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 桜の開花日は早くなっている印象がある。この点を確かめるため、気象庁のデータにより、東京と仙台におけるソメイヨシノの開花日の年次推移をグラフにした。

 毎年の変動の中で、早くなったり、遅くなったりする傾向がないかを目で確認すると、東京にせよ、仙台にせよ、1980年代までは、開花日に余り傾向変化があるように見えないが、それ以降は、開花日が早くなる傾向が認められる。

 こういう場合の傾向線を求めるひとつの方法は移動平均である。下図には各年における過去10カ年の移動平均を黒の太線で示した。1990年代以降の早期化傾向が認められるが、仙台では1980年代まで、やや開花日が遅くなる傾向があったとも見える。


 東京の開花は千代田区の靖国神社にある桜(ソメイヨシノ)の標本木で判定されている。2020年、2021年、2023年の東京の開花日は3月14日であり、これらは1953年の統計開始以来、もっとも早い日となっている。

 東京では1980年代までは4月になってから開花することもあったが、最近では、4月開花ということはなくなり、3月下旬の早目の開花が普通となっている。

 仙台でも1990年までは、せいぜい、早くても4月3日だった開花日が、2000年以降3月中や4月1日に開花するようになった。もっとも2022年は花冷えの影響で4月8日とやや遅かった。

 なお東京や仙台における、1984年の開花の異例の遅さは、戦後最多の降雪日数などを記録した当該年の異常気象(「五九豪雪」とも称される)が原因だった(図録4350参照)。

 桜の開花の時期は、東京や仙台における温暖化により春先の気温の変化にともなって早まっているといえる。両都市の温暖化にはヒートアイランド現象も影響していると思われるが、より基本的には地球温暖化の影響によるものであろう(図録4333)。

 表示選択で京都と福岡の例も掲げたが、これまで述べてきたことが、やはり、当てはまっている。

 京都では、かつて4月9日まで開花が遅れることがあったが、今では、せいぜい遅れても4月3日までである。

 福岡では今は3月13日〜14日に早くも開花することがあるが、かつては、少なくとも3月20日過ぎにならないと開花しなかった。

(さくら前線)

 桜の開花時期が早まったのは地球温暖化の影響であることを理解するため、以下には4月1日段階のさくら前線の経年的な北上の様子を示した。1960年代の4月1日には、三浦半島から紀伊半島にかけての本州の太平洋沿岸と四国、九州でさくらが開花していた。それが最近10年間では同じ時期に関東、東海、近畿、中国地方でも開花するようになってきている。

 全国的な桜前線の北上や紅葉前線の南下については図録4344参照。


 開花の判定は、気象台から近いところで、周辺の環境が変わり にくい場所にある標本木の花が5〜6輪開いた状態のときに 行われる。図で掲げた各都市の標本木の所在は次の通り。仙台(榴岡公園、仙台市宮城野区五輪1)、東京(靖國神社、千代田区九段北3-1-1)、京都(気象台構内、京都市中京区西ノ京笠殿町38、2013年より2.5kmほど東の二条城北大手門近くに移動)、福岡(気象台構内、福岡市中央区大濠1-2-36)。

(2018年3月17日収録、さくら前線の図は図録4345から移管、3月18日京都・福岡を選択表示で追加、3月30日仙台更新、2019年4月5日更新、2022年4月9日更新、2023年3月15日更新、2024年3月29日更新)


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