環境白書など環境関連の報告書で、まず、地球温暖化を示すデータとして示されることが多い気象庁調べの世界と日本の平均気温の長期推移のグラフを掲げた。

 データは各観測地点の平均気温そのものをさらに平均するのではなく、地点ごとに30年間の平均気温(基準値)からの毎年の偏差(プラスあるいはマイナスの乖離幅)を求め、こうして求められた各地点の値を平均するかたちで算出されており、結果の推移グラフも基準値からの偏差であらわしている。これは観測地点の標高や緯度などによるバイアスを減らすためである。

 その年の流行語、その年の漢字、その年の書籍ベスト3など、毎年、年末にはその年を回顧する様々なデータが報道等で取り上げられる。気象庁も12月には11月までの世界と日本の平均気温のデータに基づく年間速報値を公表している。

 2023年の速報では、世界、日本ともこれまでになく高い値となった点が目立っている。2023年には世界や日本で異常気象が多く観測された点については図録j040参照。

 2023年12月の速報によれば「2023年の世界の平均気温(陸域における地表付近の気温と海面水温の平均)の基準値(1991?2020年の30年平均値)からの偏差は+0.53℃(速報値)で、1891年の統計開始以降、2016年を上回り最も高い値となりました。世界の年平均気温は、様々な変動を繰り返しながら上昇しており、長期的には100年あたり0.76℃の割合で上昇しています。特に1990年代半ば以降、高温となる年が多くなっています」。

 また、日本については、「2023年の日本の平均気温の基準値(1991〜2020年の30年平均値)からの偏差は1.34℃(速報値)で、1898年の統計開始以降、2020年を上回り最も高い値となりました。日本の年平均気温は、様々な変動を繰り返しながら上昇しており、長期的には100年あたり1.35℃の割合で上昇しています。特に1990年代以降、高温となる年が頻出しています」(気象庁上掲)。

 世界の平均気温の長期推移と比較すると、測量ポイントが世界に比べると日本という局地的・限定的であるので、毎年の変動差が大きくなっているのが目立つ。また図の期間の気温上昇が海洋や南半球を含む世界は1℃程度、地上部だけの日本は1.6℃程度となっており、長期的には世界全体より平均気温の上昇程度が大きくなっている。

 地球温暖化の深刻化を示すこのデータはひところはしばしばマスコミに取り上げられていたが、最近は慣れてきてしまったのか、やや目にする機会が減っているようである。

 地球温暖化の影響で桜の開花日が東京や仙台で早まっており、さくら開花日を示す桜前線も経年的に北上している様子は図録4346参照。また桜前線の北上とともに紅葉前線の南下については図録4344参照。

(2009年12月21日収録、2013年12月29日更新、2015年12月24日更新、2016年12月21日更新、2017年12月26日更新、2020年1月2日更新、2023年6月1日更新、12月23日更新)


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