国・人種別の血液型のように(図録9450)、構成比であるので本来は帯グラフにすべきであるが、日本人という点では共通なので地域的な差異は小さい。そこであえて差を際立たせるため折れ線グラフ表示とした。 また、血液型の比率の高い順に10地域を選んで色分けした都道府県地図を作成した。A型とB型の上位10位は重ならないが、O型の比率の上位10位はA型あるいはB型の上位10位と重なる。そこでO型に関してはダブりを除いて10地域を選んで色分けした。他の血液型でなく、O型の優先順位を後ろにしたのは、ヨーロッパ、中東、アフリカについて民族差はA型あるいはB型に顕著にあらわれるとする説があるためである。 都道府県別の血液型分布はすべての都道府県でA型が最も多く、O型、B型がこれに次ぎ、AB型が最も少なくなっている。従って血液分布は各血液型の比率の大小に注目するものとする。北海道は内地からの移住民が多いので一応除外して考える。 A型は徳島が最も比率が大きく、福岡、愛媛がこれに続いている。四国、九州や山陰などが高く、東日本は概して低くなっている。 B型は一般にA型と逆の関係が成り立っている。秋田、青森、長野がトップ3である。東北、中部、関東の比率が高く、西日本は低い傾向である。 O型はA型やB型のようには東西方向では目立った傾向がないが、どちらかというと太平洋岸で高い地域が多く見られる。千葉、青森、福井、岩手、沖縄が33%以上と高くなっている。 こうした地域別の血液型分布は、日本人の祖先はどこから来たかという問題関心から調査されている。極東周辺諸国をはじめ世界各地域の人種別の血液型と比較した結果では日本人の血液型は隣接地域と共通する分布図的に明確な類似を示さない。B型の多い蒙古人型(蒙古族、北シナ漢民族、満州族等、インド人は蒙古人型に近い)やB型が多いがO型もやや多い南アジア人型(フィリピン、マレーシア、南方漢民族等)とは著しく異なり、むしろ東欧・西アジア型と近かったりする(古畑種基「血液型の話 」岩波新書(1962年))。血液型の世界分布については図録9452参照。 従って、日本人の祖先は何波にも分けて日本列島に到着した諸民族の混交という結論となる。都道府県別の血液型分布の傾向から以下のような仮説が提示される(同書)。 「日本人の血液型の分布をみると、A型因子が九州の北部、鳥取・島根から四国の愛媛・高知などに濃厚にみられ、東北に向かにつれてだんだんと減少していくこと、これと反対にB型因子は東北、北陸、中部地方などに多く、西方にゆくにしたがって少なくなっていゆくこと、O型因子は九州南部、太平洋沿岸の県に多いことから考えて、日本島には初め太平洋諸島に住んでいた民族(O型の多い太平洋=アメリカ型)が南方から渡来したところに、北方からおそらく朝鮮半島をへてB型因子の多い民族が来て広がり、さらにA型因子の多い民族が九州北部、中国・四国の西方に分布し、これが勢力を得て漸次東方に進出してきたものと考えられる。...A型因子がどこから日本にはいってきたかということが大きな謎である」。 こうした研究を踏まえ、現在では、日本列島への大規模な民族移動は以下の4回であったとする説が有力という(竹内均氏の説を宇田川勝司「数字が語る現代日本の「ウラ」「オモテ」 」学研新書2009年が紹介)。
(2009年12月2日収録)
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