《本図録は更新された図録3132の旧図録であり、参考のため保存されています。》 各国の働き方を労働時間の側面から見る場合、長いか短いかと同時に多様な労働時間の働き方が成立しているかも重要である。長短は平均労働時間、あるいは長時間労働者の比率で判断できる(平均労働時間については図録3100、長時間労働者比率については図録3130参照)が、多様性はここで取り上げたような男女別の労働時間分布によって観察することができる。 データの出所はOECDの家族データベースのページの労働時間ファイルである。 図では9カ国を取り上げ、同じ位の労働時間で働く者が多い集中型の国を上の方、多様な労働時間の国を下の方に、また、概して労働時間の少ない国を左の方、多い国を右の方に配置した(大体のところの配置である点に留意)。 どの国でも40時間は重要な区切りである。標準労働日とされてきた1日8時間労働で週休2日の5日稼働で40時間となるからである。かつてのような土曜日半ドン4時間を足すと44時間となる。日本の労働基準法では休憩時間を除く週40時間を法定労働時間と決めている。残業のない標準的な働き方であれば40〜44時間に収まると判断できる。 フランスは35〜39時間が男女ともに約5割と多く、米国は40〜44時間が男女ともほぼ6割以上と集中している。スウェーデンは男性はほぼ米国型であるが、女性についてはやや短時間勤務が多いので、フランスと米国の中間と言って良いであろう。 逆に、労働時間分布が分散的である点が目立っているのは、オランダ、英国、韓国である。特に、オランダは短時間労働を正規労働として認知した国として知られているが(オランダ・モデルについては図録3080参照)、女性の短時間労働者が多いほか、男性でも労働時間は分散的である(45時間以上は少ないが)。英国はオランダと比べ長時間労働者も多いが、その分、オランダよりも一層分散的である点が目立っている。 韓国は、短時間労働者が男女ともに9カ国の中でも少ない国であるが、長時間労働の方で分散的となっている(他国のように60時間以上の区分があれば図よりもさらに分布が分散的となる)。しかし韓国の場合、分散的というより長時間労働が目立っている。男性の長時間労働も目立っているが、女性も何と56%が45時間以上働いており、少なくとも現在は、国民総ぐるみで働き者の国となっている点が印象的である。 集中型と分散型の中間にあるのがドイツ、イタリア、日本である。これら3カ国の中では、ドイツ、イタリア、日本の順に労働が長時間となる。日本は男性で45時間以上が43%と多い点が目立っている。イタリアと日本は女性の労働時間が、20〜29時間と40〜44時間に2極化している点で似ている。 元データにあるOECD29カ国を以上のような分類に従って仮にタイプ分けすると以下の通りである。 当図録の分類によるOECD諸国の労働時間タイプ
なお、短時間労働が多い労働時間分布であったとしても、もっと働きたいのに短時間の非正規な職しか得られないのか、自由な選択で短時間労働なのかの判断は、この図では得られない点には十分留意する必要がある。 (2009年5月14日収録、2015年4月22日新図録に更新)
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