地域ごとの降雪日数の平年値(過去30年間の平均)をグラフにした。関連して、降雪日数でなく、1月の降水量(降雪量)を平均気温との相関で地域別に示したグラフを図録4339に掲げたので参照れたい。

 西高東低の冬型気圧配置に伴いシベリアから来る冬の北西季節風が、日本海をわたる途上で吸収した水分を、その後、日本に雪として降らせる。

 雪日数が多い地域は、降雨が早くから雪となり、遅くまで雪が続く高緯度地域(北日本)、及び季節風が山にぶつかるなどしてまず降雪につながる日本海側(裏日本)である。

 日本列島の気象は多様であり、北海道のように年間の3分の1が雪の地域もあれば、沖縄のように雪が降らない地域もある。また日本海側のスノーベルトと太平洋側のサンベルトの対比も目立っている(図録4337参照)。

 グラフを見ても北の国ほど、また日本海側の地域ほど雪日数が多いという傾向が明らかである。

 日本側で上陸した北西季節風が太平洋岸にまで達する距離が長い南関東の熊谷、東京、横浜や静岡、高知、宮崎などは、雪日数が10日以下と特に少なくなっている。

 雪日数が最も少ない県庁所在市は那覇市の0日であるが、これに、宮崎市の1日、静岡市の3日が続いている。宮崎市を除いて、九州の各市の方が静岡市より雪日数がずっと多いという点に降雪が日本海との位置関係に影響されていることをうかがうことができる。

 富士山でスキーが行われないのも、冬の季節風による雪が「中央アルプスまで達するのがやっとで、南アルプスにも、強烈な寒冷前線でも通過しないかぎり、雪は降ら」ず、ましてや、その外側の富士山では「冬型の気圧配置がくずれて、台湾坊主がやってくる時に降るもので、この場合、気温が上昇するので麓までは積もらないことが多く、積もっても、すぐ冬型の晴天にもどって日射を受けるため、どんどん消失する」ためである(鈴木秀夫「風土の構造」1975年)。

 冬の季節風が日本列島を横切る場合もある。関ヶ原を抜けて太平洋岸へ雪が吹き出し、山頂高度の低い中国山地では丹波篠山の盆地を抜け紀伊半島の山々に雪を降らせ、広島の三次盆地を吹き抜けた風が四国山地に雪を降らせ、関門海峡を抜けた風が宇和島のみかん山地に雪を降らせる(鈴木同上書)。

 このように西日本の地形は東日本より風を通す起伏に富んでいるため、図のように南関東各地より西日本地域の降雪日数の方が多くなっているのである。

 なお降雪の多い地域ほど自然の厳しさを感じている状況については図録7228参照。

 検索のため、ここで取り上げた県庁所在市(一部でそれ以外の市)をすべてかかげると、札幌市、青森市、盛岡市、仙台市、秋田市、山形市、福島市、水戸市、宇都宮市、前橋市、熊谷市、千葉市、東京区部、横浜市、新潟市、富山市、金沢市、福井市、甲府市、長野市、岐阜市、静岡市、名古屋市、津市、彦根市、京都市、大阪市、神戸市、奈良市、和歌山市、鳥取市、松江市、岡山市、広島市、山口市、徳島市、高松市、松山市、高知市、福岡市、佐賀市、長崎市、熊本市、大分市、宮崎市、鹿児島市、那覇市である。

(2008年2月12日収録)


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