男女計の自殺率の国際比較、あるいは自殺率の高低の要因については、図録2770でふれたが、ここでは男女別の状況について概観する。

 図には、x軸方向に男性、Y軸方向に女性の値をプロットした。男女同一線より左では女性が男性を上回り、右では男性が女性を上回っていることを示している。

 多くの国で男性が女性を上回っているが、特に、自殺率の高い旧ソ連・旧共産圏諸国では大幅に男性の自殺率が女性を上回っていることが目立っている。同じように自殺率が高い国の中でも、北朝鮮、韓国、日本、インドとは異なる、特に男の自殺者の高さが特徴のグループをなしているといえよう。

 世界の中で女性の自殺率が男性より高い点で目立っているのは中国である(旧図録2772xでは中国の場合、特に農村部において女性の自殺率が高いことが示されていた)。理由を外婚制に求める説については図録2424参照。この他、女性が男性を上回っている国は、イスラム国のバングラデシュである点が目立っている。また、女性が男性と比べてそう低くない国としては、北朝鮮、インドなどがあげられる。

 平均寿命の男女格差を掲げた図録1670では、男女を比べて、男性の自殺率が高い旧ソ連諸国では男性の平均寿命が短く、逆に女性の自殺率が相対的に高い中国、イスラム圏諸国、インドでは、平均寿命も相対的に女性が短いという事実があることが示されている。

 日本はランキングは男女計では世界第18位(図録2770参照)であるが、男性は第20位、女性は第8位である。この順位だけ見ると女性の自殺率が日本の場合特に高いとも見えるが、これは男性の自殺率が特段に高い旧ソ連諸国は女性については男性ほどほど水準が高くないためである。

 ここで、図に国名を記した国を掲げると、スリランカ、リトアニア、ガイアナ、モンゴル、韓国、カザフスタン、スリナム、ベラルーシ、赤道ギニア、ポーランド、ラトビア、ハンガリー、スロベニア、アンゴラ、ベルギー、ロシア、ウクライナ、日本、エストニア、ボリビア、北朝鮮、インド、中国、バングラデシュである。

(2005年5月20日収録、2007年11月4日更新、2009年12月9日更新、2014年10月19日更新、2018年1月20日更新)


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