日本各地の気候でまず目立つのは寒暖の差である。南北に細長い日本では、根室の年平均気温が6.1℃、那覇が22.7℃とかなりの幅がある。 植物の活動は5℃以上ではじまり、温度に合わせて活性化することから、月ごとの5℃以上の積算温度(暖かさの指数)によって気候帯を区分すると日本は亜寒帯から亜熱帯の気候とそれに対応した植生を有している(図録4340参照)。 暖かさ指数は生態学者吉良竜夫が提唱した月平均気温5℃以上の月の5℃超過分の年積算気温であり、気候帯区分とともに植生帯区分と対応するといわれる。
こうした寒暖の大きな差が日本の自然の多様性、豊かさを生んでいる。寒暖の差だけでなく、海に囲まれていることが生態史的に自然の豊かさの理由となっている。 ここに日本の森林樹種がヨーロッパや北米と比較して豊かである点や氷河期にさかのぼるその理由を記していたが、世界各地の生物多様性にふれた図録4176dに移動した。そちらを参照されたい。 2.降雪 冬場のユーラシア大陸寒冷気圧から日本列島へ気流が流れ出すと日本海上で吸収した湿った空気が日本の脊梁山脈の西側に雪を降らせ、その結果、東側には好天をもたらす。スノーベルトの日本海側とサンベルトの太平洋側が著しい対照を示すのである。上図で金沢、新潟など冬場の降水量が多い地域がスノーベルトに属している(図録4338参照)。 日本列島に豪雪とも呼ばれるほど雪が多く降るようになったのは1万年ほど前、最後の氷河期が終わってからといわれる(NHKスペシャル2011)。氷河期には今より海面がずっと低くく、朝鮮半島との間の対馬海峡は狭くなっていて、黒潮の分流である暖かい対馬海流が日本海に流れ込んでいなかったので、日本海全体が半ば凍り付き、シベリアからの気流は日本海で水分を吸収せずにそのまま日本列島に吹き付けていた。対馬海流こそが豪雪の生みの親なのだ。 3.瀬戸内気候、及び海洋性気候・内陸性気候 上図の広島、大阪は、冬の雨が少なく、夏も降水量が少ない瀬戸内気候の地域である。 日本列島は細長く、全土が海洋性気候であるが、松本のように気温の年較差が大きく、降水量の少ない内陸性気候の側面が強い地域もある。 4.梅雨 北海道を除いて日本には6〜7月に多くの降雨量を見る地域が多いが、これは朝鮮半島南部、中国の華南や華中の沿海部、および台湾など、東アジアの広範囲においてみられる特有の気象である梅雨現象による(図録4347参照)。梅雨はアジア・モンスーンの一部であり、ヒマラヤ・チベット高原があるため発生するとされる(図録4335参照)。 (参考文献)
(原データ)
(資料)日本の統計2007 (2007年9月18日収録、2011年3月9日コメント加筆、2023年12月16日最終氷期図、12月17日一部を図録4176dに移動)
[ 本図録と関連するコンテンツ ] |
|