前回衆院選と比較すると自民党の割合が若年層ほど高かったのが、若年層ほど低くなった(10代はやや例外)点がもっとも目立っている。若年層の支持を集めたのが立憲民主党ではなく国民民主党だったという点がもう1つの特徴である。20代では最大の比例投票先が国民民主党となっているほどである。若年層の保守化傾向の受け皿が自民党から国民民主党に代わっただけとも言えよう。 もっともれいわ新選組も若年層に関しては日本維新の会と同等の比例投票先となっており、こちらは保守ではなく革新系なので若年層がシフトした先は未知数の少数派政党だったともいえるかもしれない。 2022年参院選については、共同通信の出口調査による比例投票先の主要政党別の年齢別割合を掲げた。 自民党の年齢別割合は以前のように若者層で特に高くなく、ほぼフラットだった。日本維新の会と立憲民主党の年齢別のパターンはほぼ以前と同じだった(立憲民主党は全体に下方シフトしているが)。若年層の票は国民民主党やれいわ新選組や諸派に流れたとも見える。 2021年及び前回2017年の衆院選については、朝日新聞の出口調査による比例投票先の主要政党別の年代別割合を掲げた。 自民党への投票は2021年も17年ほどではないが、なお、「若高老低」を維持している。ただし、17年も21年も70歳以上だけは60代より高くなっており、旧来型の自民党支持層パターンを示していると考えられる。 自民党とは対照的に野党第1党の立憲民主党は、2021年も17年同様、「若低老高」の傾向を示している。 日本維新の会は「壮年層高、若老低」の傾向が17年にも比して明確になっている。 21年も17年の年齢別カーブがほぼ踏襲され、自民の若者傾斜、立憲の高齢者傾斜、そして維新の壮年層傾斜というパターンが定着してきているといえよう。 旧来型の自民党支持層パターンからの変貌ぶりについては2005年の衆院選からの推移を掲げた図録5232参照。 21年と17年を比較して21年の特徴をまとめると、まず、自民党の若年層支持率は低くなり、立憲民主党の若年層支持率は高くなっている点が明らかである。これが、2021年衆院選における議員の世代交代の動きの背景となっていたと考えられる(図録5235参照)。 2017年衆院選では、新たに生まれた希望の党が躍進したが、旧状打破を目指す地域政党的な動きという共通点からか日本維新の会と年齢パターンが似ていた。 日本維新の会が2021年衆院選で躍進したが、外見的には旧希望の党の支持層を吸収したかっこうである。 2017年衆院選については、当時のダイヤモンド・オンラインの連載記事や当図録時事トピックスでも取り上げたが、従来、若低老高だった自民党への投票率が、むしろ、反対の若高老低に変貌した点に大きな特徴がある点を指摘していたので参照されたい(ダイヤモンド・オンライン記事、図録j025参照)。 (2021年11月6日図録5232から独立、2022年7月14日参院選結果、タイトルに参院選を追加、2024年11月4日衆院選結果)
[ 本図録と関連するコンテンツ ] |
|