿命の短い貧困国では、男女の平均寿命が近づく傾向が見られる。これは、出産時の母体リスクの高さからと考えられる。この点については、図録2249「母体リスクの国際比較」を参照されたい。 図を見ると、平均寿命の男女格差が特異な国がある。カタールでは男の寿命の方が長い。同様にバーレーン、クウェート、サウジアラビア、バングラデシュ、パキスタンといったイスラム国では、男女の平均寿命に余り違いがなく、女性の寿命が相対的に短い点で目立っている。人口大国の中国、インドでも女性の寿命は相対的に短い。 他方、ロシアを典型として、エストニア、ベラルーシ、リトアニア、カザフスタンといった旧ソ連諸国では、男性の寿命が女性の1.5割前後短く、男性が早死にである点が目立っている。こうした国は自殺率も高い国であり、また男性の自殺率が際立って高い国であり、平均寿命の男女格差と相互に関連している可能性が高いと思われる(図録2770、図録2772、図録8985参照)。 なお、日本でも戦前には女性の方が平均寿命の短い地域があった点については図録7248参照。 以下に原データである男女の平均寿命と寿命の男女格差を各国毎に示した。国の順は図と同じく、男女計の平均寿命の長い順である。 平均寿命(2010年)
(2005年5月23日収録、2012年6月13日更新)
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