格差是正について政府の責任だとする意見が多い国としては、トルコ、ポルトガルやウクライナ、ロシアなど旧ソ連諸国が目立っている。 逆に政府の責任ではないとする国としては、米国、ニュージーランド、オーストラリアなどアングロサクソン系諸国が目立っている(フィリピンも米国の影響か政府の責任ではないという意見が多い)。また、ノルウェー、スウェーデンなどの北欧諸国や日本もこれに近い意識となっている。 東アジア諸国の中では、格差が大きい中国では格差是正を政府に求める意見が81.4%最も多く、韓国は75.1%で、これに次ぎ、逆に、台湾、そして日本は、それぞれ、66.4%、54.4%とむしろ英米系諸国に近い意識となっており、かなりの差がある。これらの国における「治国平天下」といった儒教の考え方の共通性より、実際に所得格差が大きいかどうか、また市場経済主義の浸透度合いの影響による差が大きいと考えられる。 関連して、同じISSP調査が調べた社会保障(高齢者生活維持や医療供給)に対する政府責任については、図録2799参照。また、調査年次は異なるが中国人が格差に対する政府の責任を大きく考える意識が、数十年にわたる社会主義時代の文化やイデオロギーに由来していると見なしている国連の報告書を図録4680で引用したので参照。 これまでの格差是正や社会保障への政府責任に関するISSP調査の結果を日本についてまとめると次の通り。格差是正や社会保障について日本国民は概して余り国に期待していないことが分る。また、格差是正について、13年間に日本の評価点は0.30→0.46→0.55へと0.25上昇していることも分る。まさにこの時期はリストラ進行期、小泉政権下改革期をはさんだ時期であり、格差についての意識が大きく高まった時期なのである。しかし、世界でも格差への政府責任意識が高まったので日本の順位は余り違いがない。 政府責任かどうかの評価点順位
(資料)ISSP調査 1996年調査における上表4項目を含む全11項目の経済社会対策についての結果については図録5184参照。 なお、以下には、調査国・地域のすべてを掲げたランキング表を掲げておく。 所得格差是正や社会保障を政府の責任と考えない人の多い国・地域ランキング(ピンク:日本、ブルー:英語圏)
(資料)ISSP調査 (2012年12月3日収録、2015年4月27日政府責任関係ISSP調査まとめ表追加、5月14日1996・1999年調査結果を追加、5月15日ランキング表追加)
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