設問の中には、「現在住んでいる都道府県で○○が自慢と思っているか」という一連の質問があり、○○には「暮らしやすさ」、「食べ物の美味しさ」、「教育水準の高さ」などと並んで「美男美女の多さ」がある。 図録7319では、一般的な評判として「美人が多い県はどこか」を取り上げたが、この図録では「美男美女の多さ」が自慢という回答割合グラフにした。 各年の結果は、回答者数が100人と限られていることもあって回答数のバラツキも大きいし、ランキングも毎年同じでない。以下に2020年の結果を掲げた。 おおまかなところはうかがえるが、同順位の都道府県が多かったりして、説得力のあるランキングにはなっていないことが分かろう。 そこで、毎年同じ設問の調査が行われていることを踏まえ、複数年次、具体的には5年間を束ねた集計を行い、その結果をグラフにした。 「美男美女の多さ」が自慢としている人が最も多い県は福岡県であり、23.0%にのぼっている。これに沖縄県の17.0%、秋田県の16.0%が続いており、この3県が次位以下をかなり引き離した「美男美女県」といってもよかろう。 福岡県は「博多美人」、秋田県は「秋田美人」という言葉が熟しており、いわば全国的に認められている点が大きく影響しているだろう(上は図録7319から再録した秋田美人の例)。 沖縄美人という用語は確立していないのに、沖縄の美男美女自負度が高い理由については、仲間由紀恵、新垣結衣、比嘉愛未、黒木メイサ、安室奈美恵、山田優、二階堂ふみ、満島ひかり、黒島結菜、昔なら南沙織といった一般に美人女優・美人歌手として通っている芸能人が多い点が影響していると考えられる。つまり、本当に美人が多い以上に、米国ならプエルトリコのように、経済的に苦しい地域から芸能人、スポーツ選手が多く輩出し、女優や歌手としてデビューしたからには美人に見えるように脚色するという力学が働いている面も無視できない。 沖縄については、長崎に美人が多いのと同じ理由、つまり歴史的経緯から混血が多いという点も美人が多いイメージのもとになっている可能性もある。実は、秋田美人の由来もロシアなど大陸との交流による混血説がある(図録7767)。 福岡、沖縄、秋田に次いで美男美女自負度が高くなっているのは、熊本であり、さらに、新潟、兵庫、青森、東京が続いている。港町を抱える地域が多い点が興味深い。 一般的評判としては美人が多いともされる東京(図録7319の図を以下に再録)は、案外、自慢割合が低くなっている。銀座のホステス、ファッションモデルやテレビ局の女子アナのような都会的な美女の存在が影響して評判は高いが、東京在住者が自分の周囲を見渡して判断するということになると特段、自慢する要素は見い出せないということであろう。 沖縄の一般的評判は、自県評価と比較して低い。沖縄美人という熟した言葉がなお成立していないせいだろう。 逆に、京都美人という言葉があり一般的評価は高いが、自県評価は余り高くない(大阪と同じ値)。 最後に自県評価の低い方の地域についてふれよう。 5か年を通じて各年1人も自慢した人がいなかった県のみが0.0%となるがそういう県はなく、最低は0.6%であり、茨城、奈良、香川が該当している。それに次いで低いのは0.8%の埼玉、和歌山、岡山である。これらの県では、よほど自慢する気になれないようだ。茨城はなるほどと思わせるが、図録7420で見たように奈良は良家の奥様も多いようなのでやや意外である。 なお、香川も最低である。私の偏見であるが高松を最初に訪れたとき、街を行く女性が大平正芳元首相や菊池寛のような顔をしていたことにオドロイタことを思い出す。実際、壺井栄、笠置シヅ子や松本明子が香川県人である。 (2022年1月11日収録、2024年1月26日3か年平均から5か年平均へ更新、笠置シヅ子・大平元首相画像、1月28日美人県女優画像)
[ 本図録と関連するコンテンツ ] |
|