図には、気象庁データにより、梅雨期間における降水量合計値(平年値)と梅雨入りと梅雨明けの月日(中日平年値)を掲げた。 梅雨は東アジア特有の気象現象であり、北海道を除く日本列島、朝鮮半島南部、中国中南部沿海部、台湾などで5〜7月頃雨の日が続く気象を指す。日本では、奄美、九州南部で大雨を降らすことが多く、東北部では降雨量がそれほど多くない。梅雨末期の集中豪雨は水害などの災害を引き起こすことも多いが、一方では、稲作などについて日本の大切な水供給源となっている。 降らなければ困るが降るとうっとうしいのが梅雨である。一年に一回はこの時期を通過しなくてはならない。梅雨の時期を好む日本人は少ない(図録4355参照)。梅雨は旧暦では五月にあたることから五月雨(さみだれ)ともいう。 さみだれのかくて暮れ行く月日哉 蕪村 梅雨の原因についてはアジア・モンスーンの余波で説明することが多い。夏のモンスーン風がマダガスカルあたりからインドに達し、ヒマラヤ山脈にぶつかって大雨を降らせるが、一部が山脈から東へフィリピン方面へ曲がり、一部が山脈の低いところを乗り越え、湿舌となって東アジアに到達する。これが梅雨前線にぶつかって雨を降らすと考えるのである。「湿舌の経路からみて、(豪雨は)西日本と朝鮮に多い(中略)。東日本は、いわば、フィリピン諸島の蔭になるために、湿舌の到来は少ない。」( 鈴木秀夫「風土の構造 」大明堂(1975)) アジア地域におけるモンスーンの影響については図録4335(世界各地の気候)参照。
(2010年6月6日収録)
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