ここでは、都道府県別の生活時間の配分を、この3区分で示したグラフを掲げた。 地域比較は男女有業者ベースで行っている。学生・無業者を含んだ国民全体ベースで変化を追うと、有業率(労働力率)や年齢構成の違いに起因する生活時間の配分の違いが含まれてしまう。例えば高齢化の進んだ県では睡眠時間が平均して長くなる。また、女性について有業率(労働力率)が高ければ、仕事時間が長くなる。有業者ベースで比較すれば、こうした要素を除去して、生活時間の違いを評価することができるのである。(なお、有業者ベースなので、2次活動の重要な構成要素となっている「学業」はほとんど含まれていない点に注意が必要である。) グラフは、男女別に、3次活動時間(自由時間)の長い順に都道府県を並べた。 生活時間の配分−最大県と最小県(2001年)
全体としての傾向では、男女ともに、自由時間(3次活動)の長い地域は、仕事・家事(2次活動)の時間が短く、自由時間の短い地域は、仕事・家事の所要時間が長い地域となっている。生理的な時間(1次活動)は、基本的には、自由時間の長さとは相関していないようである。また、地域ごとの時間の差は、2次、3次活動で大きく、1次活動では小さい。 時系列分析では、睡眠時間も仕事・家事もともに減少していて、むしろ睡眠時間を減らしてまで自由時間やおしゃれの時間を増やしていると考えられた(図録2320、2325)が、ここでの地域別のクロスセクション(横断分析)では、仕事・家事時間の長さによって自由時間の長さは制約されているととらえられる。 なお、男性と女性を比べると、全体として、1次活動時間はほぼ同等の水準であるが、仕事・家事などの2次活動時間は、仕事と家事を両方担うことの多い女性の方が、男性より長くなっている(平均して20分以上女性の方が長い)。 都道府県別では、男女とも、愛媛の自由時間が最も長く、青森の自由時間が最も短い。たまたま、第1位の県と最下位の県とが男女で一致しているが、男女の自由時間の長さの順位は必ずしも平行してはいない。例えば、東京は、男性の自由時間は、下から5位の水準だが、女性の自由時間は上から2位である。また、島根は、逆に、男性の自由時間は、第2位であるが、女性の自由時間は、下から8位である。 平たく言えば、こうなる。愛媛では、男女ともに、仕事・家事が短いため、自由時間を多くとれるが、青森では、仕事・家事が忙しく、自由時間が余り取れない。東京では、男性は、仕事に忙しく、自由時間が取れないが、女性は、仕事・家事の時間が短く、自由時間を多くとれている。島根では、男性の仕事時間は余り長くなく、自由時間を多くとれているが、女性は、仕事・家事に忙しく、自由時間を余りとれない。 なお、都道府県別の睡眠時間については図録7316参照。都道府県別の自由時間の長さと女性のおしゃれ度の相関については、図録7320参照。 (参考) 生活行動の種類と区分
(2006年8月8日収録)
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