図録8210には1949年以降の出生率・死亡率の動向を掲げたが、第1次のベビーブーム(中華人民共和国成立後、1950年代)は60歳代後半のピーク(余り明確でないが)、第2次ベビーブーム(大飢饉後、1963年ピーク)は50歳代前半のピーク、第3次ベビーブーム(中国の団塊ジュニア)は30歳代前半のピークにそれぞれ対応している。また、60歳代前半の人口が前後と比較してなだらかなカーブでないのは、1949〜51年の大飢饉の影響である。 また、20歳より若い世代の人口は急速に少なくなっており、最近の急速な出生率低下を反映している。 将来の人口構造の姿は、こうした人口ピラミッドが上方に迫り上がって来ることを予想すれば、当然見えてくる。 3波のベビーブーム世代が30歳〜70歳にあり、65歳以上人口比率は12.6%とそれほど高くない。近年の中国経済の高度成長は、生産年齢人口が順調に増加し続け、その結果、社会と経済の活力が維持されてきたという側面が大きい(いわゆる人口ボーナス)。ただし、一人っ子政策の影響もあって、出生率は急激に低下しているため、将来は、超高齢化社会に伴う弊害も予想され、その結果、実際に、一人っ子政策の見直しが実施された。 人口ピラミッドとともに描くことが出来る年齢別の性比(男性人口の対女性比率)を次ぎに見てみよう。一般に性比は出生時は106と男児の方が少し多いが年数を加え高齢化するにつれ男性の死亡率が相対的に高くなり性比は低下する。日本の年齢別性比が典型である。 中国の場合、一人っ子政策の実施が性比に大きな影響を与えてきたことが分かる。 性比が上昇に転じたのは1979年の一人っ子政策の実施を契機としてである。1つは、禁止されている性別判定検査により出産・人工流産を選択、2つには、第1子が女子である場合「一人っ子証」の受領をひかえ、男児の出生まで2人以上出生のペナルティを甘受、3つには、出産を届け出ない「黒孩子」(闇っ子)などを通じて、男子が女子を上回る結果となっている。男女比のアンバランスから3000万人の男性が結婚難に直面しているともいわれていた。 もっとも最近は性比が正常に戻る方向にはある。 なお、韓国でも出生率の低下に伴い中国と同様の性比の上昇が見られるが中国よりは程度がマイルドである(図録8900参照)。 最近の中国の出生性比は下図の通り、世界一高い。 なお、もうひとつの人口大国インドとの比較は、図録8250参照。 (2005年4月30日収録、2012年4月28日更新、2015年4月6日国連推計値をセンサス値に変更、2017年4月16日出生性比ランキング図、2019年6月11日更新、2023年1月17日更新)
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