母数を夫婦のいる世帯ではなく、夫婦のいずれかが稼いでいる世帯とした。これは高齢化にともなって夫婦とも無業の世帯が増えている影響を除くためである。従って100からこの共稼ぎ夫婦の比率を引けば専業主婦世帯の比率となる。ただし、こうした計算での専業主婦世帯には、妻が有業で夫が無業の「専業主夫」世帯も含まれる。 共稼ぎ夫婦が最も多いのは山形(71.8%)、最も少ない(専業主婦が最も多い)のは奈良(56.4%)である。 共稼ぎ夫婦が多い地域は、東北の山形から北陸、山陰にかけての日本海側が目立っている。 一方、共稼ぎ夫婦が少なく、専業主婦が多いのは、北海道・沖縄を除くと、大都市圏、すなわち南関東(埼玉、千葉、東京、神奈川)や関西(大阪、兵庫、奈良)、あるいは九州では福岡、東北では宮城である。 2012年から2017年への推移では、すべての都道府県で値が上昇しているが、南関東や関西で大きく上昇しており、共稼ぎ夫婦世帯が少ない地域ほど上昇幅が大きいようである。 この点を確かめるため、X軸に共稼ぎ夫婦世帯比率、Y軸に比率の上昇幅を取った相関図を下図に示した。確かに右下がりの傾向が認められる。 富山はすでに共稼ぎ比率が高い水準であるのに上昇幅も大きい点が目立っている。 共稼ぎ夫婦が少なく、専業主婦が最も多い奈良の県民生活の特徴として、「時間とお金をかける趣味が盛ん」であることを指摘したのは、日経MJ(2015年1月1日)である。表の通り、大阪府のベッドタウンとして収入の高い世帯が奈良県には多く、パンや菓子作りを楽しむ家庭が多いため小麦粉の消費量も全国1となっている。ピアノや電動ミシンの普及率が全国1であり、また茶道が1番目に盛んであるのも同様の余裕ある生活が背景として考えられよう。男性の生涯未婚率が全国最低なのも同様の状況のあらわれと言えよう。 これは2010年代前半のコメントである。その後、奈良の生活変化は大きく、多くの項目で全国トップの地位から離脱している。
ちなみに奈良の郷土産品である柿の葉寿司、タコもみうり、サンマずしを内陸県の魚介料理として以下に紹介する。 (2015年3月15日収録、9月16日分布マップ追加、2016年9月28日値修正-2007年、2012年ともに「夫婦と子供から成る世帯」について「夫婦ともに無業」ではなく「夫だけ無業」を除いていた間違えを補正、2018年7月14日更新、相関図、2022年9月4日柿の葉ずし、タコもみうり、サンマ寿司、10月30日奈良県の全国1の表改定)
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