多くの都道府県では、毎年、市町村民所得統計(市町村民経済計算)が作成されており、その中で市町村のGDPというべき市町村内総生産が算出されている。当図録では、国内ではそう大きい経済規模とはいえない大分県の市町村の経済規模を海外諸国と比較してみた。 大分県全体の経済規模は都道府県の中で33位の4.2兆円と海外ではトルクメニスタン、国内では富山県や沖縄県などと同等である(図録4550参照)。 大分県の中で最も経済規模が大きい市町村は県庁所在都市の大分市であり、市内総生産額は1兆9千億円と県内総生産額の半分近くとなっている。大分県は県内において経済の一極集中が進んでいるといわれるが、それを裏づけるデータとなっている。 大分市の経済規模はアフガニスタンのGDPとほぼ同じである。図録4550a(2013年データ)の通り、実は、国内で最も経済規模の小さな鳥取県の1.8兆円を上回っている。 県内第2位の経済規模は中津市の3,700億円であり、これは南太平洋の島国フィジーに匹敵している。3位の別府市は南米のガイアナ、4位の日田市は中部アフリカのブルンジ、5位の佐伯市はアフリカ南部のレソトとほぼ同等の経済規模である。 また、津久見市はカリブ海の島しょ国グレナダ、竹田市は南太平洋の島国サモア、由布市はやはり南太平洋のソロモン諸島、そして経済規模最小の姫島村(注)は南太平洋の小さな島国ツバルと同等の経済規模となっている。 (注)姫島の人口は1,726人(2020年国勢調査速報)。英国の外交官アーネスト・サトウが訪れた明治維新の頃もほぼ同じ人口であった(図録0448参照)。 このよう大分県の市町村レベルでは、アフリカ諸国や太平洋やカリブ海などの小さな島しょ国の経済規模と同等な地域が多くなるが、それでも国レベルの経済規模を有している点から日本の地域経済は、やはり、あなどれない実力を有していると見られよう。 (2016年11月8日収録)
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