酒豪都市トップ3は、青森、秋田、札幌である(下表参照)。ちなみに下戸都市トップ3は、浜松、和歌山、水戸。ビール党が多い関西、清酒好きの北陸、焼酎好きの南九州、ワイン好きの東京。
酒類年間支出金額
(2019〜21年平均)
青森市 |
57,280円 |
秋田市 |
57,253円 |
札幌市 |
54,794円 |
東京都区部 |
53,790円 |
盛岡市 |
53,764円 |
これは、家計調査の各種酒類の県庁所在市・政令市別の年間消費額(購入金額)から見た特徴である。ここで示しているのは家庭で購入する分であり、飲み屋などで消費する分は入っていない(地域別の家庭外の飲酒代については図録
7760参照)。
家計調査によると酒類の年間支出金額(2019〜21年平均)は、ビール(ビール風飲料を含む)が2.1万円ともっとも多く、清酒が5千5百円、焼ちゅうが6千4百円、ワインが3千7百円と続いている。ウィスキーは2千1百円とそれほど多くない。なお、外食の飲酒代は1.1万円となっている。
酒類の消費の多い上位4品目について、支出額の県庁所在市ランキングが最も高い品目を、それぞれの酒を好んでいる地域として色分けした。相対的に好まれている酒を示している点に注意して見てほしい。
- 全国的に消費額の多いビールであるが、特に好んでいるのは北海道、北東北、大阪・兵庫といった関西圏、そして四国である。
- 焼ちゅうを好んでいる地域はもともと焼ちゅうの産地として知られる宮崎、鹿児島、沖縄のほか、中九州や東中国に及んでいる。ちょっと不思議なことに奈良でも焼ちゅうが好まれている。
- ワイン好きなのは、何といっても東京を中心とそる関東地方、及び宮城、愛知、福岡といった地方中枢都市を抱える地域である(宮城もワインは清酒と同順首位)。言わばハイカラ好きの地域が好んでいると言えよう。その中で、山形と滋賀はやや異例にワインが好まれている。
- かつて全国的に好まれていた清酒については、ビールや焼酎、ワインの消費拡大がそれほど進まなかった地域で相対的に好まれていると言えよう。南東北から北陸、中部、あるいは三重、和歌山、島根、佐賀といった周辺的な地域で相対的に好まれている。もっとも京都が清酒なのはやはり伝統文化の都だからだろう。
以上は、相対的にどんな酒が各地域で好まれているかという分析である。実際の支出構成を見るため、下図に、地域別の清酒、焼ちゅう、ビール、ワインの支出額構成グラフを掲げた。好みの変遷を知るため1963〜65年平均の構成も示しておいた。
かつて宮崎、鹿児島を除くと日本各地は清酒のシェアが過半を占めていた。その後、ビール消費が全国的に拡大し、また焼ちゅうブームやワインブームが時々訪れ、今では、ビールが中心で、清酒、焼ちゅう、ワインがだいたい同じ割合でビールを補うという飲酒構造となっている。宮崎、鹿児島で焼ちゅうが好まれているといっても、支出額はビールを下回っているのである。