総務省統計局が実施している家計調査により県庁所在都市別の飲み屋代(飲酒代)と喫茶店代(喫茶代)をグラフにした。

 飲み屋(呑み屋)に最もお金を使っているのが高知市であり、最も少ない津市の3倍以上となっている。酒豪王国として高知県は名が高く、土佐の酒文化は、幕末維新の志士達より、そのまま伝統として、現代にも受け継がれているといわれるが、こんなデータにもその特徴があらわれているといえよう。

 第2位以下は山形市、川崎市、長野市と続いている。

 飲み屋代が少ないことで目立っているのは、名古屋圏(名古屋と津)や関西圏(京都、大阪、神戸、奈良、和歌山)である。飲食の場として飲み屋というより料理店が多いためとも考えられる。飲み屋で食べるか、食べ物屋で飲むかの違いがあるのだろう。

 一方、喫茶店代への支出では、岐阜市と名古屋市の突出ぶりが目立っている。この他では、東京、横浜、川ア、あるい神戸、奈良であり、これらの地域で喫茶店文化が根づいていることをうかがわせている。

 岐阜市で喫茶店文化を取材した読売新聞記者は以下のように報じている。

「「“岐阜人”の多くは、自宅と職場の近くに最低二つ、お気に入りの喫茶店がある。休日の朝、家族そろってモーニングサービスを食べる光景もよく見ますよ」ここまで喫茶店が市民生活に浸透したことについて、(郷土史家の)松尾さんは「岐阜市の繊維産業が関係している」と話す。...JR岐阜駅前には衣類の問屋街が広がる。かつて織物業、染色業といった業者は家族労働のような形態が多かったため、作業場は狭く、機械の騒音も大きかったことから、商談や情報交換の場として喫茶店がよく利用された。次第に喫茶店の敷居は低くなり、PTAや趣味のサークル活動の場、高齢者の交流の場としても使われるようになったという。」(2007年12月13日読売新聞)

 近年は、都心や駅前というより郊外型の喫茶店が流行してきている。銀座ルノアールが運営するミヤマ珈琲(1号店2003年新宿南口)、スパゲッティ五右衛門チェーンの日本レストランシステム鰍ェ運営する星乃珈琲(1号店2011年新宿)のほか、以下のように、岐阜・名古屋勢が関東に進出してきている。

(岐阜・名古屋喫茶店チェーンの関東進出)
2003年 コメダ珈琲(名古屋市)、横浜市出店
2013年10月 元町珈琲(岐阜市)、練馬区に関東1号店オープン
2014年8月 さかい珈琲(岐阜市)、町田市に首都圏1号店オープン

 岐阜・名古屋勢のウリは、「モーニング」の充実と広い空間構成だという。もともとの関東勢もこれに影響されているようだ。ゆったりとした席で、2〜3人連れの主婦が喫茶店でモーニングを食べ、何時間もおしゃべりしたあと、そのままランチに突入というケースもあるらしい。

 さかい珈琲(岐阜市)の河合さんは言う。「住宅地には必ず徒歩圏に喫茶店があり、主婦は朝から午後まで長居する」「岐阜では当たり前です」(東京新聞2014年9月22日Tokyo発「カフェに新風 岐阜スタイル」、以下同じ)

「喫茶店のモーニングが充実している東海地方のなかでも「岐阜モーニング」は突出している。現地ではおにぎりや、雑炊、茶菓子も出る。

 フードアナリストの上村尚美さん(52)は「モーニングは愛知県一宮市の発祥とされる。繊維産業が好景気に沸いた昭和30年代前半、忙しい労働者のために喫茶店で手早く食事ができるようにパンとゆで卵を出した。同じ繊維の街で、近隣の岐阜でサービス競争がエスカレートした」と解説する。」

 こうして誕生した岐阜・名古屋の喫茶店文化が、郊外に住む時間的余裕のある中高年向けに、装いも新たに復活しているのだと考えられよう。

(2009年12月7日収録、2014年9月24日郊外型喫茶店コメント追加)


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